VSライバル⑨
大地は空に尋ねる。
「そのカード・・・テメェーのスライムデッキとは合わないだろ?なぜ入れている・・」
その言葉に空は笑って答える。
「大事なカードだから、入れているだけさ」
「・・・・・・・そうかい、じゃあ・・・そのカードごと、テメェーをジュリンしてやるよ」
7ターン目
空 ライフ 5手札1
大地 ライフ 15手札1
大地のターン
「俺のターンドロー・・・俺は、アンデッドキングドラゴンでナックルドラゴンを攻撃!」
大地の攻撃宣言で、アンデッドキングドラゴンは、ナックルドラゴンを襲う。
(これで終わりだ空・・・おまえのへの思いも、過去からの呪縛も・・・)
空は、バーチャル映像の手札に触れ、呪文を発動させた。
「オレは呪文発動、ラブハート!」
「あのカードは・・・伊集院くんをやぶった」
真琴は気づく、かつてあのカードが、空の勝利に貢献した、必殺の呪文だと。
そのカードを見ながらマリアが呟く
「アレは・・私が渡したカードだな」
「え?・・・いまなんて」
「ふっなんでもない」
「この呪文は、場にいる自分のモンスター1体のレベルを、自分の墓地にいる、そのモンスターと同じ種族のモンスターの数×2上昇させることができる・・・・対象はナックルドラゴン!」
その行動選択に、真琴は疑問を持つ。
「えー!・・・・でも・・・・師匠の墓地には、ドラゴン族モンスターがいない・・・これじゃあ・・」
「何やってのよ空!不発に終わっちゃうじゃないのよ、バカ!」
「あせってミスしたか・・・・これで終わりだ、空!今日、俺はおまえを乗り越えて!新しい自分に生まれ変わる。アンデッドドラゴンの超能力発動!このモンスターが攻撃した時、自分の墓地にいるドラゴン族モンスター数×1レベルを上昇させる」
アンデッドキングドラゴンのレベル20に上昇した。
空は墓地にいる、モンスターの超能力を発動させた。
「オレは墓地にいる、墓守りをするスライム クンシュの超能力を発動!」
(墓地からだと・・・!)
「このターン、相手の墓地にあるすべてカードを、自分の墓地に移すことができる」
「何ッ!」
「大地、おまえのすべての墓地のドラゴン族モンスターはオレの墓地に移させてもらうぜ。そのことによってアンデッドキングドラゴンのレベルは、攻撃時に上昇しない」
「だからなんだよ。俺のアンデッドキングドラゴンのレベル15。おまえのそのモンスターよりずっと上だ!」
「いや上回った」
「!」
「オレの墓地に、ドラゴン族モンスターが5体が移されたことによって、呪文ラブハートの呪文効果により、ナックルドラゴンはレベルを10上昇させ・・・レベル16となる」
「くっ!・・レベル16だと・・俺のナックルドラゴンより上・・・いや・・・・ナックルドラゴンの超能力でオレは・・・・ヤバい!」
「ナックルバーン!」
ナックルドラゴン巨大な拳が、アンデッドキングドラゴンを貫く。
「アンデッドキングドラゴン破壊!そして、ナックルドラゴンの超能力を発動!ナックルドラゴンはバトルで相手モンスターを破壊した時、その破壊したモンスターのレベル分のダメージを相手プレイヤーにあたえる」
「と・・・・いうことは、師匠は・・・アンデッドキングドラゴンレベル15を、ナックルドラゴンで破壊したことによって・・。大地君に15ポイントのダメージをあたえる・・・・師匠の勝ちだ!」
真琴は喜ぶが、大地はまだあきらめていなかった。
「まだだァ空ァ!俺は呪文、ドラゴンの断末魔を発動!この呪文は、ドラゴン族モンスターが破壊された時発動できる。カードを1枚ドローし、そのカードがドラゴン族モンスターではない時、ライフを5ポイント回復させることができる」
アンデッドキングドラゴンの断末魔を響く。
「ドロー―!・・・俺の引いたカードは・・・・呪文カード、スペルバインド」
「ああっほしい」
大地の残りライフ5。
「負けるかよ・・・テメェに・・・・絶対・・・負けてたまるかよぉぉ!」
その空に向ける大地の顔は、憎しみに満ちていた。
「な・・なんで大地くんは・・・・あ・・あんなに師匠のことを恨んでいるでしょうか・・・?いくら裏切られたと思っているからって、アレは異常です・・・」
その質問にマリアは淡々と答える。
「環境や境遇・・・さまざまな要素はありそうだが、一番は空を好きだから、だろうな」
「それって矛盾してない・・・?」
みかんの言葉にマリアは。
「矛盾しているが・・・それが必然だ。誰かを好きになれば、なるほど・・・その裏切られた時の恨みは計りしれない・・・かつて彼は、友人として空のことを大好きだったのだろう・・だからこそ、裏切られたと思った時の憎しみは半端ないのだ」
「それに大地君には、家庭環境も影響していると思います」
「そうだな、すこしのすれ違いで、人は、好きだった人を、あんなに恨むことができるものなのだな・・・」
「・・・・・・・でも師匠なら、きっと・・・いえ、絶対、なんとかしてくれます・・・絶対。だってあの2人は・・・・・・」
3人は空を信じて、見守った。
8ターン目
空 ライフ 5手札0
大地 ライフ 5手札2
空のターン
「オレのターンドロー・・・オレはナックルドラゴンで、大地を攻撃する」
空はナックルドラゴンに、大地への直接攻撃を宣言した。
「こ・・この攻撃が通れば、師匠の勝ちです・・・」
(でも・・・相手はあの大地君・・・そうかんたんに通してくれないでしょうが・・・)
真琴が思うとおり、大地はその攻撃が当たる前に呪文を発動させた。
「俺は、呪文スペルバウンドを発動!この呪文は、相手モンスターから直接攻撃を受ける時発動できる。自分の墓地にある呪文カードを、強制に発動させることができる。俺は墓地にある、ドッペルドラゴンを発動。この呪文はドラゴン族モンスター1体を対象にして、その完全なるコピートークンを俺の場に呪文召喚する」
大地が呪文ドッペルドラゴンの対象を選択。
「俺はナックルドラゴンのコピーを、俺の場に呪文召喚する」
大地の場にナックルドラゴンの、コピートークンが呪文召喚された。
「し・・・・師匠のモンスターをコピーした!」
空と大地、お互い、同じ能力を持つレベル6のモンスター同士が相まみえる。
(どうする空・・・・ここは一旦攻撃を止めるんだろう・・・そしたら、次のターン俺が逆転してやるぜ!)
だが大地の思惑ははずれた。
「オレはナックルドラゴンで、ナックルドラゴンコピーに攻撃!」
「なっ何ィ!」
その行動選択に、大地は今日のカードバトルで一番驚いた。
「師匠が相打ち狙い・・・・ナックルドラゴンは、相手モンスターを破壊した時、相手プレイヤに、その破壊したモンスターのレベル分だけダメージをあたえる能力がある。このまま、お互いのナックルドラゴンが破壊されたら、お互いに6ポイントにダメージを受け、引き分けになっちゃう」
「いけぇーナックルドラゴン、ナックルバーン!」
「ジュリンしろ!ナックルドラゴンコピー・・・ナックルバーン!」
ズガガ―ン。
ナックルドラゴン同士の拳と拳が交差し、お互いの顔に突き刺さる。
2体のナックルドラゴンは同時に破壊された。
「チッ・・・・引き分けか・・・」
「いや、オレの勝ちだ大地」
「なにっ?」
「ナックルドラゴンの第2の超能力発動!このモンスターが墓地に落ちた時、そのターン受けるダメージを、一度だけ無効にすることがきできる」
「!」
「そうか!大地君のナックルドラゴンはコピートークン。同じ能力を持っていても、トークンは墓地にいかない」
「オレへのダメージを無効にし、大地へ6ポイントのダメージをあたえる」
大地はナックルドラゴンの超能力を受け、ライフが0になった。
『勝者 空選手』