空VSドイツ代表 マルド・マルク③
4ターン目
空 ライフ 手札3
マルド ライフ15 手札2
空のターン
「オレのターンドロー・・・・オレは、鏡の国のアリスを召喚!」
空の場に、鏡の盾を持つ女性型モンスターが召喚される。
カード情報
鏡の国のアリス レベル5 種族呪文使い 属性水
超能力 手札を1枚捨てることによって、1ターンの間、相手モンスターの超能力をコピーすることできる。この超能力はいつでも発動可能。
「空ーッ!あたしのモンスターでボコボコにしちゃいなさーい!」
みかんの声援が控室に響く。
「このモンスターは手札を1枚捨てることによって、このターン、相手モンスター1体の超能力をコピーすることができる。オレは、疾風の王 ガーゴイルのクラスターの超能力をコピー」
「!・・・ワタシのガーゴイルクラスターの超能力をコピーだと?たかがレベル5のモンスター風情がか?」
「ならさ・・・レベルを上げればいいだろ」
「!」
「呪文発動!レベル同化!この呪文は自分のターンで、バトル前にしか発動できない。
合体モンスター1体のレベルと自分のモンスター一体を同じにし、さらにそのレベルに1プラスすることができる」
「ガーゴイルクラスターのレベルより、さらに1・・・上だと・・・・」
鏡の国のアリスは、呪文、レベル同化を受け、そのレベルをガーゴイルクラスターより1高くした。
「この呪文を発動させた時。相手はこのモンスターの直接攻撃以外からダメ―シを受けることはない」
「師匠がレベルを上げたモンスターでガーゴイルクラスターを破壊しても、他のモンスターなどで、ダメージをあたえることができないってことですね?」
「でも・・空はんのコピーした超能力なら・・・・」
「はい!連続して同じモンスターで攻撃できます!」
空は攻撃宣言をした。
「レベル17の鏡の国のアリスで、レベル16のガーゴイルクラスターに攻撃!ミラーナックル!」
鏡の国のアリスのパンチで、ガーゴイルクラスターは粉砕した。
「ガーゴイルクラスターを破壊したぜ!」
「くっ・・・・・」
「さらにガーゴイルクラスターから奪った超能力で、鏡の国のアリスのレベルを3下げることで、最大5回まで連続攻撃ができる。鏡の国のアリスのレベルを14に下げて、もう一度、相手プレイヤーに攻撃!」
「くゥ・・・!」
マルドは、鏡の国のアリスからパンチを喰らい、残りライフ1となった。
「すごい師匠!次の攻撃が通れば・・・師匠の勝ちです!」
「さらに、レベルを11に下げて・・・相手プレイヤーに攻撃!」
その瞬間、マルドは手札に触れた。
「ワタシは呪文発動!ガーゴイルの怒り!この呪文は相手モンスターに直接攻撃を受けた時に発動できる。相手はカード1枚引き、その後、ワタシは墓地から、ガーゴイルと名が付く好きなモンスターを1体、場に呪文召喚することができる。ワタシはガーゴイルクラスターを呪文召喚!」
マルドの場に、また疾風の王ガーゴイルクラスターが現れた。
「!・・・オレは・・鏡の国アリスの攻撃を中止させる」
場に、鏡の国のアリスよりレベルの高いモンスターが現れたことにより、空は攻撃を中断した。
その光景を見て真琴は悔しがる。
「あううっ・・・・ほしい・・・・あと一歩だったのにぃぃぃ!またガーゴイルクラスターが場に出てきちゃいました・・・」
「ふぅ・・・」
マルドは浅く、小さく息を吐いた。
ドキドキ。
マルドの胸の鼓動は高まっていた。
「・・・・・・・・」
(なんだ・・・この胸の高鳴りは?ワタシの・・・ワタシの中に、何か熱いものを感じる・・・まさかこれが・・・・奴の言う・・・・・嫌ッ!ありえない・・・・ワタシはどんな優位であろうが、ピンチであろうが、どんな状況であれ常に不動の精神でいられるよう訓練してきた・・・それなのにカードバトル中・・・・奴と同じ気持ちなるなどあってたまるか!)
マルドはこのカードバトルで、いままでにはない感情が芽生えてきていた。
空はマルドに話しかけた。
「なあ、マルド・・・ワクワクしないか?」
「!」
「お互い・・ライフはあとちょっと、どっちが勝つかわからないこの状況・・・・な?」
その質問にマルドは、しばらく沈黙して答えた。
「・・・・・・・認めない。ワタシは貴様などを認めない!認める訳にはいかないのだ!国のためにも!ワタシのためにも!」
「?・・・よくわからないけど・・・オレのターンは終わりだ」
5ターン目
空 ライフ1 手札2
マルド ライフ1 手札1
マルドのターン
「ワタシのターンドロー・・・ワタシは、疾風の王 ガーゴイルクラスターで鏡の国のアリスを攻撃!」
ガーゴイルクラスターの攻撃が、鏡の国のアリスを襲う。
空はその攻撃が当たる直前、手札に触れ呪文を発動させた。
「オレは呪文発動!弱者の守り!この呪文は相手にプレイヤーに直接攻撃された時、発動できる。この呪文は墓地にあるレベル1モンスター1体を手札に戻すことによって、相手モンスター1体の、このターンの攻撃参加を禁止する。オレは墓地のドックスライムを手札に戻し、疾風の王ガーゴイルクラスターの、このターンの攻撃参加を禁止する」
「!」
ガーゴイルクラスターは呪文を受け、その攻撃を中止した。
「・・・・・・・・ワタシのターンは終わりだ・・・・」
6ターン目
空 ライフ1 手札2
マルド ライフ21手札2
空のターン
「オレのターンドロー・・・オレはドックスライムを召喚!」
さきほど戻したドックスライムを、また空は場に召喚した。
「・・・・オレのターンは終わりだ」
「し・・師匠・・・まだ、あのモンスターを倒す手立てはないんでしょうか?あのモンスター強すぎますよ・・・次・・・また攻撃を受けたら・・・・」
7ターン目
空 ライフ1 手札1
マルド ライフ2 手札2
マルドのターン
マルドは手を横に振るモーションで、バーチャル映像のカードを引いた。
「ワタシのターンドロー・・・ガーゴイルクラスターで鏡の国のアリスを攻撃!超高速爪(スーパースピィ―ディークロー)」
レベル5の鏡の国アリスを、レベル16のガーゴイルクラスターは攻撃した。
「鏡の国アリスを破壊!さらに、ガーゴイルクラスターのレベルを3下げことによって、もう一度、再攻撃をする!ガーゴイルクラスター!ドックスライムを攻撃!」
ドックスライムはガーゴイルクラスターの爪により、切り裂かれる。
「ドックスライム破壊!」
「ドックスライムの超能力発動!1ターンに一度再生する!」
「フン・・・さらにレベルを、10に下げて・・・もう一度ドックスライムに攻撃!」
ガーゴイルクラスターが、再生したばかりのドックスライムを攻撃した。
その攻撃が直撃するまえに、空は呪文を発動させた。
「オレは呪文発動!スケットスライム!スライム族モンスターが破壊された時、この呪文は発動できる。デッキからレベル1のスライム族モンスターを1体を、場に呪文召喚することができる。オレはデッキからフュージョンスライムを呪文召喚!」
空の場にレベル1のスライム族モンスターが呪文召喚された。
カード情報
フュージョンスライム レベル1 種族スライム族 属性土
超能力 このモンスターが場に呪文召喚された時、場にある自分のモンスターと強制的に合体することができる。
「そしてフュージョンスライムが呪文召喚された時、自分の場のモンスターと強制的に合体させることができる。オレはフュージョンスライムとドックスライムを合体!パラディンスライムを合体召喚!」
空の場に、白い鎧と白い兜を装備した、スライム族モンスターが合体召喚された。
パラディンスライム レベル7 種族スライム族 属性水
超能力 パラディンスライムは、相手モンスターによって自身が直接攻撃を受ける時、墓地にあるこのモンスターを場に超能力召喚することができる。この超能力を使い呪文召喚されたパラディンスライムは破壊後、墓地には送られず、デッキの一番下にいく。
「疾風の王 ガーゴイルクラスター、パラディンスライムを攻撃!」
マルドの攻撃宣言とともに、レベル10のガーゴイルクラスターはレベル7のパラディンスライムに襲いかかる。
「オレは呪文、スライムボムを発動!この呪文はスライム族モンスター1体を破壊することによって、相手モンスターのレベルを、その破壊したモンスターのレベル分、永続的に下げることができる。この呪文で、そのモンスターのレベルを0以下にできる時、そのモンスターを破壊する!」
「!」
「オレはパラディンスライムを破壊して・・・疾風の王 ガーゴイルクラスターのレベルを10から3に下げる!」
空の呪文発動とともに、パラディンスライムが爆発。
その爆発が、疾風の王ガーゴイルクラスターに直撃する。
ドカ―――ン。
「だが・・・疾風の王 ガーゴイルクラスターの攻撃は止まりはしない。ライフ1の貴様が、この攻撃を受ければ、貴様の負けだ!」
「いや・・・オレは墓地から、バラディンスライムの超能力を発動!」
(!・・・墓地から)
「パラディンスライムが墓地にいて、相手モンスターから直接攻撃受ける時、パラディンスライムを場に、超能力召喚することができる。オレは墓地から、パラディンスライムを超能力召喚!」
ガーゴイルクラスターの攻撃から、主を守るように、パラディンスライムが場に超能力召喚された。
「くっ!・・ガーゴイルクラスター攻撃中止!」
マルドは、いまのガーゴイルクラスターよりレベルが高いモンスターが現れたことで、攻撃を中止させた。
「そしてパラディンスライムは、この超能力によって場に出た時、破壊後、デッキの一番下に送られる」
控室のモニターで、その様子を見ていた真琴は、心臓をドキドキさせていた。
「はふぅ・・・・なんとかまた・・・・ふぅ・・・・ガーゴイルクラスターの攻撃をしのぎきりました・・・でもガーゴイルクラスターのレベルは、スライムボムの効果で、レベル9まで下げられましたし・・・次の師匠のターンで、きっと倒せますよ」
だがレベルを下げられたまま終わるほど、相手も甘くはなかった。
「ワタシは呪文発動!再召喚!この呪文はまたはバトル中に使うことはできない。場のモンスター1体を再召喚することができる。再召喚されたモンスターは元の状態へと戻り、このターン、攻撃に参加できない」
ガーゴイルクラスターは、場に再召喚されたことで、元のレベルに戻った。
「ああっ!これで・・ガーゴイルクラスターのレベルが16に戻ちゃいました!」
空はその様子見て、目を輝かせていた。
強い相手とカードバトルできて、喜んでいるようだった。
「あんたつえェーな・・・・・さすが世界レベル・・・」
「当然だ・・・ワタシは国のために戦っているのだ。貴様のように自分のため、楽しみのためにだけに戦っているわけじゃない」
「そうか・・・じゃあなんであんたは、いま笑っているんだ?」
「!」
マルドははじめて気づいた、自分が笑っていたことを。