VSライバル⑧
6ターン目
空 ライフ5 手札2
大地 ライフ15 手札2
空のターン
「オレのターンドロー」
空は、バーチャル映像の手札に触れた。
「オレは呪文スライムキャノンを発動!」
空の場に、バーチャル映像の強大な大砲があらわれた
「この呪文は、手札のスライム族モンスター1体を墓地に捨てることによって、相手モンスター1体を破壊することができる」
真琴はその呪文の発動を見て歓喜する。
「よし、これならいくらアンデッドキングドラゴンのコピーが、レベルが高くても倒せる」
「そしてオレは、手札からカードスライムを捨てる。カードスライムは手札から墓地に捨てられた時、デッキからカードを1枚引くことができる。ドロー――!」
カード情報
カードスライム レベル2 属性 水 種族 スライム族
超能力
カードスライムは相手に破壊された時、デッキからカードを一枚ドローできる
このカードが手札から墓地に捨てられた時、カードを1枚ドローできる。
巨大な大砲がアンデッドキングドラゴンのコピーに狙いをさだめる。
「スライムキャノン・・・・ターゲットロックオン。発射―――!」
ズガ―――――ン。
重い一撃が、アンデッドキングドラゴンのコピーを貫く。
「アンデッドキングドラゴン破壊!」
「無駄だ、呪文発動、竜の魂。場のドラゴン族モンスターが破壊された時、墓地にある、破壊されたモンスターのレベル以下のドラゴン族モンスターを一体、場に呪文召喚することができる」
「!」
「俺は墓地にある、レベル15以下のアンデッドキングドラゴンを呪文召喚」
大地の場に、アンデッドキングドラゴンが呪文召喚される。
その様子を、闘技場の外から見ていた、真琴とマリアは。
「うわっ!師匠がせっかく倒したのに・・・今度は、オリジナルのアンデッドキングドラゴンがでてきちゃった!」
「ふふ、呪文による、破壊対策は完璧のようだ・・・どう打ち破る・・・・空」
大地は、勝ち誇るように空を見ts。
「空・・・おまえはもう、何をやっても俺にジュリンされる未来しかねぇー・・あきらめな」
「いや、あるさ」
「どんなだ?」
「これから見つける」
空はバーチャル映像の手札に触れる。
「オレはナックルドラゴンを召喚」
「!」
(あのカードは・・・・・・まさか!・・・・・・・あいつ・・・・・あのカードを、デッキに入れてやがったのか・・・・ふざけやがって、あの野郎・・・!)
大地はそのモンスターを見て怒りに震える。
「このモンスターは場に出た時、待機に状態になり、最初のターン攻撃にも合体素材にもすることはできない」
待機状態とは、攻撃も合体素材にできない状態。
攻撃に参加した場合も、モンスターはこの状態になる。
ターン終了時に回復する。
呪文や超能力により合体素材にすることは可能。
カード情報
ナックルドラゴン レベル6 種族ドラゴン族 属性風
超能力
このモンスターは場に出た時、待機状態になる。
このモンスターが相手モンスターを破壊したとき、ソレのモンスターのレベル分のダメージをあたえる。
このモンスターが場から墓地に落ちたターン相手からダメージを1度だけ無効にできる。
「オレのターンは終わりにする」
「空ァァ!」
「ん!なんだ大地?」
「テメェ・・・そのカードをデッキにいれて・・・俺に対する嫌がらせかよ・・・」
「いや・・・なんで、そう思うんだ?」
「そのカードは・・・・・・・・なんでもねぇ・・・」
(・・・・・・・・・・・チッ・・思い出したくもねぇことを・・・思い出しちまったぜ)
大地は、空と初めてあった3年前のことを思い出していた。
回想
「なあなあ大地、モンスタートランプやろうぜ、オレと」
「嫌だ・・・ついてこないでよ」
「はーい・・・みなさん、ちゅうも――く」
「!」
(あれは・・・・何かのイベント?)
「・・・・今日は町内の特別な日ということで、プロのカードバトラー2人を呼んで、みなさんと戦ってもらいまーーす。試合形式は、2人一組のペアで戦うダブルス戦でーす。勝ちましたらなんと・・・超レアカード、ナックルドラゴンをプレゼントしちゃいまーす。
こぞって、ご参加くださーい」
『どうする?でてみるか・・・おい』
『いやいや、ぼくはいいよ・・あの2人・・素人に勝たせる気はないよ。いままでで100戦やって、100人全部に勝っているらしい・・・いや、ダブルだから200人か・・・まあ勝ってこないってことだよ・・・やっても負け負け、町内のいい恥さらしだよ』
(あのカードはたしか・・・・昔、欲しかったやつだ・・・・・・でも、いまは・・・・もういらない・・・・俺はすべて捨てたんだから・・・・何もかも・・・・全部・・・だから)
「はーいはーい、オレたちがやりまーす。大地と2人で」
「なっ!あ・・あんた・・何を勝手に・・・・」
「大地は、あのカードほしいんだろ?」
「うっ!・・・ほ・・・ほしくないよ!」
「そっか、じゃあやろうぜ」
「やめろ!・・・ひっ・・・ひっぱるな!お・・俺はもう・・・・モンスタートランプを捨てたんだ・・・だから・・・やらない」
「・・・・それって・・・おまえが、親に捨てられたことと・・・なにか関係あるのか?みんな噂してたぜ」
「!」
(こいつ・・・・いままで誰も、俺に直接言ってこなかったことを・・平然と)
「・・・・・・・・・そうだよ、悪いか・・・俺はいらない子なんだ・・・捨てられた子なんだ・・・・だからもう俺に関わるな!俺はもう何もいらない・・・・持っていた物も、ほしかった物も、全部捨てたんだ!・・・・だからもう・・・これ以上俺にかまわないでくれ・・・頼む」
「いやだ」
「なっ!」
「それって、かまわない理由になってないぜ?」
「なってる!俺は1人になりたいんだ・・・・」
「じゃあオレと一緒に、カードバトルやろうぜ」
「だから話を聞けェェ!」
「・・・親に捨てられたから、大地はモンスタートランプを捨てるのか」
「・・・・・・・ああ、悪いか・・・俺にはもう・・・何もかもどうでもいいんだ・・・・・あんなものいらない・・・」
「泣いてるぜ、カードが・・・」
「な・・何を言っているんだ・・・」
「おまえのカード達が、おまえとカードバトルやりたいって泣いてるぜ」
「頭がおかしいのか、あんた?・・・カードに気持ちなんて・・・・」
「じゃあ大地は泣いていないのか?」
「!」
「大地は本当は・・・モンスタートランプやりたいって、心の中で泣いてないのか」
「お・・俺は・・・・別に・・・・・」
「泣いてるよ、オレにはわかる!」
「ふっ・・ふざけるな!・・・あんたに何がわかる!俺の気持ちなんて、何もわからないくせに、いいけげんなこと言うな!」
「わかる!オレもモンスタートランプ大好きだから。同じ気持ちだからわかる」
「黙れェェェェェ!帰れよ・・・・・もう、帰れ帰れ帰れェーーーーーーーーーーーー!」
「いやだ。オレはおまえが、オレと一緒にモンスタートランプやるって言うまで、帰らない」
「な・・・なんで、そこまで俺にかまう・・・・・・」
「なんでかわからん。でも、一緒にモンスタートランプやりたいんだ・・・おまえと・・・理屈じゃない、心がそう思うんだ・・・だからオレと、モンスタートランプやろう。大地、おまえはどうなんだ?おまえの心は・・・・本当の気持ちは、どうなんだ・・・」
「俺の本当の気持ち・・・・・・・」
「おまえは親に捨てられた・・・それは事実だ。でも、だからといって、おまえまで大切な物を捨てる必要はないだろう・・・むしろ、おまえだけは絶対に捨てちゃダメだろ!」
「・・・・・・俺は・・・・俺は・・・・」
「ほら、泣くほどやりたかったんじゃないか・・・・モンスタートランプ」
「涙?・・・・・俺が・・・あのときからずっと・・・泣いたことはなかったのに・・・・涙も捨てたと思っていたのに・・・・な・・・・なんなんだよぉ・・これは・・・なんなんだよ・・・あんたは・・・・ううっ」
「一緒にやろうぜ、大地。モンスタートランプを・・・それでもし、何も楽しくなかったり、また捨てたいと思うなら、今日はもう誘わないからさ」
「・・・・あんた変な奴だな。俺は、あんたみたいなずうずうしい奴、嫌いだよ」
「そっか、ならこれからに好きになっていけばいいさ。モンスタートランプを通してさ」
「ああ・・・・俺は、あんたと一緒にモンスタートランプをやりたい。・・・・・・あんたと一緒に、また、モンスタートランプをあの頃のように楽しみたい・・・・・・俺に・・・できるかな?」
「ああ、できるさ、大地」
「・・・そういえば・・・・・あんたの名前・・・なんて言うんだ?いままでちゃんと聞いてなかった・・・教えてほしい・・・頼む」
「大空 空だ、よろしくな」
「俺は・・・山田大地。よろしく」
2人は握手した。
回想終了。