VS元世界チャンピオン④
4ターン目
空 ライフ15 手札2
剣也 ライフ15 手札2
剣也のターン
「わたしのターンドロー・・・わたしはライト二ングウルフで、レッドスライムを攻撃!」
ライト二ングウルフは、体をかがめ、攻撃体勢に入る。
「ライト二ングファング!」
ライト二ングウルフは光速で駆けだすと、その鋭い爪でレッドスライムを襲う。
その攻撃が直撃する前に、空は呪文を発動させた。
「オレは呪文発動!スライムの沼。この呪文は場にスライム族モンスターがいる時に発動できる。相手モンスターはこのターン、こちらに攻撃することができない」
呪文発動後、空と店長の間に、スライムのぶよぶよした感じの巨大な沼ができた。
ライト二ングウルフは、その沼の前で停止し攻撃を止めた。
「おおーー!すごい師匠・・・1体を対象にする呪文じゃ、ライト二ングウルフにかわされちゃうけど、すべてを対象にする呪文なら、その呪文は回避できない・・・頭いいっ師匠」
それによろこぶ真琴だが、マリアは苦言をていする。
「・・・・だが、一時しのぎにしかならないぞ」
「そ・・それは・・師匠もわかっていますよ・・・・・ここからいつもどうり、逆転してくれます・・・」
「そうだな・・・・絶対に・・・」
店長はバーチャル映像の手札に触れる。
「わたしはバトルウルフを召喚して・・・ターンを終わりにする」
カード情報
バトルウルフ レベル4 種族獣族 属性火 超能力?????
5ターン目
空 ライフ15 手札1
剣也 ライフ15 手札2
空のターン
「オレのターン・・・ドロー。オレは、3体のスライム族モンスターを合体させ、スーパースライムを合体召喚する」
場にある、レッドスライムとドックスライム2体が合体し、マントをつけたスライム族モンスターが合体召喚された。
カード情報
スーパースライム レベル10 種族スライム族 属性風
超能力 1ターンに1度だけ、レベルを元のレベルの倍にする。この超能力を使用したターン、このモンスターは破壊され墓地に送られる。
「オレはスーパースライムの超能力発動!スーパーバスターモード!この超能力はスーパースライムのレベルを元のレベルの倍にする。そのターン終了時に、このモンスターは破壊され墓地に送られる」
スーパースライムのレベルが10から20に上昇した。
「よし、師匠の必勝パターンだ!」
空は、スーパースライムに攻撃を宣言する。
「レベル20になったスーパースライムで、レベル12のライト二ングウルフを攻撃!スーパーフライングアタック」
スーパースライムはマントを羽ばたかせ、空高く飛び上がった。
「よし!これなら、ライト二ングウルフを倒せる!」
だが、真琴の思うような展開を、簡単に許すほど、元世界チャンピオンは甘くはなかった。
「わたしはバトルウルフの超能力を発動。このカードを手札に戻すことによって、攻撃中のモンスターの超能力を1ターンの間、無効にすることができる」
「!」
店長はバトルウルフを手札に戻す。
そのことによって、スーパースライムのスーパーバスターモードは解除され、レベルを10に戻されようとしていた。
「あわっ!これじゃあライト二ングウルフに攻撃中のスーパースライムはレベル10に戻され、逆にバトルで破壊されちゃいますよ!」
「まだです・・・オレはその超能力が発揮される前に、呪文スライムボムを発動!この呪文は場のスライム族モンスター1体を破壊するとによって、そのモンスターのレベル分、相手モンスター1体のレベルを永続的に下げることができる。この呪文によって0以下に下げられる時、そのモンスターを破壊することができる。オレはレベル20のスーパースライムを破壊して、ライト二ングウルフのレベルを下げる」
「いいですよ、師匠。これなら一気にレベルを20下げて0以下にできる。ライト二ングウルフを破壊できます!」
「ダメだな!」
「え・・?なんでですか・・・マリアさん」
「忘れたのか?ライト二ングウルフの超能力は1ターンに1度、1体を対象とする呪文を回避できることを・・・」
「あっ!そうだった・・・!」
店長は、ライト二グウルフに命じた。
「避けろ!ライト二ングウルフ!」
その命令によりライト二ングウルフは、その場で光輝く。
光速で避ける準備をした。
ドガ―――ンドガ――ン。
ライト二ングウルフに、スライムボムが直撃した。
その場から爆風がおきる。
だがそれを間一髪で避け、爆風の中からライトト二ングウルフが飛び出る。
ライト二ングウルフは、その呪文を光速で避けたのだ。
「空くん・・・キミらしくないミスをしてしまったね・・」
その店長の言葉に、空はニッと笑う。
「いえ、ライト二ングウルフのレベルを見てください」
「ん!・・・なっ!・・・ライト二ングウルフのレベルが、2に下がっている・・・これは一体・・・?」
「スライムボムが当たっていたんです」
「!・・だが、それは避けたはず・・」
「誘爆です」
「誘爆!」
「スライムボムが発動され時、墓地にもう1枚のスライムボムがある時、その効果を半分にして1度だけ、同じ対象に墓地からスライムボムを発動させることができるんです」
「そうか!・・・・ライト二ングウルフは1枚目のスライムボムを避けたが・・・2枚目のスライムボムを避けることができなかったんだね・・・・・それによってレベルを10下げられたわけか・・・・・強いね、空くん・・・キミとやっていると、彰人とやっている時の手ごたえを思い出すよ・・・いや、もしかしたそれ以上かもしれないな・・・」
「いや、店長がブランクがあるだけですよ。今度、完璧の状態の店長とやってみたいです」
その戦いの様子を見て真琴は打ち震えていた。
「す・・すごすぎる・・・な・・・なんて戦いだ、このカードバトル・・・・師匠も店長も、ボクなんかとはレベルが違いすぎる・・・」
店長は手札に触れた。
「わたしは呪文発動、獣達の怒り。この呪文は自分の獣族モンスター1体のレベルが下げられた時に発動できる。その下げられたモンスター1体と手札にあるモンスター1体を合体させることができる。わたしはライト二ングウルフと手札のバトルウルフを合体!シャイニングライト二ングウルフを合体召喚!」
店長の場に、光り輝く銀色の毛を持つ、巨大な銀狼が合体召喚された。
カード情報
シャイニングライト二ングウルフ レベル15 種族獣 属性風
超能力????
合体条件 シャイニングウルフともう1体の獣族モンスター
「レベル15・・・・」
(・・・・・・それに・・・なんだろうこの威圧感、ビリビリくる・・・師匠はあのモンスターを倒せるのだろうか・・・)
「これが・・・いまのわたしのデッキにある、最強モンスターだ。このモンスターをキミならどう打ち倒す?」
「・・・・・・・・・・」
空は無言で手札に触れる。
「オレは呪文発動!スライムの助け船。この呪文は相手の場にモンスターがいて、自分の場にモンスターがいない時に発動できる。墓地にあるスライム族モンスターの数だけカードを引き、その中の1枚だけを残して、他はすべて墓地に捨てる。」
空はデッキから3枚のカードを引いた。
「!・・このカードは・・・・」
その中にはスライム族モンスター2体と、そして店長達の絆のカード、レジェンドナイトがあった。
いままで手札に引いたことがなかったのに、ここで、いや、ここでだからこそ引いたのだろう。
空はレジェンドナイト以外のカードを墓地に捨てた。
「オレは、レジェンドナイトを召喚する!」
「!」
空の場に、黄金の甲冑と仮面をつけた黄金の騎士が超能力召喚された。
カード情報
レジェンドナイト レベル15 種族戦士族 属性 火 風 土 水
超能力 ライフを10ポイント支払うことによって、相手に4回連続攻撃ができる。
召喚条件 墓地に火 風 土 水 すべての属性のモンスターがそろっている時。
「あれは・・・レジェンドナイト・・・・・師匠がいままで1度も手札にきたことがないって言っていたのに・・・」
「きっと・・・・店長の想いに応えて、現れたのだろう」
その光景に真琴とマリアは、どこか感慨深く感じていた。
だが、みかんの考えは現実的であった。
「いや・・・たまたまでしょ」
そのモンスターを見て店長は、まるで時が止まったかのように、放心していた。
しばらくして口を開き。
「レジェンドナイトか・・・・・・そうか・・・ここできたか・・・・・」
涙を潤ませ、まるで無二の親友を見ているかのように、レジェンドナイトを見つめていた。
そして店長はキッと、レジェンドナイトと空を見据えた。
「そのカードなら相手にとって申し分なし・・・勝負!」
空と店長の間に緊張感が高まる。
お互い見つめ合い、まるで火花が飛び散るかのように感じられた。
そして場のモンスター達も、お互い見つめ合っている。
まるで宿命のライバルであるかのように。
究極モンスター同士のバトルが、いまきって行われようとしていた。
「お兄ちゃーーーん」
「!」
そのとき、闘技場の外から声がかかる。
「舞!」
店長がその者の名を呼ぶ。
見た目は20歳前後の女性だ。
「お兄ちゃん・・・まだいたの?もう飛行機の時間だよ、行かなくていいの?」
「あっ!・・そ・・・そうか・・・す・・・すまん。あ・・・ありがとう」
店長はそそくさと、闘技場を降りると、さきほど持っていた手荷物を持ち空に言った。
「空くんすまない。このカードバトルの続きはまた今度にしてくれないか?」
「はい。残念ですけど・・・わかりました」
「ありがとう。それじゃあ行ってくる」
バトルドームの外に出ようとする店長に、真琴が声をかける。
「あの・・・店長・・・故郷に帰ってどうするんですか?」
「今日は彰人の10周期なんだ・・・・・」
「え!」
「墓参りには行けそうにはないが・・・・その近くくらいには行こうと思ってね・・・
だが、今回のカードバトルや、キミ達に諭されて、墓参りに、行ってみようと思う・・・」
「そうですか・・・・がんばってください。墓参りなのに、変ですけど・・・」
「うん、墓の前で、彰人にいい報告ができそうだよ・・・」
「店長!このカード」
空は店長の前まで来て、レジェンドナイトのカードを差し出す。
「・・・・・・やはりそれは、空くん、キミが持っていてくれ・・・いや、預かっておいてくれ。わたしにまだ、それを使う資格があるかどうかわからない・・・だが、また今度、キミとカードバトルする時、それを受け取れるよう、心を決めておくつもりだ」
「はい・・・いってらっしゃい、店長」
「うん、じゃあいってくるよ。またねキミ達」
店長は4人に手を振りながら、バトルドームを去っていく。
真琴が空に尋ねる。
「店長・・・・・またカードバトルを始めてくれるでしょうか?」
「ん 大丈夫だろ・・・あの顔見たらな」
「そうですね・・・スッキリした顔してましたしね」
マリアは、ゴホンっと軽く咳払いした。
「さて、空。店長のことはいいが・・・あなたは、もうすぐワールドカップがあることを忘れてはいないか?」
「いや、全然」
「そうか・・・じゃあ、今日から一週間、特訓だな。いや、あなたの場合、カードバトルは特訓の内に入らないか」
「ああ、楽しいことをするのは、特訓とは言わないからな」
「じゃあ、なんて言うんですか?」
「カードゲーム最高!」
空は満面の笑みで答える。
その言葉にみかん達は。
「意味わかんないし・・・」
「師匠・・・それ言葉になってませんよ」
「だが空らしい・・・」
皆で笑いあった。
こうして、空たちは一週間、毎日のようにモンスタートランプに明け暮れ、そして明日、ハワイでモンスタートランプ・ワールドカップ大会が開かれようとしていた。