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モントラ  作者: ゆう
1章
29/49

ワールドカップ前日①


いよいよ明日、モンスタートランプ・ワールドカップ大会の1回戦が、始まろうとしていた。

この大会は土日を利用し、一週間ごとに一回戦ずつ戦っていくのだ。

一回戦ごとにその場所を変え、さまざま場所で戦っていく、一回戦目と開会式は、ハワイで行われる。

それに向けて、日本代表のメンバーは、ロビーに集まってきていた。

ロビーにいるメンバーは山田 大地、明智 佐衛門、伊集院 一郎、愛媛 みかん、そしてサポーターの、上多 真琴、日本モンスタートランプ協会の会長である、海原 マリアの6人だ。

マリアがみなの前にでて話す。


「それでは、皆、集まったようだな・・・もうすぐ大会の会場であるハワイへの便がでる。各自忘れ物のないようにしっかり準備をしてほしい」


サポーターである真琴が手をあげマリアに質問をする。


「あの・・・師匠がまだいないんですけど・・・寝坊したら大変だからって先に空港に行くって、おととい電話がきたんですけど・・」。

「ああ・・・それなら大丈夫、いる場所ならわかっている」

「あっ・・・そ・・そうなんですか?・・なら大丈夫ですね」


真琴はホッと胸を撫で下ろす。


「それと皆に紹介しよう・・・うちの弟を・・・・」

「え?弟・・・・」


マリアがロビーのベンチに座っている、携帯ゲーム機で遊んでいる少年に声をかける。


「クルトこい!」

「・・・・・・・・・・・・・」


マリアが呼ぶと、その少年は、めんどくさそうにゆっくり立ちあがると、こっちに近づいてきた。


「私の弟、クルトだ。よろしく頼む」


マリアがクルト呼ぶ少年の背中を軽く叩く。

みかんがマリアに言った。


「あ・・あんた・・・な・・なんで、弟なんて連れてきてるのよ?連れていけるのは、選手のサポーターだけでしょ?会長は連れてきていいなんて話、聞いてないわよ」

「いや選手だ」

「は?」

「うちの弟が、このまえの日本代表決定戦で勝ち上がった、最後の一人だ」

「えっ!そ・・・そうだったんですか?・・マリアさんの弟さんが・・・」


意外な答えに真琴もみかんも驚く。


「無愛想な弟だが・・・・・よろしく頼む」


マリアはめずらしく、深々とおじぎをした。

だが姉が頼んでいる横で、弟は、無関心に携帯ゲーム機で遊んでいた。


「ほら、クルト。挨拶をしろ」


姉に諭され、マリアの弟がため息をしながら挨拶をする。


「ふぅ・・・・・海原 クルトです・・・よろしく」


淡々と、何も感情をこめず一言いうと、すぐまた、携帯ゲーム機で遊び始めた。


(なんだかな・・・・・)


真琴はその様子を見て不安を感じる


(この日本代表メンバーで、本当に大丈夫なのかな・・・・特に・・・)


真琴は、一番の不安要素である2人の人物を見た。

そこにいたには、山田 大地に突っかかる、伊集院 一郎の姿だった。


「ふふっ山田君・・・勘違いはしてないかい?」

「あ?」

「言っておくが、このまえのカードバトル・・・僕は全然本気をだしていないからね・・・

たまたま勝ったからって、僕より強いだなんて思っちゃいけないよ」

「・・・・・・・・・・・・」


大地はあからさまに無視した。


「くっ・・・この僕を無視する気かい?予選大会優勝者であるこの僕を・・・・君はあくまでは準優勝者にすぎないのだよ・・・あまり調子に乗らないでくれたまえ」

「・・・・・・・」

(うぜェーな・・・誰だこいつ?・・・・・・・・・ああ!・・・思い出した・・・・あの、お漏らし野郎か・・・)


「今度は全力でやってあげるよ」

「全力で漏らすのか?」

「ち・・・違う!そっちじゃない!」


一郎は過去の赤っ恥を言われ、赤面する。

真琴はその様子を見て、苦笑いすることしかできなかった。


「あ・・・あははっ」

(あの2人・・あいかわらずだな・・・・・・ホント・・・大丈夫かな?)


真琴は、このチームに対してのチームワークに、ものすごく不安を感じていた。


「おーいみんな」

「師匠!」


ロビーの奥から、空が手を振って近づいてくる。


「みんな集まっているみたいだな」

「師匠、どこ行ってたんですか?まさか・・・いま空港に着いたんじゃ?」

「いや、昨日から着いてたよ」

「えっ!昨日・・・・」

「ああ、昨日、空港に着いて、ここでずっと寝泊まりしてた」

「えーーー!昨日から!・・・な・・・なんで、わざわざ・・・・」

「今回、遅刻したらヤバいからな・・・ここで寝泊まりすれば、さすがのオレでも遅刻しないだろ」

「い・・・いや、そ・・そうかもしれませんけど・・・その間、一人で暇じゃなかったですか?」

「全然。空港にあるバトルドームで、ずっとカードバトルしていたからな、退屈はしなかったよ」

「そ・・そうですか・・・」

(さ・・・さすが師匠・・・)


みかんはあきれた顔で空に言う。


「あんたね・・・空・・・・まったく・・・何考えているのよ?」

「ん?モンスタートランプのことだけだけど」

「・・・・あっそ・・・・・・・・・・空、その・・・もしよければ、今度、こんなことがあったら・・・・あ・・あたしが、起こしにいってあげるわよ・・・い・・・言っておくけど、仕方なくだからね、感謝しなさいよ」

「いやいい」

「はぁ?・・な・・・なんでよ・・・せ・・せっかく、このあたしが・・・・」

「それはマリアに頼んであるからいい」

「はぁ?」

「昨日も、マリアに頼んで、起こしてもらったんだ。そのあと一緒にこの空港まできて、ここで寝泊まりしたんだ。さっきまで一緒にカードバトルしてたのも、マリアだしな」

「ちょ・・・ちょっと・・・あ・・・あんたたち・・・い・・・一体・・・・ど・・・関係なのよ?」

「ん?いちおう付き合っているけど」

「はへぇ?・・・え・・・・えっとぉ・・・・い・・・いま・・・・な・・・なんて言ったのかな・・・・?」


みかんはその言葉に耳を疑い、もう一度空に聞き返した。


「だから・・・恋人になってほしいって前にいわれて・・・・マリアと恋人になったんだ」

「ええええええェェ!そ・・そんなバカな・・・・・う・・・嘘でしょ・・・」


みかんはその言葉に驚愕して、フラフラに倒れそうになる。


「ほんとほんと」


空は明るいのノリで答える。


「あ・・・あんたねェーー!・・・い・・・・一体、どうつもりで、なんてことしてくれてんのよ!」


みかんは、空にすごい剣幕で詰め寄る。

そんなみかんにマリアは、そっと近づき耳元で囁く。


「ふふっ・・恋は先手必勝だ・・・」

「がァっ・・・こ・・・・この・・・」


みかんは怒りとショックのあまり、その場で気を失いそうになるが、なんとかこらえた。


「空ァァァ!あんた、この女のこと好きなの?」

「え?好きだぜ。カードバトル強いしな」

「なっ!・・・・そ・・・そういう意味じゃなくて、女として好きかどうかって聞いているのよ!」


空は少し考えて答えた。


「んーー・・・よくわからないな・・・・マリアに恋人になってほしいって言われて、恋人って、どんなで、具体的どういうものなんだって聞いたら、マリアが毎日一緒にいて、カードゲームする関係って言ったから、ならいいやって思って、付き合ったんだけど」

「それ、詐欺じゃない!」

「いや・・・・でも・・・・明確には間違っていないような・・・・・」

「あんたバカじゃない!・・・そんな適当な理由で付き合って、人生最大のイベントを棒に振って」

「ど・・どうやら師匠は、告白されて、カードゲームが毎日一緒にできるからっという理由で、付き合っているみたいですね・・・・恋人の意味もよくわかっていないみたいですし・・・」

「ってか、それ・・・全然恋人同士じゃないじゃない!お互いがお互いを好きでもなんでもないじゃない!」


みかんはマリアを睨みつける。


「ふっ・・・」

「ふっ・・・じゃないわよ、あんたァ!・・・・・・・・・そうよ・・・それならあたしにも、まだチャンスがあるってことじゃない・・・・そんな適当なら・・・あたしにだって・・・」

「チャンス?なんのことだ、みかん?」

「なっ・・なんでもないわよ!ば・・バカ・・・う・・・うるさい」

「?」


みかんは真っ赤になる。

その様子をはなれて見ていた明智 佐衛門は、ため息をつきながら一言つぶやく。


「はぁ・・・・・それなら、うちにも・・・チャンスはあるんやろうか?」

「い・・いえ・・・佐衛門さんは男ですから・・・なにもないと思います」

「はァ・・・・殺生やな・・・・」

(い・・・いや・・・あ・・・あるからダメなのかな・・・・)


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