VS犯罪集団 新撰組⑥
『空選手の勝利』
バーチャルボールから、勝利者へのアナウンスが流れた。
同時にバーチャルボールから作られていた、磁場が消えた。
ジョージはがっくりうなだれながら、ぼやく。
「ちぇ~・・・仕方ない・・・負けちゃったか~・・・まあ・・これできみも、おれたちの仲間になれるよ~」
空に向けたその言葉は、否定された。
「いや、ならないし・・・盗んだカードも返してもらうぜ」
「はい?」
空のその言葉にジョージが不思議そうな顔をしていると、メンバーが空に倒された時、地面に落ちていたダークボックスが、次々と開く。
「何ィ~?なんでぇ~どうやって・・・ダークボックスが・・・」
目を丸くして驚いているジョージに、一人の小学生くらいの影が近づく。
「残念だったね」
「!・・おまえは~」
それはさきほど、ここから離れた場所でウィルスを作っていた、銀髪の少年クルトだった。
「ま 名乗るほどの者じゃないよ・・・・ちょっとした仕掛けでね、あんたが負けた時、ダークボックスを開くようにしたんだよ」
「ど・・どうやって?」
「さあね・・自分で考えれば・・」
ジョージは舌打ちした。
「くッ・・こりゃあ~かったるいことになったね~おれの人生終わったかな~・・・」
その様子を見ていた、ヘリのパイロットは、その場から逃げるための準備を始めた。
「クッ・・隊長が負けた・・・・・ここは逃げ・・・」
ズガッ。
「ぎゃふっ」
「寝ていろ」
いつのまにかヘリの中に入りこんでいたマリアが、ハイキックでヘリの運転手を気絶させた。
そしてヘリから降り、空を称賛した。
「空、よくやった・・」
「ああ・・楽しかったぜ」
「そうか・・・それはよかった・・」
マリアは携帯で、周りを見張っていたみんなを集めた。
空のまわりにチームメンバーが集まってくる。
大地が空に近づき尋ねた。
「空・・・勝ったのか?」
「ああ・・・大地・・・・コイツの逮捕は頼んでもいいか?カードポリス志望のおまえに・・」
「ああ・・・わかった」
大地はどこからともなく取りだした手錠を、世界最大のカード盗賊団 新撰組7番隊隊長 ジョージ・マッカスにかけた。
「くっ・・・」
他の気絶した新撰組メンバーは、事前に用意したガムテープで後ろ手に縛られた。
「これで盗まれたカードは、すべて取り戻したな・・・」
マリアの手にはダークボックスから回収したカードがすべて集められていた。
「カカカッ・・・おまえら~よくもやっちゃってくれたな~・・・」
手錠をされ、メンバーで唯一意識があるジョージが、その場にいる日本代表メンバーたちに語りかける。
「おれたちに手を出せば~どうなるか、知らないようだな~・・・カカカッ・・・かったることになるぜ~・・後悔することになるぜ~・・おれたち、新撰組を敵に回したことを・・・・おまえ達は絶対に、必ず潰す・・・」
その恨みがこもった言葉に、空は笑って返した。
「負けないさ・・・オレたちなら。なっ・・大地」
その言葉に大地は、そっぽを向きながら小さく返した。
「・・・・・・・そうだな・・・・俺とおまえなら・・・」
こうして夜が明け、朝になった。
いよいよ今日、開会式が行われ、モンスタートランプ・ワールドカップ大会、第一回戦が、始まろうとしていた。