VS犯罪集団 新撰組②
ダダダッ。
そのまま大地は何も言わず、屋上をでて、階段を駆け降りた。
「なんだ・・・知り合いでもいたのか?」
ガチャッ。
空は皆が集まっている部屋にもどった。
「あっ!師匠・・・大地君のところに行ったんじゃ・・・・大地君は?」
「ああ・・・何か・・・知り合いでも見つけたらしくてな・・・どっかいっちまった・・・」
「知り合い?このハワイで?」
「ああ・・・・新撰組とかなんとか・・・」
「!・・・新撰組!」
マリアはその言葉に過剰に反応した。
「知っているのかマリア?・・・その人物・・・?」
「・・・知っているのも何も・・・そいつらはカード盗賊団だ・・・」
「カード盗賊団?・・・なんだそれ?」
「・・・・・カード盗賊団というのは・・・めずらしく、貴重なカードを盗んだり、無理やりカードバトルを挑み、負けたらその者のカードをすべて奪ったり、闇の違法カードを勝手に作り、売りさばいたりしている、犯罪集団だ・・・・」
「へーそんな奴らがいるんだ」
「その中でも新撰組は、日本で結成されたグループで、元々、心強き選ばれし者の集団、心選組と世界中に声明していたが、いまでは漢字を変え読み方だけを同じに新撰組と名乗っている。世界最大のカード盗賊団で、危険な奴らだ・・・・・それにしてもよく屋上から、新撰組だと気づいたな・・・見間違いではないのか?」
「ん 大地は正義の味方志望で、それにカードポリスを目指しているからな・・・絶対に間違っていないさ」
「・・・・そうか・・・空がそう言うなら信じよう。私も行く・・・日本モンスタートランプ協会の会長として、盗賊団を見逃すわけにはいけないからな・・・空もきてくれるか?」
「ああ、もちろん」
「皆、この部屋で待機していてくれ。相手は犯罪集団だ、どんな危険な目に合うかわからないからな」
そのマリアの言葉に、即座に反対する者たちがいた。
それはみかんと佐衛門と真琴の3人だった。
「あたしもいくわ!」
「うちもや!」
「ぼ・・ボクもです!」
3人の表情から、意思の固さが伝わってくる。
「マリア・・あたしたちだって、日本代表メンバーの一員なんだからね・・・仲間を放って、自分だけ見ているだけなんて、できるわけないでしょ」
「ぼ・・ボクも・・・足でまといにならないよう・・頑張りますから・・・」
「うちもや、合気道のたしなみくらいはありますえ」
「そうか・・みな、ありがとう。クルトおまえもこい!」
マリアは、この緊急事態でもずっと、無関心に携帯ゲーム機で遊んでいる弟に命令した。
「えー!・・・ぼくも・・・・・なんで?」
「おまえはコンピューターのハッキングが得意だろ?その力を借りるかもしれないからな・・・」
「えーーー」
「ん?私に何か文句でもあるのか?」
「・・・・・・ありません・・・ごめんなさい」
クルトはがっくりうなだれ、皆と一緒に部屋をでた。
「では行こう」
部屋をでていく皆に、一郎が叫ぶ。
「待ちたまえ!」
軽く息を吐くと。
「ふぅ・・・・・まったく・・・仕方ない・・・このボクも一緒に・・・・あれ?・・・・いない・・・・」
一郎を残し、部屋からは誰もいなくなっていた。
大地は物陰から、新撰組と思わしき人物たちが、大きな建物から何かを運んでいるのを見張っていた。
「やっぱり新撰組か・・・こんなところで・・・何してやがる?」
「おーい大地」
「!」
物陰から見張っている大地に空たちが近づく。
「空・・・!どうしてここに?・・それにテメェーらまで・・・・」
「場所はマリアに聞いた。奴らが狙うのならここだろうって・・・」
「帰れェ・・・俺一人で十分だ」
「断る!おまえがオレの立場なら、オレを絶対に手伝おうとするだろ?」
「・・・・・・チッ・・勝手にしやがれ・・・・・どうなってもしらねェーぞ」
「ふむ・・・・やはりここを狙ってきたか・・・・」
マリアは新撰組のメンバーが、大きな建物から、小さい黒い箱のような物を運んでいるのを確認した。
「・・・・ここには一体、何があるんだ?奴らはここから、一体何を運び出しているんだ?」
大地の質問にマリアが答える。
「ここは、ワールドカップ大会開催と同時に行われるカード展覧会が開かれる場所だ。やつらはきっと、この場所に集められる、世界中の、貴重でめずらしいカードを盗んだのだろう・・・」
「き・・・貴重って、どれくらいの物なんですか?」
真琴のからの質問に、マリアが答えた。
「その総価値・・・数十億は軽く超えるな」
「す・・数十億!・・・で・・・ですか・・」
真琴はその額を聞いて驚愕した。
「チッ・・・そんなことさせるかよ!奪い返してやる!」
「さすがだな大地・・・カードポリスを目指すだけはあって、正義感が強い」
「う・・うるせェーよ・・だ・・黙れ・・・・そ・・・そんなことより、取り返すぞあの荷物・・・どうせ飛行場で、ヘリにでも乗せて、そのままアジトに運ぶんだろ」
大地は物陰から出て、黒い小さな箱を運ぶ、新撰組を追跡しようとする。
「俺が一人でいく」
「一人じゃ危ないですよ!世界最大のカード盗賊団ですよ!」
それを真琴は止めるが、大地は聞こうとしなかった。
大地の肩を空が掴む。
「いや・・・オレ一人で十分だ」
「し・・師匠!・・・そ・・そうか・・・師匠の戦闘能力なら、いくら相手が束になってもかないませんよ・・簡単に取り返せます」
その言葉にマリアが首を振って否定する。
「ダメだな・・・もう奴らは、カードを人質に取っている」
「カードを人質?」
「奴らは・・・何か黒い小さな箱を持っていただろう?」
「・・・・そういえば、たくさん持っていましたね・・・あの中に盗んだカードがあるのでしょうか?」
「だからもうとり返しても・・手遅れなんだ」
「なっ・・・なんでですか?」
「・・・あの黒い箱の名は、通称ダークボックスといってな・・・あの箱を開けるにはパスワードが必要なんだ・・・無理やり開けようとしたり、パスワード間違っていたりしたら、中のカードが爆発し燃え尽きてしまう仕組みなんだ・・・捕えて聞き出そうとしても、パスワードは実行犯たちには知らされていない、たぶん新撰組のボス・・・またはアジトのコンピューターにあるのだろう・・・アジトから遠隔で、爆破や開封をできるらしいからな」
「そ・・そんなぁ・・・」
「奴らは盗んだ物が時間どうりにアジトに付かない場合も、ダークボックスの中身をアジトから爆破する。だから、貴重なカードを守るためには、あいつらを無事ヘリで送りだし、盗んだものをアジトに届けさせないといけないわけだ」
大地は提案する。
「じゃあ・・・実行犯を捕まえて、罪を軽くするかわりに、裏切らせて、アジトまで案内させるのはどうだ?」
「無理だな・・・ヘリは直接アジトにはいかず、荷物に発信器を付け、浮くようにしてパラシュートで海の上に落とし、それをまわりに誰もいないのを確認にしたあと、別の新撰組のメンバーがヘリで回収する・・・追跡は不可能だ」
「それじゃあよ・・・荷物にこっちも発信器をつければいいじゃねェーか?そうすればアジトの場所がわかるだろ」
「残念だがそれは、一度新撰組のメンバーを捕まえてやったことがある。だが、途中バレて失敗に終わってしまった。もう同じ手は通じないだろう・・・」
「メンバーを捕まえて、そのアジトの場所を吐かせれば?」
「いや・・奴らは作戦のたびにアジトを変え、その場所も実行犯たちには教えていない。捕まっても無駄だ・・・時間どうりにアジトにつかず、貴重なカードがこの世から消えてしまうだけど」
「チッ・・・・手詰まりかよ」
「いや・・・方法はある・・・そのためには・・・・空、クルト、おまえたちの力を借りたい」
「!」
飛行場の大きなヘリコプター前に、この犯行の実行犯であるリーダーがいた。
彼は、新撰組7番隊長 ジョージ・マッカスという。
ジョージはボサボサの髪を掻きながらぼやく。
「ん~~かったるいね~・・・・はやく盗んだ荷物ぅ持ってこないかね~退屈でしょうがないよぉ~・・・・・・・・・おっ!きたきた・・やっときた・・・ん?」
バタバタバタ。
黒い小さい箱を持ってきた、新撰組メンバー達は、次々とヘリの前で倒れていく。
「んん~・・なんだいこりゃぁ・・一体・・・どうなってやがるんだい?」
ジョージの背後から声がした。
「やあ」
「んん~~!・・・誰だいあんた?」
「オレか?・・オレは大空 空だ。よろしく」
「ああ~よろしく・・・って・・・じゃないでしょ!何者でぇ~何をしにここに来たぁんだ~いって聞いてるの?~もしかしてこの倒れちゃった奴ら~あんたがやったのかぁい?どうやってやったのかは~知らないがね~」
「ああ・・・」
「ほうほう・・・すごいね~・・・こりゃぁ・・・やばいねぇ~おれ・・・・もしかして・・・カードポリスか~い?」
「いや」
「じゃ~横から~おれたちのもん、ぶんどりにきたのか~い?」
「それは、できない仕組みになっているんだろう?」
「ほ~ダークボックスのことを~知っているのか~い?なら~何しにきたんだ~い?」
「オレを・・・・おまえ達の仲間に入れてくれないか」
「は~~・・・ん~~~・・・・こりゃぁ~~・・かったるいことになってきたね~~~・・・」