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モントラ  作者: ゆう
1章
3/49

VS関東チャンピオン③

「さあ、楽しんでいこうぜ」


空はいま、全力でカードバトルを、楽しむことだけを考えていた

たしかに彼は、店を守るために戦っている。

だが、一番は、自分のためである。

全力で楽しんで、悔いの残らないバトルをする。

それが自分の真の力を、発揮することを、無意識にわかっているのだ。


「・・・・・・・ふん、その余裕・・・すぐに絶望に塗りつぶしてあげるよ」


一郎は怒っていた。

この状況でカードバトルを楽しむ空に。

いままで、このような状況でバトルしてきた者たちは、皆、自分に恐れ、敗北を恐れ、デッキを失いたくないと恐れ、震えていたのに。

この者は違う。恐れない。

むしろこの状況を、楽しんでいるかのような気さえさせる。

理解しがたい人物だ。

一郎は直感していた。

この者は、ここで潰しておかないと、いずれやっかいになると、本能で。



「オレは、破壊されたジャイアントスライムの超能力を発動。」


空は、ファイア―ダークヒーローによって破壊された、ジャイアントスライムの超能力を発動させる。

墓地に落ちることで、発動するタイプの超能力だ。


「ジャイアントスライムは相手によって破壊されたとき。手札から好きなスライム族モンスター1体を、手札に加えることができる。オレはペルソナスライムを手札に加える」   


空はデッキから、ペルソナスライムを手札に加えた。


「無駄なあがきを・・・僕は残った骸骨剣士で、相手プレイヤーに直接攻撃!そして骸骨剣士の超能力発動!骸骨剣士は、バトルする時サイコロを振り、その出た目の数×2レベルを上昇させる」


サイコロがコロコロ転がる。

出た目の数は『6』。


「6!・・・ということはレベル13!・・・空くんのライフは13・・こ・・この攻撃を受けたら・・・空くんが負けちゃうぅぅぅ!」


真琴は絶叫する。


「大丈夫だ真琴。オレは呪文スライムバリヤーを発動させる。手札のスライム族モンスター1体を墓地に捨てることによって。あらゆる攻撃を無効にする」


空は呪文を発動させる。

その瞬間、空の周りを、ウネウネとスライム状のネバネバが覆っていく。

それが一気に硬質化し、骸骨剣士の6本の骨剣をはじき返す。


ガガガガガガッ。


「ちっ」

「そういえばあんた・・・関東最強なんだろ?」


舌打ちする一郎に、空は尋ねる。


「その通りだが・・・そんなあたりまえのことがどうした?」


一郎は息を吐き、やれやれ、という感じで答える。

 

「じゃあ、あんたに勝てば、オレが関東最強ってことになるな」

「!」


その言葉に一郎は激昂する。


「調子にのるなよドクズがァァァァァァァァァ!いいだろう、貴様のようなクズにはモンスタートランプの恐怖を教えてやる!二度とできなくなるくらい徹底的になァァァァァ」


空はその言葉を、手を横に振り否定する。


「いや、それはないない。オレ・・モンスタートランプ大好きだから」


ニカっと笑い。


「ッ・・・・・・・・!」

「さすが空くん・・・・」


その言葉に、一郎は絶句する。

真琴はその言葉に、さらなら空へのあこがれを抱く。

関東チャンピオンの挑発も、意図もせず、自分の意見を言うその姿に。


「オレは、スライムバリヤーによって捨てられた、ペルソナスライムの超能力を発動!ペルソナスライムは手札から墓地に捨てられたとき、場に超能力召喚できる」


場に、仮面を被った、スライム族モンスターが超能力召喚される。


超能力召喚とは 超能力の効果による召喚。

1ターンに1回の召喚とは違い、超能力を使用できるなら、1ターンに何度でも可能


カード情報

ペルソナスライム レべル1 属性水 種族スライム族 超能力 このモンスターが手札から墓地に捨てられた時場に、超能力召喚できる。


「空くん・・・これを見越して、手札にペルソナスライムを持ってきていたのか・・・」

「・・・・・僕のターンは終わりだ」


5ターン目。

空ライフ13 手札4。

一郎ライフ13 手札3。

空のターン。


「ドロー・・・オレはダブル召喚を使用する」      


真琴(ダブル召喚・・・・召喚は1ターンに1回だけすることができる。そして同時に、3体までのモンスターを召喚できる。ダブル召喚は同時に2体まで召喚する方法。これを使用する場合、次のターンまで呪文は使用してはいけない・・・)


「オレはピエロスライムと、侍スライムをダブル召喚。そして場にいるペルソナスライムとあわせて3体合体する」

「3体合体・・だと!」


空の場の3体のスライム族モンスターがくっつき、閃光と共にあらたなモンスターが現れる。


「合体召喚 団子スライム」


三つの顔に串が刺さっている。

串団子のようなスライム族モンスターが合体召喚された。


カード情報

合体モンスター団子スライム レベル9 属性 風 種族 スライム族 超能力???? 

合体条件 3体のスライム族モンスター。


「そして団子スライムの超能力発動!団子スライムはこのターン、待機状態になるかわりに、レベル3以下のモンスター1体を破壊することができる」

「!」


待機状態になったモンスターは、そのターンに、攻撃も合体素材にできなくるなる。

攻撃したときも、モンスターは待機状態になる。

ターン終了時に回復する。

呪文や超能力を使用し、合体素材にすることは可能。


団子スライムは、全身をぷるぷる震わせ、刺さっている串を発射させた。


「串砲!」


ズガッ。


槍のような一撃が、骸骨剣士を撃ち貫く。


「骸骨剣士を破壊!さらに、この超能力で破壊したモンスターのレベル分だけ、相手プレイヤーにダメージをあたえる」


骸骨剣士を撃ち貫いた串の一部分が欠け、一郎に突き刺さる。


グサッ。


一郎は、骸骨剣士のレベル分のダメージ、1を受ける。

一郎の残りライフ12。

その瞬間、一郎は呪文を発動させる。


「ぐっ・・・・僕は呪文ライフコントロールを発動。この呪文は、相手にバトル以外のダメージを与えられた時に発動できる。1から3の間好きなライフを回復していい。回復後デッキからカードを一枚ドローする。僕は1を選択する」


呪文効果によって、一郎のライフ13となる。


「!・・・・」

(なんで1?・・3を選択すればいいのに・・・プレイミス?)


通常なら3を選択して、ライフを15にしていたはず。

それなのに、一郎はそれをしなかった。

関東チャンピオンである彼が、自分でもしないようなミスをするのだろうかと、真琴は疑問に思う。


「オレのターンは終わりだ」


6ターン目。

空 ライフ13 手札3。 

一郎ライフ13 手札3

一郎のターン。


「僕のターン、ドロー・・・・」


一郎の引いたカードは、滅死の宣言。

それを見た一郎は、ニヤッと笑う。

事前に、未来予知の呪文効果で、このターンにくることはわかっていた。

これで、空を恐怖にいざなう準備は終わった。


「ふふっそろそろ終焉だよ。覚悟はいいかい?僕は骸骨ヒーローを召喚」    


一郎の場に、アンデット族モンスターが召喚される。


「そして場にいる、骸骨ヒーローとファイアーダークヒーローを合体させる。現れよ!

僕の最凶モンスター火の死神デス13!」


炎を纏った、赤い死神が合体召喚される。


カード情報。

合体モンスター火の死神デス13 レベル13 属性火 種族アンデット族 超能力????

合体条件 アンデット族モンスター一体と火属性の炎族モンスター一体。

合体条件2 ????


「レベル13!」


そのレベルに真琴は驚愕する。


「こいつはただ強いだけじゃない、こいつには不死身の力が備わっている。その恐怖・・味あわせてあげるよ・・・君に」

「そのモンスター・・」

「!」


空は、火の死神デス13を、指さした。


「あんたのライフ13に関係しているのか?」

「!・・・ほう・・・気づいたか・・やるねぇ・・たしかに・・こいつは不死身の力を持っているが、気難しくてねぇ・・・ライフ13の時しか合体召喚できないんだよ」

「だから13にこだわっていたのか・・・」


真琴の疑問は解けた。

なぜあのとき、ライフを1しか回復させなかったのか。

それらはすべて、このモンスターを召喚させるためだったのだ。


「終わりだ。こいつが現れたからには、君には絶望と恐怖と敗北しか残されていない」


それを聞いた空は。     


「それをすべてねじ伏せ・・おまえを倒す!」


手を前に出し、一郎に見せつけるように手を握った。


「・・・やってみろ」

「やってやるさ!」

「火の死神デス13で、団子スライムを攻撃。死喰い(デス・シザーズ)」


一郎の攻撃宣言と共に。デス13は炎に包まれ、消えた。

直後、団子スライムの背後の現れ、その手に持つ、巨大な黒い鎌を振り上げ、振り下ろす。

鎌の先端がパクっと開き、まるで猛獣のよう口が、団子スライムを噛み砕く。


ガブリッ。


ムシャムシャムシャっと、スゴイ音をたてて、団子スライムは食われ、破壊された。


「ああ、団子スライムが」


真琴はその異形のモンスターに恐怖する。


「僕のターンは終わりだ」


7ターン目。

ライフ13 手札3。 

一郎ライフ13 手札3。

空のターン。


「オレのターンドロー。・・・よし、オレは呪文発動!スライムキャノン!」     


空の場に、巨大な大砲が出現する。


「この呪文は自分のターンのみ発動できる。手札のスライム族モンスター1体を、墓地に捨てることによって、場のモンスター1体を破壊する。対象は火の死神デス13」


大砲が、デス13に向けられる。

空は手札を1枚墓地に捨てる。

その捨てられたモンスター、バードスライムが、大砲に装填される。


「スライムキャノン砲弾装填・・。ターゲットロックオン・・・・・発射ーーーーッ!」


ボゴンッ。


大砲の一撃が、デス13を木っ端微塵に破壊した。

それを見て真琴は、喜び飛び跳ねる。


「やったー火の死神デス13を破壊した」

「バカがァ不死身だと言ったろ。火の死神デス13の超能力発動。手札を一枚墓地に捨てることによって、火の死神デス13を再生させる」     


デス13はみるみると再生されていく。


「!・・・そんなぁ・・レベル13のうえに再生能力までもっているなんて反則だよ・・・」

「そしてダメ押しの呪文発動」


一郎は手札から、呪文を発動させる。


「滅死の宣言発動。この呪文は火の死神デス13が破壊された時発動できる。この呪文効果は発動後3ターンが経過したのち、強制的にこのバトル僕の勝ちとする」    

「なっ」


その絶望的効果内容に、真琴は絶句する。


「つまりは・・・予言どうり、10ターン以内に僕に勝つということさ。どうだい?自分の死の運命が決定した気分は?恐怖してきただろう・・・?」


その質問に空は。


「いんや、ワクワクしてきた。その死の運命もねじ伏せてみせる」

「・・・・・・・・あっそ」


さすがの一郎も、あきれるしかなかった。


「オレはカードスライムを召喚して、ターンを終わりにする」


空の場に、カードの形をしたスライム族モンスターが召喚される


カード情報

カードスライム レベル2 属性 水 種族 スライム族 超能力???


「・・・・おっと、いい忘れてた」

「!」

「このバトルでオレが勝ったら、勝のデッキも返してもらうぜ」

「!」

「て・・・転校生 ううっ」


その言葉に、闘技場の外で見ていた勝が泣く。

その言葉に、一郎は激怒する。


「貴様ァァァ!この状況で勝ったらだと?・・・よくもヌケヌケとそんなこと・・・!」

「いいだろ?」

「ダメだ!」

「なんで?金持ちなのに、ケチだなー」

「黙れェ!・・僕はねぇ・・人から奪ったデッキを、コレクションするのが趣味なのさ。たまにそのデッキをみて思いだすんだ。僕に負けた、負け犬のみじめな姿を・・・・それがたまらなく楽しいィィ」


一郎は、舌なめずりをした。

それを見ていた、店長と勝は。


「なっ・・なんて最低な野郎だ!人のカードを奪って楽しんでいるなんて!」

「キミがそれを言うかい?」

「て・・店長ォ!・・お・・・俺は自分で使うためにカードを奪っているんです。コレクションにするためじゃない」

「・・・・・・コレクションにするためじゃないか・・・・そうだな・・・・」

「?」


その言葉に店長、天野 剣也は、1枚のカードを取り出した。


「君に勝って、奪ったデッキは1000個目・・・・だから返すことはできない」

「じゃあこのカードを賭けるよ」

「!」

空「店長!」


店長、天野 剣也が、闘技場の上にあがり、1枚のカードを一郎に見せる。


「そ・・・そのカードは・・・・伝説のカードレジェンドナイト!・・・世界で一枚しかない、世界チャンピオンに渡された伝説のカード・・・それをどこで・・・?」

「いやぁー友達に借りただけだよ」


店長は照れくさそうに笑う。


「このカードを、空くんのデッキにスキャンして入れる。そうすればキミが勝った場合。彼のデッキと共に奪えるだろう・・・・これでどうだい?」

「・・・・いいでしょう喜んで承諾します」


ニヤッと笑い、一郎は丁寧にお辞儀する。

まるでもう、自分の手に入るかのようだった。

闘技場の外から、勝が聞いた。


「い・・いいんですか・・そんなカードを?」

「ああ、あいつなら・・・彰人ならきっと同じことをした」

(そうだろう・・・・彰人)


『デッキスキャン』


店長の持つ、伝説のカードレジェンドナイトが、空のデッキに入れられた。

その様子を一郎は、ニタニタいやらしい顔で見つめていた。


「ふふ、今日は最高の誕生日になりそうだよ。伝説のカード、レジェンドナイトが手に入るんだからね」

「喜ぶのはオレに勝ってからにしたほうがいいぜ」


空の言葉に一郎は、ふぅーっと息を吐き。

憐みの目で言った。


「もう決定しているよ・・・運命は。君の死でね」


一郎の冷たい視線と空の熱い視線がぶつかる。


8ターン目。

空ライフ13 手札2。 

一郎 ライフ13 手札1。

一郎のターン。


「僕のターンドロー。呪文発動ゾンビの群れ。自分の場にレベル10以上のアンデット族モンスターがいるとき、この呪文は発動できる。デッキからレベル1のアンデット族モンスターを2体までを手札に加えることができる。僕は2枚のカードを手札に加え、スカルミサイルを召喚。そして火の死神デス13でカードスライムを攻撃」   


ガブリッ


カードスライムは、火の神デス13によって破壊された。


「カードスライムは破壊された時、デッキからカードを一枚ドローできる」

 

空は、カードスライムの超能力で、カードを1枚ドローする。


「ふん・・・残ったスカルミサイルで、プレイヤーに直接攻撃」


カード情報。

スカルミサイル レベル1 種族アンデット族 属性火 超能力????


ミサイルを背負った、アンドット族モンスターが空を襲う。


ザン。


スカルミサイルの、ひっかき攻撃が、空にヒットする。

空のライフはあと12。


「僕のターンは終わりだよ」


9ターン目。

空 ライフ12 手札3。  

一郎 ライフ13 手札2。

空のターン。


このターンが終了したと同時に、滅死の宣言が、空に敗北を告げる。

このターンに、なんとかしないと、空は負ける。


(こ・・これが、空くんの最後のターン・・・このターンにどうにかできなければ・・・・・・)


真琴は、不安な表情でうつむく。

そのとき、空から声をかけられる。


「大丈夫だ、真琴」

「!」

「オレを信じろ。それと、自分とみんなのカードもな」


その言葉に励まされた。

一番、励まされなければいけない人物から、励まされてしまった。

真琴は自分を叱咤し、空の言葉に応える


「はい!」


その言葉を聞いて空はニコッと笑い、最後のカードをドローする。


「ドロー―」      


空は最後のカードをドローした。

そのカードを見た。


「!・・きた!オレはレジェンドナイトを召喚する」     


空の場に、黄金の甲冑と仮面をつけた、戦士族モンスターが召喚される。


カード情報。

レジェンドナイト レベル ? 属性 ? 種族? 超能力 ????


「!・・・来たか伝説のカード・・・!」

 (一体・・・どんな力を・・・・・!)

「なっ!・・・レベル15!バカな!」


レジェンドナイトのレベルは15。

火の死神デス13を凌駕していた。


「れ・・・レベル15のモンスターを、何の条件もなしに召喚だと」

「条件はあるさ。ただそれを満たしているだけだ」

「そ・・それは・・?」

「レジェンドナイトは墓地に、火属性、水属性、風属性、土属性のモンスターがすべてそろっている時。場に召喚することができる。そしてレジェンドナイトの、究極超能力を発動!ライフを10ポイント支払うことによって、レジェンドナイトはこのターン、4回連続攻撃ができる 」   

「何ィィィィィィィィ!4回・・だと!」


空の残りライフは2。


「レジェンドナイトいけ!エレメントスラッシュ!」


空の攻撃宣言と共に、レジェンドナイトは、自身の持つ、超巨大な黄金の剣でスカルミサイルを切り裂く。


ズバッ。


「スカルミサイル破壊」


そして火の死神デス13を、3回ぶった切る。


ズバズバズバッ。


「火の死神デス13を、3回破壊!」


これによって、一郎の手札2枚は、再生コストにすべて使われゼロになった。

火の死神デス13は破壊され、墓地に送られる。


「や・・やったぞ・・・空くんの勝ちだ・・・」


真琴は勝利を確信し、よろこぶ。


「いや・・・僕の勝ちだよ」

「なっ・・何をいってるんですか・・あなたは?あなたの手札も、モンスターも0この状況で!」

「見たまえ」


一郎は上空を指さす。

そこにあったのは、呪文カード滅死の宣言。

滅私の宣言は、まだ発動したままだった。


「!・・アレは滅死の宣言・・・! なんで発動したまま・・・火の死神デス13は破壊したはずなのに・・・」

「勘違いしているようだが・・滅死の宣言は、火の死神デス13が破壊されても、その発動は止まらない」

「そんなぁ!」


てっきり発動のキーになった、火の死神デス13を破壊すれば、滅死の宣言は、その発動を停止すると思っていたのに。

違っていた。


「つまりは・・このターンが終われば自動的に僕の勝ちとなる」

「!」

「ほしかったねーあと一撃だったのに・・・・」


空はその言葉に被せて言った。


「ああ、あと一撃で俺の勝ちだ」

「はぁ?何をいっているんだい・・キミは?」


空の不可解な言葉に、一郎は顔をしかめる。

空は呪文を発動させた。


「オレは呪文、交換復活を発動させる。場にあるモンスター1体を墓地に送ることによって、墓地にいるレベル3以下のモンスターを場に、呪文召喚できる。オレはレジェンドナイトを墓地に送り、ドックスライムを呪文召喚する。そして、ドックスライムで相手プレイヤーに直接攻撃」


呪文召喚されたドックスライムが、一郎に直接攻撃を仕掛ける。


「バカがァ。ドックスライムはレベル1。あたえられるダメージは1。これでどうやってあと一撃で、僕を倒すと?」

「まだまだ呪文発動ラブハート」     1


空が呪文を発動させた、そのとき、カツカツカツっと、洞窟の階段を降り、一人の少女が入ってくる

長い銀髪の美しい少女だ。

どこか、日本人離れをした、雰囲気を感じさせる。

少女は発動中の、呪文ラブハートに注目した。


「!・・・あのカードは!・・・・・それに・・・」


発動者の少年を見て驚いた。。



空は呪文を続ける。


「この呪文は、場にいるモンスター1体のレベルを、墓地に存在するそのモンスターと同じ種族のモンスターの数×2上昇させる」

「なっ!」

「墓地にいるスライム族モンスターは8体。よってドックスライムのレベルは17に上昇」

「何ィィィィィィィ!この攻撃を受けたら、この僕が負ける・・・・・・・・・・・・・・なーんて・・甘いわァァ!」


一郎は、墓地にいるスカルミサイルの、超能力を発動させる。


「この瞬間、墓地にいるスカミサイルの超能力発動!墓地にいるこのモンスターをデッキの一番下に戻すことによって、呪文によってレベル上げるモンスター1体を、その発動前に破壊する」

「!」

「スカルミサイル!発射ーーーッ!」


墓地から、ミサイルが発射される。

それがドックスライムを直撃した。


ドカーン。


爆風とともに、ドックスライムは万に爆散する。


「あはははははははははっこれで僕の勝ちだァァァァァ」

「・・・・・忘れてるぜ、ドックスライムの超能力を」

「はっ!」

「ドックスライムは1ターンに1度再生できる」

「し・・・・・・しまったああああああ!」


一郎の悲鳴と共に、万に暴散したドックスライムが、集まり、再生を果たす。

再生されたことによって、ラブハートの呪文効果がドックスライムに流れ込む。


「そしてラブハートの呪文効果で、ドックスライムのレベルは17に上昇!」

「ひぃっ」

「これが、おまえがクズとバカにした。カード達の集まった力だ」

「た・・たすけ・・・ひっ・・・ひいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」


悲鳴をあげる一郎に、超巨大化したドックスライムの尻尾が、振り下ろされる。


「スライムテイル」

「ぎゃああああああああああああああああああああああああああっ」


一郎は押しつぶされる。

一郎のライフは0になった。

ドーム内から、勝利のアナウンスが流れる。


『勝者 空選手』


「うっし、勝った」



空はガッツポーズをし、


「こ・・この僕が・・・・・・ま・・負けた・・・・」


一郎は、膝をガクっとつく、うなだれた。

その一郎に空は近づき。


「楽しかったぜ、あんた、またやろうぜ。今度は何も賭けずにさ」


握手を求める。

だが、負けたことにより、放心状態の一郎には、その言葉は聞こえていなかった。

そして涙を潤ませ。


「ううっ・・パパに・・・・パパにいいつけてやるゥゥゥゥゥゥゥゥゥ! うえ~~~~~ん」


泣きながらドームを去っていった。

あっコケた。

そんな様子を見ていた、勝と店長は。


「・・・・だ・・・大丈夫ですかね・・・あいつ。この店をちゃんとみんなで使わせてくれますかね?」

「ああ、彼はプライドの塊だ・・これ以上の恥の上塗りはしないだろう。君のデッキもあとで、私が返してもらうよういってくるよ」



空の後ろでバトルを見守っていた真琴が。


「か・・・・勝ったーーーー」


喜びのあまり、空に飛びつき、抱きついた。


「やったーーーーやったやったやったーーーー空くんすごいかっこいいィィィィィィやったーーーーーーー」


勝利の喜びに、歓喜する真琴。

そのとき、強く抱きつかれていた空の体が崩れる。


「!・・・空くん!」


そのまま床に、大の字で倒れてしまう。


「ど・・どうしたんですか・・空くん?まさかいまのバトルで・・・」

「たのしかった」

「へ?」

「たのしすぎてめまいがした」

「・・・・・・・」


空は大の字のまま、バーチャル映像の宇宙に大声で叫んだ。


「オレは、宇宙最強のモンスターバトラーになるぞォォォォォォォ!」


その言葉に、皆が唖然とする。

さまざまな思いの中、一人だけ空に対して、特別な感情を抱く者がいた。

それは、あの銀髪の少女だった。

少女は、ドームの去り際に、こう言い残した。


「ふふっ・・とうとうみつけた、私の運命の・・・・ふふ」


意味深な言葉を残し、少女は消えた。



「あの・・・それが空くんの夢ですか?」


大の字で寝る空に、真琴は聞いてみた。


「ああ、子供の頃からのな・・」

「・・・・・・・宇宙人って、いるんですか?」

「いるかもしれないだろ」


二カッと笑い、空はそう答えた。


「・・・・そうですね いるかもしれませんね」


真琴もニコッと返した。

だけど真琴には、1つ疑問があった。

それは


(でも・・・いたとしても、モンスタートランプやるのかな・・・宇宙人?)


いま。


空の物語が、始まった。


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