空VSドイツ代表 マルド・マルク②
1ターン目
空 ライフ15 手札5
マルド ライフ15 手札5
マルドのターン
「ワタシのターン、ドロー」
マルドは手を横に振るモーションで、バーチャル映像のカードを引いた。
そしてバーチャル映像の手札に触れ、召喚を発動させた。
「ワタシは手札から、ガーゴイルクイーンを召喚!」
マルドの場に、羽を持つ悪魔族モンスターが召喚された。
カード情報
ガーゴイルクイーン レベル3 種族悪魔族 属性 土 超能力????
「このモンスターが場に召喚された時、このターン、手札にあるガーゴイルと名が付くモンスターを好きなだけ場に出すことができる。私は手札にある、ガーゴイルハンター、ミストガーゴイル2体、キラ―ガーゴイルの4体を場に超能力召喚する」
マルドに場にさらに、羽を持つ悪魔族モンスターが4体超能力召喚された。
その5体のモンスターが揃う光景に、真琴は驚愕する。
「い・・・いきなり5体のモンスターを・・・」
「この超能力で召喚されたモンスターは、攻撃に参加できず、ターン終了時に破壊される。そしてワタシは場にある5体のガーゴイル達を合体させる!」
5体のガーゴイル達がくっつき、新たなるモンスターが生みだされる。
「疾風の王ガーゴイルクラスターを合体召喚!」
マルドの場に、機械的な羽と体を持つ、悪魔族モンスターが召喚された。
カード情報
疾風の王 ガーゴイルクラスター レベル16 種族悪魔 属性風 超能力????
合体条件 5体のガーゴイルと名が付くモンスター
「ご・・5体合体!1ターン目でいきなり・・・!し・・・しかもレベル16ぅ!」
驚きを隠せない真琴に、みかんが言った。
「これはちょっとした賭けよね・・・あのモンスターがすぐにやられたりしたら、手札をほぼ失った相手はかなりピンチ・・・逆に・・・生かしきれば、空がピンチね」
「で・・・でも・・・いきなりあんな大胆な戦術でくる人だったなんて・・」
「クールそうに見えて・・結構・・・熱い人みたいだね・・・・」
クルトは少し関心するように、マルドを見た。
空はそのモンスターを見て喜びを隠すことができなかった。
「おおー初っ端から5体合体か・・すげェーな・・・ワクワクしてきた」
「!・・・ワクワクだと?」
空の言葉を聞き、マルドは反応した。
「何を言っているのだ貴様は?カードバトルにおいてワクワクなど論外。存在しない言葉である。その心の緩み・・・それがカードバトルの勝敗を決めると知れ!ワタシに負けそれを学習するがいい」
「いやー・・・そう言われても・・・ワクワクは止められないしなー」
「止める必要はない。ワタシが貴様の息根を止める」
「おっ・・その台詞、なんかもっとワクワクしてきたぞ」
「貴様・・・ワタシを愚弄するか・・・・貴様に国を背負って戦う資格などない。この場に立って、相対しているだけでも不快だ」
「国って・・・たしかにそうかもしれないけど・・・・これはオレ達の戦いでもあるんだぜ・・・もっと楽しもうぜ」
「却下である!」
「やっぱ、頭固い奴・・」
大地は、控室のモニターから少し離れ、椅子に寄りかかりながら、空のカードバトルを見ていた。
(チッ・・・空・・・そんな野郎に、負けるんじゃねェーぞ・・・・)
マルドは、自分のターンにできることを終わらせた。
「ワタシのターンは終わりだ」
マルドの宣言とともに、ターンは空に移る。
2ターン目
空 ライフ 手札5
マルド ライフ 手札1
空のターン
「オレのターンドロー・・・オレはドックスライムを召喚!」
空の場に、犬型のスライム族モンスターが召喚された。
カード情報
ドックスライム レベル1 種族スライム族 属性土
超能力 1ターンに一度再生できる。
「オレはドックスライムで、疾風の王 ガーゴイルクラスターに攻撃!」
「!」
空はレベル1のドックスライムで、レベル16のガーゴイルクラスターに攻撃するよう、宣言した。
だが、ドックスライムの小さな体は、疾風の王ガーゴイルクラスターにはじかれ、破壊された。
その破壊された瞬間、空は自分の手札に触れ、呪文を発動。
「ドックスライムが破壊された瞬間!呪文、スライム連鎖爆弾を発動!」
クルトはその呪文をみて、新撰組とののカードバトルを思いだす。
「あの呪文は・・・・お兄さんが新撰組を倒した呪文だ」
「この呪文は、自分のモンスターがバトルで破壊された時に発動できる。場にいるモンスター1体を破壊することができる・・・・オレは、疾風の王 ガーゴイルクラスターを破壊」
呪文により、ドックスライムが大爆発。
疾風の王 ガーゴイルクラスターはそれに巻きこまれた。
ドカーーーン。
その光景を見て控室でモニターを見ていたみかんは喜んだ。
「やったわ!」
「まだだな・・・」
「え!」
「アレを見ろ・・・」
マリアは爆煙の中を指さす。
その中から、疾風の王 ガーゴイルクラスターが現れる。
「!・・・無傷・・・」
「ワタシは墓地からミストガーゴイルの超能力を発動させた。自分の場にモンスターが1体しかいない時にこの超能力は発動できる。ミストガーゴイルをデッキの一番下に戻すことによって、相手の呪文による破壊を無効にする」
「そうか・・・・その超能力によってオレの呪文を防いだのか・・・」
「そうだ」
「・・・・まだ墓地にはもう1枚のミストガーゴイルがいる・・・・呪文で倒すのはなかなかきつそうだな・・・・・・・・じゃあオレは、破壊されたドックスライムを再生する」
破壊された、ドックスライムが再生されていく。
「・・・・オレのターンは終わりだ」
3ターン目
空 ライフ15 手札4
マルド ライフ15 手札1
マルドのターン
「ワタシのターン・・ドロー!・・・ワタシは疾風の王 ガーゴイルクラスターでドックスライムを攻撃!」
マルドを人差し指を、ドックスライムに向けた。
疾風の王 ガーゴイルクラスターは大きな機械的な羽をはばたかせ飛んだ、そしてジョット噴射のように羽から炎を噴射し、空に飛び上がった。
そしてぐるぐると空を回りながら、その勢いで、地面にいるドックスライムを攻撃した。
「超高速爪(スーパースピィ―ディークロー)」
ガーゴイルクラスターの超高速の爪で、ドックスライムは切り裂かれた。
「ドックスライムを破壊!」
「でもドックスライムには再生能力があります・・大丈夫です」
真琴の言葉どうり、ドックスライムは再生を行った。
「ドックスライムの超能力発動!ドックスライムは1ターンに一度再生できる」
「これなら、相手がどんなレベルが高くても・・倒せませんよ」
強敵からの攻撃を防ぎきり、真琴は安堵した。
「安心したか?」
「!」
マルドは空に向かって、言葉を投げかける。
「安心するのはまだ早い!ワタシの攻撃はまだ完了してはいない。ワタシは疾風の王 ガーゴイルクラスターの超能力を発動!ガーゴイルクラスターはこのターン、レベルを3下げることによって、もう一度攻撃を可能にする。この超能力は1ターンに5回まで発動可能!」
「なぁっ!5回ィ!じゃあ・・5回連続攻撃が・・・できるってことですか・・・!」
真琴はその恐るべき超能力に驚愕した。
「さすが世界大会やな・・・・日本大会とはレベルが一つも二つも違うどす・・・」
佐衛門は開いた扇子を顔に当て、あらためて、この大会のレベルの高さを認識した。
「ワタシはガーゴイルクラスターのレベルを、16から13に下げて、もう一度ドックスライムに攻撃!」
再度、ガーゴイルクラスターはドックスライムを攻撃した。
「超高速爪(スーパースピィ―ディークロー)」
さきほどと同じように、ドックスライムは超高速の爪により切り裂かれた。
「ドックスライム破壊・・・今度はもう再生はできないぞ。さらにガーゴイルクラスターのレベルを、13から10に下げて、相手プレイヤーに直接攻撃!」
「ッ・・・・!」
ガーゴイルクラスターの超高速の爪による攻撃が、空を直撃した。
空の残りライフ5。
「さらにレベルを7に下げて・・・4回目の攻撃!」
「ああっ!この一撃を師匠が受けたら負けちゃいます!」
攻撃が当たる前に空は呪文を発動させた。
「オレは手札のダメージスライムの超能力を発動!自分が相手モンスターに直接攻撃を受けた時、このモンスターを手札から場に超能力召喚することができる。オレはダメージスライムを超能力召喚!」
空の場に、傷だらけのスライム族モンスターが超能力召喚された。
カード情報
ダメージスライム レベル3 種族スライム族 属性土
超能力 相手モンスターに直接攻撃を受けた時、このモンスターを手札から超能力召喚できる。
「フン・・・時間稼ぎ・・そんなもの、ワタシのまえでは無意味!ワタシはガーゴイルクラスターのレベルを10から7に下げて、ダメージスライムを攻撃」
ガーゴイルクラスターにより、ダメージスライムは破壊された。
「ダメージスライム破壊!さらにもう一度ガーゴイルクラスターのレベルを4に下げて、相手にプレイヤーに5回目の攻撃!」
ザン。
空はその攻撃を受けた。
空の残りライフ1。
「ああっ・・・し・・・師匠のライフがあと・・残り1に・・・・」
真琴は絶望した顔で、友人のカードバトルを見ていた。
マルドは冷たい視線で空を見た。
「わかっただろう貴様。これがカードバトルという真剣勝負を舐めた、貴様の結果だ。貴様は何もできず、絶望のまま負けろ・・・・だがこれは貴様にとってはいい学習なるだろう。カードバトルをワクワクしながらやるなどという、間違った気持ちでやらなくなるのだからな・・・」
空はこの状況で笑っていた。
「!・・・貴様ァ・・・・何を笑っている?」
クールな表情から一変、マルドは激怒した。
「いやな・・・・・ここからどう逆転するか考えただけで、ワクワクしてきてさ・・・・・・」
「愚か者がァ・・・・・アホウは死ななきゃわからないというのは、本当のようだな。いいだろう・・・・貴様に引導を渡してやる。覚悟する必要はない、もうワタシの勝ちは決まっているのだ、貴様はただそれを受け入れろ」
「やだね・・・・べーー・・」
空は舌を突き出した。
「最後までオレは、あきらめない」
空は、拳を顔のまえに持ってきて、それを、グッと握った。
「どう足掻こうと、このカードバトル・・・国を背負って戦うワタシに、貴様のような、ただ自分のため、楽しむためだけに戦う者が、敵うわけないのだ」
「・・・・あんたは、なんのためにモンスタートランプをやっているんだ?国のためか?それとも自分のためか?」
「黙れ!無駄口は終わりだ!・・・・ワタシのターンは終わりにする」
空からの質問にマルドは、まるでそれ以上の追及を恐れるかのように打ち切った。
シンプルの質問だが、その質問はマルドにとって考えさせられる、そして考えたくない質問であった。