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モントラ  作者: ゆう
1章
8/49

ライバルVS①

ガッタンゴットン。


揺れる電車の中、空と真琴は、それに乗っていた。

駅から1時間ほど乗っている。

空は、窓の外を、ボーっと見つめていた。

いつもとは違う、その雰囲気に、真琴は心配になり話しかける。


「・・・・・・・・・師匠」

「ん?何?」

「だ・・・大丈夫ですか?」

「ああ・・・」

「・・・・・・」

(大丈夫かな・・・師匠・・・)


どこか尋常じゃない、そんな雰囲気を、真琴は感じていた。



2時間ほど前。


休日で休みのため、真琴は、空の家に遊びに向かった。

家に向かう途中で空に出会う。


「あ!師匠」

「!」

「よかった、ちょうど師匠の家に行く途中だったんです。よければ今日いっしょに遊びませんか?」

「・・・ごめん、これから、いかなくちゃいけない所があるんだ」

「どこにですか?」

「大切な友達のところ・・・」



ガッタンゴットン


電車が揺れる。


(やっぱり師匠・・・元気ないな・・・なんていうか師匠らしくないっていうか・・)


電車に乗ってからずっと、真琴は空に違和感を感じていた。

いや、乗る前からすでに、それはわずかに感じていた。





「大切な友達?・・ああ・・・以前に言っていた、大切な3人の友達の1人ですか?」

「ああ」

「?」


空はいつもどうりに見えるが、真琴にはそうは見えなかった。

わずかな違いだが、この違いは、空をよく知る人物にしか、わからないだろう。

そんな空を見て真琴は、なんとなく一人にさせてはいけない、そんな気がした。

いつもは頼る側だが、たまには空に頼られる側にならないといけない、それが対等な友達なんだから。

真琴はそう思い、空に尋ねた。


「・・・あ・・あの、ボクもついていっていいですか?」

「ああ、いいよ」




ガッタンゴットン


(師匠の様子が、なんだか変だから、ついてきたけど・・・ひさびさに会う友達の側に、ボクがいたら迷惑なんじゃ・・・さっきはああいったけど)




「あの、師匠・・・ボクがついてきたら、迷惑じゃないですか?」

「いんや、すこし心強い」




(・・・・やっぱり変だ・・・・・師匠)


真琴は、いつもは言わないような空の言葉に、違和感を感じていた。




ぷしゅー。

電車が目的の駅に着いた。


「よっと」


空は電車から降りる。

そしてあたりを見回した。


「着いた・・・なつかしいなーーこの町」

「ここが、師匠が、前に暮らしていた町ですか?」

「ああ、海外に引っ越す前まで・・・けっこう変わったなーここも」


懐かしそうにその町を見ている。

だいぶいつもの空に、感じを取り戻してきたようだ。


「じゃあ真琴、ちょっと駅の近くの、バトルドームに行ってみようぜ」

「この町にもあるんですか?」

「ああ、前にはなかったけど、いまはこの近くにあるらしい。場所は調べてあるし」

「そこにいるんですか?大切な友達が」

「可能性は高い」


二人は駅近くの、バトルドームに向かった。


「ここですね」

「うちのバトルドームと違うな」


そこは大きなドームだった、きっと中は、空の町のバトルドームと同じだろう。


「地下にあるバトルドームは、うちくらいですよ」

「そっか、じゃあはいってみようぜ」

「はい」


ガー


自動ドアが開く。

そのとき大きな声が響く。


「ぎゃははははははは!・・俺の勝ちだァ!」


ドーム内を、その声が反響する。

中にある闘技場のうちの1つから、その声は聞こえてくるようだ。

その上にいたのは、二人の少年だった。

一人は勝くんと似た感じの不良少年。

もう一人は、バンダナをして、するどい目つきが印象的な少年。

そのバンダナの少年は、その不良の少年から何かを奪う。


「おまえのレアカードはもらうぜ」

「まさか賭けバトル?」


どうやらモンスタートランプによる、賭けバトルしていたらしく、バンダナの少年が不良の少年に勝ち、カードを奪っているようだ。


ビリッ。


「!」


バンダナの少年はそのカードを両手に持つと、真っ二つに破り捨てた。


「なっ!」

「ぎゃははははははははっ!つーかこんなカードいらねェーよ!ぎゃははははははははは」


高笑いとともに、バンダナの少年は、さらにそのカードを、原型も留めないほど破り捨てた。

その敗れた破片を、奪った相手の目の前に、見せつけるようにバラまいた。


「ひ・・ひどい・・・」


真琴はその光景に戦慄した。

破かれた少年は、その場から逃げるように立ち去る。


「雑魚が!もうここにくるんじゃねェーぞ!」

「お・・覚えていろ・・・ううっ」


捨て台詞を残して、ドームを去っていった。


「ぎゃははっ雑魚の顔なんて、覚える訳ねぇーだろ。ぎゃはははっ」


その逃げかえる姿を見て、バンダナの少年は高笑いしている。


「ひ・・・ひどすぎる・・・た・・大切なカードを奪ったうえ、本人の前で破り捨てるなんて・・・・勝君だってそんなことはしない・・・」


「やあ大地」

「え?」


空は、そのバンダナの少年に近づき挨拶する。

真琴は、その意味を考え、結論にいたる。


「まさか・・・・・・」


大地と呼ばれた少年は、物凄い形相で空を睨みつける。


「テメェは、空!なんでテメェーがここにいる?テメェーはモンスタートランプやめたはずだろう?」


空を非難するように、バンダナの少年は叫ぶ。


「ああ・・・また始めたんだ」。

「・・・・・・・・・・・」


大地と呼ばれた少年は、空を無言で睨みつける。


「3年ぶりだな・・元気してたか?」

「ああ・・・おかげさまでなァ・・・」


その言葉には憎悪がこもっていた。


「師匠・・この人が師匠の言っていた大切な友達ですか?」

「ああ」


それを聞いた瞬間、大地の形相は怒りに満ち溢れる。


「はっ!大切な友達だと?ざけんな!」


ビクッ。

真琴はその鬼々せまる形相におののく。

大地は、空を睨みつけ、指さした。


「違うぜェ・・ソイツは友達なんかじゃねーソイツは俺の敵だァァ!」

「・・・・・・・・」


その言葉に空は悲しいそうな顔をした。


「ソイツは、俺を裏切りやがったんだ!あの日、あの時、すべてをな・・・なぁ、空?

「し・・師匠・・この人は一体、何を言ってるんですか?師匠が友達を裏切るわけ・・・」

「本当のことさ」

「!」


その言葉に、真琴は驚愕する。

真琴が知る空は、絶対にそんなことをする人物ではないのだから。


「なぁ・・大地」

「あん?」

「モンスタートランプをやろうぜ・・・ひさびさにさ」

「ざけんなァァァ!」

真琴「ひィっ!」

「いまさらどの口で言ってやがるテメェーは!・・・テメェは捨てたんだ・・俺を・・俺たちの絆を、夢であるモンスタートランプを、あいつらのようになあああああああ!」

「そうか・・そう思われていたのか・・・」


空はうつむき黙ってしまった。


「それをいまさら、おまえが俺に言う資格はねェーーーー!」

「・・・・・・・・だよな」


真琴は大地の言葉に、納得がいかず空に尋ねる。


「ど・・どういうことです師匠。説明してください」

「・・・・・・・・・」


その言葉に空は、答えてはくれなかった。

苦笑して空は謝る。


「・・・・・・ごめん大地・・・・」

「あやまんなァァ!」


大地は興奮のあまり、息を切らせていた。


「で・・・?おまえはいまさら、俺とモンスタートランプをして、何がしたいんだ?ああッ!」


その言葉に空は、ニッコり笑い答える。


「昔みたく、楽しく、おまえとモンスタートランプをしたい・・・ただそれだけだ」

「ハッ!ありえねェーよ・・もう、そんなこと、あの日あのとき、俺を裏切ったおまえとなんて、昔みたいになんて絶対にありえねェー!」


その叫びは、どこか痛々しさを含んでいた。


「・・・・まあそう言わずにさ」

「黙れェ!テメェーは俺の敵だ!そんなおまえとなんて楽しくできるかよ!やるなら徹底的にジュリンしてやるよ!」

「・・・・・・・・」

「それでももし・・・・俺とやりたいっていうなら・・・約束どうりの場所でやってやるよ」

「約束?」


真琴はその言葉に反応する。


「まぁ・・どうせテメェーは覚えていないだろうがな」


「貴様ーーァ」

「!」


太った青年が、二人の間に割ってはいる。

その後ろには、さきほど大地にカードを破かれた、不良少年もいた。


「あん、誰だよテメェーは?」

「貴様ぁ・・・よくもオイラの舎弟のカードを、奪って、破り捨ててくれたなー復讐してやるどー」

「けけけ、この人は、オレの兄貴分の裏前田 勝負さんだ、この市内で最強のお方なんだぞ、けけけ」

どうやら負けた復讐のため、より強い人物を連れてきたようだ。


(あっ!さっきの人・・・・・それにどこで聞いたことあるようなフレーズ・・・)


「兄貴!オレのカタキを、たのんます」

「おお まかせるどーあいつのカード、全部うばってやるどー」


そのやりとりを見て大地は、口元を歪ませて笑う。


「ぎゃはははははははっいい所にきたぜデブゥ。ちょうどいま、誰でもいいからジュリンしてやりたい気分だったんだよ。相手してやるよ、来なデブゥ」


大地が、裏前田 勝負を挑発したあと、空の向けて言った。


「おい空」

「!」

「俺のバトルを、目ェかっぽじって見てやがれ。おまえがやめたあと、俺がどれだけ強くなったのか、見せつけてやる」

「ああ・・」

「もう俺は、あの時の俺じゃねェーもう俺はおまえを超えている。それを教えてやるよ、ぎゃははははははっ」

「おい!なにオイラを無視して、ごちゃごちゃやってるどーとっととやるどー」

「おっとすまねーデブゥ・・・はやいとこデブ一匹、ジュリンしてやんなきゃなーぎゃははははははははっ」


その言葉に裏前田 勝負は怒り、血管をピクピクさせていた。


『カードバトルスタートします。デッキスキャン』


2人のデッキがスキャンされ、いよいよカードバトルが始まる。

二人の目の前に、バーチャル映像の手札が、5枚映し出される。


『先攻は、勝負選手』


1ターン目。

山田 大地 ライフ15 手札5。

裏前田 勝負 ライフ15 手札5。

勝負のターン


「先行はオイラだどー・・ドロー・・・オイラは、モンキマスターとゴリラーキングを、ダブル召喚だどー」

真琴「いきなりダブル召喚!」


裏前田 勝負の場に、2体の獣族モンスターが召喚される。


カード情報。

モンキーマスター レベル4 種族獣族 属性火 超能力????

ゴリラ―キング レベル6 種族獣族 属性火 超能力????


「そして合体、マッスル猿人を合体召喚するどー」


凶暴な猿人モンスターが、裏前田 勝負の場に合体召喚される。


カード情報。

マッスル猿人 レベル10 種族獣族 属性火 超能力????

合体条件 モンキーまたはゴリラとカード名につくモンスター2体。


「どうだぁぁ!オイラのエースモンスターだどー」

「はいはい」

「こいつで、次のオイラのターンに、おまえをギタギタにしてやるどーオイラが勝たせてもらうどー」

「はっ・・・次のおまえのターンなんて・・・回ってこねぇーよ、デブゥ」

「あんだとォ?」


2ターン目。

山田 大地 ライフ15 手札5。

裏前田 勝負 ライフ15 手札4。

大地のターン


「俺のターンドロー」


大地は爪でひっかくように、バーチャル映像のカードを引く。


「だってなー・・・このターンで俺が、テメェーを・・・ジュリンしまくってやるからだよ!俺はトリプル召喚を使う」

真琴「トリプル召喚!」


トリプル召喚とは。

自分のターンに、同時に3体のモンスターを召喚する方法。

だがそのリスクとして、手札のカード3枚をデッキの一番下に置かないといけない


大地の場にケイオスドラゴン、マインドラゴン、マジックドラゴンの、3体のドラゴン族モンスターが召喚される。く


カード情報。

ケイオスドラゴン レベル7 種族ドラゴン族 属性土

マインドドラゴン レベル5 種族ドラゴン族 属性風

マジックドラゴン レベル1 種族ドラゴン族 属性火



「俺はマジックドラゴンの超能力を発動!この超能力は、マジックドラゴンが場にあらわれた時、他にドラゴン族モンスターが2体にいる場合しか発動できない。デッキからドラゴンと名がつく呪文カードを1枚、手札に加えることができる。オレは、ドラゴン族強制合体解除を手札に加える。そして、場にあるドラゴン族モンスター3体を合体させる」

真琴「3体合体!」


大地の場のドラゴン達が、くっつき合体を始める。


「合体召喚 恐怖竜サーキス!」


大地の場に、おぞましい仮面を付けた、ドラゴン族モンスターが合体召喚される。


カード情報

恐怖竜サーキス レベル12 種族ドラゴン族 属性風


「レベル12!オイラのマッスル猿人より強いだどー」

「俺は、恐怖龍サーキスの超能力を発動。このターン、サーキス以外の、場にいるドラゴン族モンスターは、呪文による効果を受け付けない」


真琴はその超能力発動に疑問を持つ。


「え?わざわざ、恐怖竜サーキス以外に、ドラゴン族モンスターがいないのに、超能力を使うなんて」

「大地にはなにか考えがあるんだろ」


空は確信していた。

大地の勝利を。


「いけェーー恐怖竜サーキス!爪覇斬クローサーバス


恐怖竜サーキスの両爪に、マッスル猿人は切り裂かれる。


「マッスル猿人破壊」

「ぐううっ・・・オイラのマッスル猿人がぁ・・・次のターン仕返ししてやるどー」

「だから・・・・テメェの次のターンはまわってこねェーって言ったろ。おまえはもう、俺にジュリンされまくるしかねェーんだからな」

「あんだどー」


さらに大地は、呪文を発動させる。


「呪文発動、ドラゴン族強制合体解除。この呪文はドラゴン族合体モンスター1体を、墓地に送ることによって、その合体素材になったモンスターすべて、場に呪文召喚することがきる。あらわれな!」


「ケイオスドラゴン」

「マインドラゴン」

「マジックドラゴン」


大地の言葉に、3体のドラゴン族モンスターが、墓地からが呪文召喚される。


「ドラゴン族強制合体解除の効果で、呪文召喚されたモンスターは、このターンバトルに参加できない」

「ほっ助かったどー」


ケイオスドラゴンレベル7、マインドドラゴンレベル5、マジックドラゴンレベル1。

これらのモンスターすべての攻撃を受ければ、13ポイントの大ダメージを受けてしまう。

それがなく、裏前田 勝負はホッっとしていた。

だが、安心している裏前田 勝負に、大地は残酷な言葉を告げる。


「助かってねーよバカ!さっき使ったサーキスの超能力を忘れたか?」

「はうっ!」

「このターン、場に存在するドラゴン族モンスターは、呪文の効果を受けつけない。

ようはさ、攻撃できるんだよ。すべてな!」

「なぬっ!」

真琴「すごい一気に13ポイントのダメージを・・・!」

「クソォッ!オイラ、大ピンチになってしまうど」

「ピンチ?・・ジ・エンドだよ、デブゥ」

「!」

「新たにマジックドラゴンが場にあらわれたことによって、デッキからドラゴンと名がつく呪文カードを1枚、手札に加えることができる。加えるカードはド、ラゴンの精鋭」


大地は、マジックドラゴンの超能力を使い、呪文カードを手に入れた。


「そしてドラゴンの精鋭発動!この呪文はターン終了時まで、レベル1のドラゴン族トークンを2体まで、場に呪文召喚できる」

「うっ・・・!」


トークンとはカードではないモンスター。

破壊されても墓地にはいかず、手札にも戻らない。


「これでダメージは、合計15ポイント!・・・終わりだぜ・・・デブゥ。ジュリンの時間だ、恐怖しな」


大地は、全ドラゴン族モンスター5体に、攻撃宣言する。


「いけドラゴン達、ドラゴンパーティーだ」


5体のドラゴン族モンスターが、裏前田 勝負を襲う。


グジャ ズシャ グチャ メチャ ズチャ。


一斉攻撃により、裏前田 勝負のライフは、0となる。


「ぎゃははははははははっいいぞ・・・ジュリンジュリンジュリンジュリンジュリンジュリンジュリン!ぎゃはははははははははっ」


『勝者、大地選手』


勝者へのアナウンスが流れる。

バーチャル映像とはいえ、ドラゴン族モンスター5体に、一斉攻撃され、裏前田 勝負は、恐怖に顔を引きつらせ、腰を抜かして倒れていた。


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