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モントラ  作者: ゆう
1章
7/49

VSアイドル③


6ターン目。

空 ライフ15 手札4。

みかん ライフ8 手札3。

空のターン。


真琴は闘技場の外から、空の戦況を分析していた。


(あの大魔王ドールを破壊しないかぎり、師匠に勝機はない。でも、呪文は人形師と身代わり人形のコンボで防がれてしまう。だったら人形師を先に攻撃して破壊してから、そのあとで、呪文で、大魔王ドールを狙えば・・・・)


「オレのターンドロー・・オレはダメージリフレクトスライムを召喚」


空の場に、鏡のようなスライム族モンスターが召喚される。


カード情報。

ダメージリフレクトスライム レベル2 種族 スライム族 属性水 超能力????    



「ダ―メジリフレクトスライムで人形師を攻撃!リフレクトチョプ」


鏡の横で殴るような一撃が、人形師を襲う。


「甘々よ空!あたしは大魔王ドールの超能力を発動。大魔王ドールは、他の人形族モンスターへの攻撃を、変わりに受けることができる」

「!」


身代わりとなった、大魔王ドールと、ダメージリフレクトスライムの攻撃がぶつかる。


「リフレクトチョップ」

「大魔王インパクト」


レベル2対レベル16の戦い。

初めから勝負は見えていた。


ギュアアアアアアアアアアアアアア。


大魔王ドールのミキサーパンチが、ダメージリフレクトスライムを粉砕する。


「ダメージリフレクトスライムを破壊」

「ああっ!」


真琴はその惨劇に声をあげる。

だが空は、手札に触れ、モンスターの超能力を発動させた。


「オレは手札のリバイブススライムの超能を力発動。このモンスターを手札から相手に見せることによって、このバトル中1度だけ、レベル3以下のスライム族モンスターを再生させることができる」


破壊されたダメージリフレクトスライムは、墓地にはいかず、その場で再生された。


「はふー助かった・・」


真琴は大きく息を吐く。

みかんはいま、自分が有利、そう判断して空に言う。


「ふふん。どう、あたし強い?」

「ああ強いぜ でも負けないぜ」

「あ・・あたしだって、絶対負けるわけにはいかないんだからね」



回想。

7年ほど前のこと。


みかんの自宅で、空とみかんは、カードバトルをしていた。


「空、あたしが勝ったらいうこと1つ聞いてもらうからね」

「うん、いいけど」


二つ返事で空は答えた。

それを聞いていた、みかんの母は。


「あら みかんちゃん・・空くんのお嫁さんにしてもらうの?」

「なっなななななななななな・・ち・・ちがうもん!何いってるのママぁ!バカじゃない」


その言葉にみかんは、顔を真っ赤にして否定する。


「あらそうなの?・・・でもこのまえ、空くんがみかんちゃんの失くした大切なカードを見つけてくれた時、ママに言ったじゃない、空くんの・・・」

「わーわーうるさいママのバカーーーどっかいってーバカーーー」


回想終了


かあああああ。

みかんは過去のことを思い出し赤面する。

その様子を見て空は。


「?・・どうしたみかん?さっきから顔が赤いぜ」

「な・・なんでもないわよ、バカぁ」

「・・・そっか、じゃあオレのターンは終わりだ」


7ターン目。


空 ライフ14 手札3。 

みかん ライフ8 手札3。

みかんのターン


「あたしのターンドロー」 


みかんは戦況を分析した。


(あたしの手札には身代わり人形2枚。モンスターカード1枚、呪文カード1枚の計4枚。

そして場には魔王ドールと人形師がいる。この状況は断然あたしが有利ね・・・・でも、相手はあの空。油断できないわね、それに・・・あのダメージリフレクトスライムってモンスター・・何かやっかいな超能力を持っていそう・・・・うかつに攻撃しないほうがいいわね・・なら)


みかんは呪文を発動させた。


「あたしは呪文ドールアタックを発動!墓地にいる人形族モンスター2体をデッキの一番下に戻すことによって、レベル5以下の相手モンスター1体を破壊する。あたしはダメージリフレクトスライムを選択」


墓地にいる2体の人形族モンスターの魂が、ダメージリフレクトスライムを襲う。


「ダブルドールアタック!」


その瞬間、空は呪文を発動させた。


「呪文発動スライムシャッフル!場にあるスライム族モンスター1体を手札に戻すことによって、手札にある別のモンスター1体を場に呪文召喚できる」


呪文効果によって、ダメージリフレクトスライムは手札に戻る。


「呪文で回避された!」

(・・・でも、ダメージリフレクトスライムは場から消えたわ)


そして、ダメージリフレクトスライムの代わりに、あらたなモンスターがでてくる。


「オレは鏡の国のアリスを出す」       


場に、レベル5の、鏡の盾を持つ女性型モンスターが呪文召喚される。


(!・・・あのカードは・・・・まさか・・!)


そのモンスターを見たみかんは驚く、そして過去の出来事を思いだす。


「みつけたよみかん」

「ありがとう空」

「それ大切なカードなの?」

「うん、お母さんに買ってもらった大切なカードなの」



「空、引っ越すの!」

「・・・うん」

「・・ううっ・・・じゃあコレあげるぅ・・」

「いいの?大切なカードなんじゃ・・・」

「いいからあげる・・・ううっ」

「じゃあオレからはこれをあげる」




(あれは・・・あたしと交換したカード。ずっと持っていてくれたんだ・・・・・でも、いまは破壊させてもらう。勝つために)


「大魔王ドール 鏡の国のアリスに攻撃!大魔王インパクトオ!」


大魔王ドールの一撃が、鏡の国のアリスを襲う。

その瞬間空は、超能力を発動させる。


「鏡の国のアリスの超能力発動!手札のカード1枚墓地に捨てることによって、場にあるモンスター1体の超能力をコピーする」

「!」

(・・・まさか、あの超能力!)

「オレがコピーするのは・・・人形師!」


空は人形師を指さし選択した。

鏡の国のアリスの持つ、鏡の盾に、人形師が映り込む。


「!・・・・空、あんた・・・・・手札から出す気?」

「ああ、場にいないなら・・・手札からひねりだせばいい。コピーした人形師の超能力でダメージリフレクトスライムを超能力召喚」


鏡の盾から、人形師のあやつり糸が射出される。

空のバーチャル手札の1枚を捕え、そのカードのモンスターを引きずり出すように場に、超能力召喚させた。

そのモンスターは、ダメージリフレクトスライム。


「すごい師匠!相手の超能力を利用して、ダメージリフレクトスライムを出すなんて。あんな戦い方・・・ボクには思いつかないよ」


真琴は空の頭脳プレイに関心する。

だが空は、考えたと言うより直感でプレイしていた。


「そしてさらに手札を1枚墓地に捨てることによって。ダメージリフレクトスライムの超能力をコピーする」

「!」


鏡の国のアリスの持つ、鏡の盾が、今度はダメージリフレクトスライムの姿を映しこむ。


「ダメ―ジリフレクトスライムの超能力は、相手モンスターに攻撃されたとき一度だけ、そのレベル分のダメージを相手プレイヤーに跳ね返す」


「なっ!」


大魔王ドールのレベルは16。

この攻撃が反射されれば、ライフ8のみかんは負けてしまう。


「だ・・ダメェ!大魔王ドールの攻撃が止まらない。」


大魔王の攻撃は反射され、みかんを直撃。


「大魔王インパクト返し!」

「きゃああああああああああああああ!」


みかんは16のダメージを受け、ライフ0となる。


『勝者 空選手』


勝利者のアナウンスが流れる。


「はあ・・・負けた・・・・ふぅー・・・でも強いわね空・・・やっぱり」


負けたみかんの顔は、どこか晴ればれとしていた。

きっと空が、昔のまま強かったことが、嬉しかったのだろう。

みかんは空に近づき、少しモジモジしながら尋ねる。


「そ・・その・・・空」

「ん!」

「これだけやりあったんだし、もうあたしのこと思い出したでしょ?」

「まったく」


ブチブチブチッ。

血管がたくさん切れる音がした。


「ううっ・・・・うがーーーーーーーーーーーーー!」

「!」


みかんは大声で叫び出すと、涙目で。


「もう知らない。空なんてバカッ帰る。バカバカバカバカバカバカバカバカバ――――――――――カ空なんてバ―――カ」


みかんは去っていた。


「・・・・・帰っちゃいましたね」

「ああ、楽しいバトルだったな」



次の日、教室。


「空!コレを見なさい」

「!」


いきなり現れたみかんは、空にこう言った。



昨夜のこと、みかんの自宅。

リビングにはみかんと、その母親がいた。

母親はあきれた顔で言う。


「もうみかんちゃんったら素直じゃないわねー教えてあげればいいのに、正体」

「やだ」


みかんは不貞腐れた顔で言う。

母親は、ふぅっと息を吐き、諭すように言った


「このまま教えなくていいって・・ホントにそう思っているの?」

「・・・・・・・・・・・やだ」

「じゃあ、勇気出して言わなくちゃ」

「・・・・いまさら言えるわけないよぉ」


すこし涙目だ。


「じゃあ言わなきゃいいのよ」

「?」

「あのカードを、あの思い出のカードを見せればいいのよ」

「・・・・・・・・あのカード」



教室。


みかんは空に命令する。


「空、目をつぶりなさい」

「?・・・なんで?」

「いいから早く!」

「・・・・・・・・」


空は椅子に座ったまま目をつぶった。


ゴソゴソ。


みかんはバックから、一枚のカードを取り出す。


(このカードは、あのとき交換したカード。あたし達の思い出のカード・・・コレを見せれば絶対に思い出すはず)


みかんはバンっと、空の目の前で見せようと思い。

カードを持つ手を、振りかぶり、目の前まで勢いよく振り下ろす。

その姿は一見、みかんが空を殴ろうとしているようにも見えた。


「あ!ダメですよ!ケンカしちゃ」


その場面を偶然手洗いから帰ってきた真琴が、目撃してしまう。

その光景をケンカと勘違いして、止めようとダッシュで駆け寄る。


ガッ。


「あ!」


真琴はつまづき、そのまま勢いよく、みかんの背中にタックルする形でぶつかる。


ドン。


「!」


そのまま、みかんは前に倒れ、空とキスしてしまう。


「んゆぅ~~~~!」

「!」


みかんは奇声をあげながら、目をパチクリした。

いきなりの出来事に、茫然としてしまい、結構長くキスしてしまった。


「ぷはぁ・・・・」


二人のキスは終わった。


「な・・・なななっ・・・」


みかんの顔が湯でタコのように真っ赤になっていく。

そして空に向かって怒鳴る。


「な・・・何てことしてくれてんのよ!」

「いや、されたんだけど・・・・・・・・・・でもごめん」

「え?」

「キスを見せられても、ぜんぜん思いだせないや」

「そ・・・・そういう見せるじゃないわよ!・・よ・・よくもあたしのファーストキスを奪ってくれたわねー」

「どちらかというと奪ったほうじゃ・・・・」


ギロ。


よけいなことを言う真琴を、みかんは睨みつけた。


「ひっ・・・ご・・ごめんなさい。ボクのせいです、ごめんなさい」

「大丈夫、事故だからファーストキスじゃないよ」

「!」


空の一言に場が硬直する。

そして空は、自らの持論を展開させる。


「ファーストキスって、好きな相手とするからファーストキスなんだろ?だったらこれはファーストキスじゃないよ、事故なんだから」


「へ?」


その言葉にみかんは、さらに固まってしまう。


「あ・・・・そ・・そうね・・・たしかにそうね・・・・・・・・・・・・・って、ち・・ちがーーーーーーーう!」


一瞬納得しかけたが、それを否定するように首を横に振り、空を怒鳴る。


「ファーストキスよ!これはファーストキスです!れっきとしたファーストキスなんですー!責任とりなさい!」

「えー・・・そーいわれても」


空は困る。


「ご・・ごめんなさい、みかんさん、師匠、ボクのせいで二人の貴重なファーストキスが・・・」

「いや大丈夫。オレ、ファーストキスじゃないから」

「はあ?」


その空の言葉に、みかんは目を丸くする。


「セカンドキスだ」

「はああああああああああああ!」


その声は教室中に響きわたる。


「ど・・どういうことよ一体!相手は誰!男?女?どっち!」

「そ・・そんなの決まってますよ」

「名前は?どこの誰よ」


みかんは掴みかかる勢いで空に問いただした。


「秘密 それは言わない約束だから」


ブッチン。


「う~~~~~~空の・・・バーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーカ!」


大声で叫び、教室を出ていく。

振りかえり。


「いーーーーだ」


みかんは去っていった。


「な・・なんか騒がしい人だったですね・・・」

「ああ、あいつ・・昔のオレの友人にそっくりなんだよな」

「へ?じゃあ、あの人がその人なんじゃ」

「いや違う。だって・・・・」




空の自宅。

リビングで、空と母親がテレビを見ていた。


「あらこの子 宮城みかんちゃんじゃない」


テレビには中学生アイドル オレンジちゃんの特集をしていた。


「あなたの友達だったわよね」

「ああ」

「アイドルになったのね」

「ああ」

「髪も伸びて、見た目も性格も、かなりかわいくなっちゃったわね」

「ああ、あいつもがんばってるな・・・オレも夢を叶えるため、がんばらなくっちゃな・・・また会えたらいいな・・みかんに」

「たしか親が離婚して、苗字が変わったらしいけど・・・なんていったかしらね?」

「さあ」



みかん自宅。

「くちゅん」

「みかん風邪?はやく出なさい。長風呂はアイドルに天敵よ」

「くちゅん」


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