VS元世界チャンピオン③
2人のカードバトラーの前に初期手札5枚が、バーチャル映像のカードとし配られる。
その大きさは1メートルほど。
プレイヤーの前に、浮くように映し出されていた。
『先攻は空選手』
女性的機械音でそう流れる。
1ターン目
空 ライフ15 手札5
剣也 ライフ15 手札5
空のターン
空は手を横に振るモーションで、バーチャル映像のカードを引く。
「オレのターンドロー!」
空は、目の前のバーチャル映像の手札に触れながら、召喚を発動させた。
「オレはドックスライムを召喚!」
空の場に犬型のスライム族モンスターが召喚される。
カード情報
ドックスライム レベル1 種族スライム族 属性水
超能力 1ターンに1度再生できる。
「オレのターンは終わりだ・・・」
空は1ターン目にできることを終わらせ、相手にターンを移す。
2ターン目
空 ライフ15 手札5
剣也 ライフ15 手札5
剣也のターン
「わたしのターンドローだ!」
店長は、手を上に振り上げるモ―ションでカードを引いた。
「わたしはファイティングウルフを召喚!」
店長の場に、攻撃的な獣族モンスターが召喚された。
長い2本の牙を持つ、狼のモンスターだ。
カード情報
ファイティングウルフ レベル5 種族獣族 属性土 超能力????
「このモンスターは場に出た時、ターン終了時まで、相手の場にいる1体のモンスターに付き1、レベルを上昇させることができる。空くん・・・キミの場には1体のモンスターがいる、よって、ファイティングウルフのレベルは6に上昇」
店長は、バーチャル映像の手札に触れ、呪文は発動させる。
「そして呪文、狼たちの増長を発動!自分のモンスターがレベルを上げた時、デッキからレベル3以下の獣族モンスター1体を呪文召喚することができる。私はデッキからベビーウルフを呪文召喚する」
店長の場に、小さいが、勇敢そうな狼の子供が現れる。
カード情報
ベビーウルフ レベル3 種族獣 属性土 超能力????
その様子を見ていた真琴達。
「店長のデッキは、獣族デッキみたいですね・・・・・あまり聞かないし、珍しいデッキですね・・・・」
「10年前に作られたデッキだからな・・・・聞かなくても仕方がない・・・」
「へーじゃあ、時代遅れのデッキってこと?」
みかんの質問にマリアは。
「普通の者が使えばそうだろうな・・・だが、相手は元世界チャンピオン・・・そしてそのチャンピオンと互角と言われた友人と一緒に作った、友情のデッキ・・・その力が合わさり、とんでもない力になるだろう・・・」
「そんな友情パワーなんて、あるわけないでしょ・・・・」
「まあ・・・それはおいておくとして・・・あのデッキは、彼にあったデッキであることは間違いないだろう。みかん・・・おまえだって自分のプレイスタイルにあったデッキを使わないと、本来の力をだせないだろ?」
「まあね、自分の性格にあったデッキを使わないと出せないかも・・・あと自分が気にいっているカードとかもね、たしかに結構重要かも」
「彼にはあのデッキがあっている。そのうえ天才的な腕も加わり、10年前の古臭さなど関係ないだろうな・・・」
「ようは・・・10年前のデッキだろうが、関係ないってことですよね?・・・マリアさん」
「ああ・・・その通り。それと君らは彼の現役時代の異名を知っているか?」
「知る訳ないでしょ、そんなの」
「光速の野獣・・・・ライト二ングビーストだ」
店長は宣言した。
「わたしは、場の2体の獣族モンスターを合体させ、ビックウルフを合体召喚!」
店長の場に巨大な、獰猛な狼が合体召喚された。
カード情報
ビックウルフ レベル7 種族獣族 属性土 超能力????
合体条件 ベビーウルフを含む2体の獣族モンスター
店長はドックスライムを指さし、攻撃宣言をした。
「ビックウルフでドックスライムを攻撃! 噛みまくり(カミバーサリ)」
ビックウルフは、その大きな口を開けドックスライムに突撃した。
ガブリ。
ドックスライムはビックウルフに噛みちぎられた。
「ドックスライムを破壊!」
空はその瞬間、ドックスライムの超能力を発動させた。
「オレはドックスライムの超能力発動!1ターンに1度再生できる」
噛みちぎられたドックスライムが再生されていく。
「残念だけどそうはさせない・・・ビックウルフの超能力発動!ビックウルフは、バトルでモンスターを破壊した時、そのモンスターを自分の装着カードにすることができる。そしてその装着したモンスターのレベル分だけレベルを上昇させることができる。さらに、そのモンスターの持つ超能力も得ることができる」
ビックウルフは噛みちぎったドックスライムをそのまま丸のみにした。
そのおぞましい光景を見た真琴たちは。
「えええェェ!師匠のドックスライムが、食べられちゃった!」
「これじゃあ再生できないじゃない!」
「さすが元世界チャンピオンだな・・・一筋縄ではいかないようだ・・・レベルを上げたうえ、しかも再生能力まで奪うなんて」
「強いですよ、店長!・・・10年もブランクがあるのに・・・」
「さあ・・・空くん・・・キミの力はまだまだこんなものじゃないんだろ?わたしに見せてくれ。キミの可能性を」
「はい!」
「わたしのターンは終わりだよ」
3ターン目
空15 ライフ15 手札5
剣也15 ライフ 手札4
空のターン
「オレのターン、ドロー! オレはレッドスライムを召喚!」
空の場に、赤いスライムモンスターが召喚される。
レッドスライム レベル5 種族スライム族 属性火
超能力 相手に攻撃した時、ターン終了時までこのモンスターのレベルを2上昇させることができる。
「レッドスライムでビックウルフに攻撃! 炎体爆撃」
レッドスライムは赤い体をさらに真っ赤にし、ビックウルフに攻撃した。
「レッドスライムは攻撃した時、自らのレベルを2上昇させることができる」
レッドスライムのレベルは、5から7に上昇した。
その攻撃を見て真琴は。
「でも、レベルを上げても・・・レッドスライムのレベルは7・・・そしてビックウルフのレベル9・・・そのうえ再生能力まで持っている・・・・このままじゃ敵わない・・・・」
空はレッドスライムが攻撃し、レベルを上昇したのを確認すると、呪文を発動させた。
「オレは呪文発動!スライムボム!この呪文は、場にあるスライム族モンスター1体を破壊することによって、その破壊したモンスターのレベル分だけ、場のモンスター1体のレベルを永続的に下げることができる。さらにこの呪文によってレベル0以下に下げられる時、そのモンスターを破壊することができる」
その呪文発動を見て対戦相手の店長は感心する。
「そうか・・・レッドスライムのレベルを上げたうえで、さらにスライムボムを使い、一気にビックウルフのレベルを下げる作戦か!・・・やるね、空くん」
「いえ、オレが破壊するのは、レッドスライムじゃない・・・」
「ん?・・・じゃあ・・・」
「オレは、ビックウルフに装着された、ドックスライムを破壊する」
「なんだって!」
「スライムボム!」
ドカ――ン。
空の発動宣言と共に、ビックウルフの腹の中にいるドックスライムが、呪文により爆発した。
「ビックウルフのレベルは、ドックスライムが破壊されたことによって、元の7に戻り、さらにスライムボムの呪文効果で、レベル6に下がる。そして破壊されたドックスライムの超能力発動!1ターン1度再生し、オレの場に戻る」
空の場で破壊されたドックスライムが再生されていく。
「おーーー!すごい師匠・・・ビックウルフのレベルを下げたうえ、ドックスライムまで助けだすなんて」
「オレは攻撃中のレッドスライムレベル7で、レベル6に下がったビックウルフを攻撃」
「よし!これならレッドスライムで、ビックウルフを倒せるよ!」
だが、完璧にきまると思った空の作戦は、超天才カードバトラー天野 剣也に防がれることになる。
「わたしは呪文発動!手札合体を発動!自分の場に合体モンスターがいるときこの呪文を発動できる。自分の場の合体モンスター1体と、手札にあるモンスター1体を強制的に合体させることができる。その合体モンスターはこのターン待機状態になり、ターン終了時まで攻撃できず合体素材にもすることができない」
待機状態とは、攻撃も合体素材にできない状態。
攻撃に参加した場合もモンスターはこの状態になる。
ターン終了時に回復する。
呪文や超能力により合体素材にすることは可能。
「わたしは場のビックウルフと、手札のレベル6の凶暴なクマを合体!」
2体の獣族モンスターがくっつく合体していく。
「わたしは場に、ライト二ングウルフを合体召喚!」
店長の場に、光り輝く白い狼が合体召喚された。
カード情報
ライト二ングウルフ レベル12 種族獣族 属性風 超能力????
合体条件 獣族モンスターを合体素材にして、合計レベル12以上になるように合体させる。
「わたしはさらに、呪文バトルゴングを発動!この呪文は、相手モンスター1体をこのターン強制的に、わたしのモンスター1体とバトルさせることができる」
「!」
「わたしは、この呪文の対象をレッドスライムに選び、わたしの場のライト二ングウルフとバトルさせる」
「!」
店長の発動させた呪文が閃光になり、レッドスライムを直撃しようとしていた。
「このままじゃ・・・・師匠のレッドスライムが、無理やりレベルが上の、ライト二ングウルフとバトルさせられちゃう!」
空はその呪文がレッドスライムに直撃する前に、自分のバーチャル映像の手札に触れた。
「オレは呪文発動!スライムの友情!この呪文は場にあるスライム族モンスターが呪文の対象にされた時発動できる。手札にあるレベル3以下のスライム族モンスター1体を、場に呪文召喚することができる。そして、その呪文召喚したモンスターに、その呪文の対象を移し替える。オレは場に2体目のドックスライムを呪文召喚!そしてバトルコングの呪文の対象を、ドックスライムに移し替える」
店長の唱えた呪文バトルゴングの対象を、レッドスライムからドックスライムへ変更した。
ドックスライムはその呪文の直撃を受け、臨戦態勢に入り、ライト二ングウルフへ攻撃した。
だが、ドックスライムレのレベル1、そしてレライト二ングウルフのレベルは12、敵うわけもなく、ドックスライムは、ライト二ングウルフの光速の爪でバラバラにされた。
「オレはドックスライムの超能力を発動!ドックスライムは1ターンに1度再生できる」
バラバラにされたドックスライムはみるみる再生されていく。
「うまい師匠!ドックスライムなら破壊されても再生できる!」
空はさらにバーチャル映像の手札に触れた。
「オレは呪文、強者への報復を発動。この呪文は、自分の場のレベル3以下のモンスターが、相手のレベル10以上のモンスターに破壊された時発動できる。その破壊したモンスターを破壊し墓地に送る。ドックスライムを破壊した、ライト二ングウルフを破壊」
空の呪文がライト二ングウルフを襲う。
「わたしは、その呪文が直撃するまえに、ライト二ングウルフの超能力を発動!ライト二ングウルフは1ターンに1度、1体を対象にする呪文を回避することがきる」
「!」
「ライト二ングウルフ!ライト二グスパーク!」
空の発動させた呪文をライト二ングウルフは閃光のような早さで避けた。
「師匠の呪文がかわされた!」
「・・・やりますね・・店長」
「ははっ・・まだまだ若いものには負けられないよ・・・・なんてねっ」
「す・・すごい戦いだ・・・」
真琴はその究極の戦いに目を奪われた。