VSライバル⑦
大地はスーパースライムを指さし宣言する。
「アンデッドキングドラゴン・・・・スーパースライムをジュリンしろ」
アンデットキングドラゴンは、地を這うように走り、一気にスーパースライムとの間合いを詰める。
「このモンスターは、自分のターンに攻撃した時、自分の墓地にあるドラゴン族モンスターの数×1レベルを上昇させることができる」
「!」
アンデッドキングドラゴンのレベルがどんどん上がっていく。
「墓地のドラゴン族モンスターは5体、アンデットキングドラゴンのレベは20に上昇」
「レベル20!」
真琴はそのレベルに驚愕する。
アンデッドキングドラゴンがスーパースライムの目の前までせまった。
だが空は、それにひるむことなく呪文を発動させた。
「オレは呪文発動、覚醒!この呪文はモンスター1体の超能力を、このターン強制的に発動させることができる。対象はスーパースライム」
空の呪文が閃光にように光、スーパースライムに直撃する。
「スーパースライムの超能力は、1ターンの間、レベルを元のレベルの倍にすることができる。この超能力を使用したターン、終了時にスーパスライムは破壊され墓地に送られる」
空はスーパースライムの超能力を発動させた。
「スーパースライムの超能力発動。スーパーバスターモード!」
スーパースライムのレベルが、10から一気に倍の20に跳ね上がる。
真琴はこの様子を見て、あらためて空のすごさを思い知る。
「超能力は、アンデッドキングドラゴンのように。条件を満たすことで自動的に発動するタイプと、呪文のように自由に使えるタイプ。そしてスーパースライムのように自分のターンにしか発動できないタイプがある・・・でも師匠のあの呪文のおかげでスーパースライムは、超能力を呪文ように相手ターンでも発動させることができるんだ」
レベル20のアンデットキングドラゴンが、レベル20まで上昇したスーパースライムを襲う、
「いけぇー!スーパースライム!」
「ジュリンしろ、アンデッドキングドラゴン!」
2人のモンスターがぶつかりあい。
レベル20同士の、究極のバトルの結末は、両方の破壊で終わろうとしていた。
だが、激突し、破壊され、両者墓地に送られる前に、大地は呪文を発動させた。
「俺はアンデッドキングドラゴンが破壊されるまえに、呪文発動、ドッペルドラゴン。この呪文は対象のドラゴン族モンスター1体の完全なるコピートークンを場に呪文召喚することできる」
「!」
大地の場に、アンデッドキングドラゴンとまったく同じ能力を持つトークンが、呪文召喚される。
ルール説明
トークンとはカードではないモンスター。
合体の素材にもできず。手札にも戻らず、破壊されても墓地にはいかない。
「そんなぁ・・・ひどい」
真琴はその光景を見て絶望する。
なんとか超強力モンスターを倒したと思ったら、また同じ能力を持つコピーモンスターが現れたのだから。
「この方法で呪文召喚されたトークンは、待機状態になり、このターン攻撃に参加できない。そしてターン終了時にこのトークンは破壊される。だが、そのターンに、そのコピー元であるモンスターが破壊され墓地に送られた時、ターン終了時に破壊しなくてもいい」
そして。スーパースライムとアンデッドキングドラゴンは、激突の末、両者破壊され墓地に送られた。
「そっか・・・破壊される前にアンデッドキングドラゴンをコピーしたのは・・・場に一緒に存在することができないからか・・・」
空の感心するような言葉に、大地は満足げに語る。
「そのとおりだ・・・おまえの必死の戦略も徒労に終わったな・・ぎゃはは」
「せ・・せっかく師匠が、なんとか倒したのに・・・まったく同じ力を持つトークンが作られるなんて・・・・・そんなのないよ・・・」
絶望する真琴とは対照的に空はよろこんでいた。
「ホント、すげぇーな・・・大地、ここまで強くなっているなんて、オレはうれしいぜ」
「ハッ・・その台詞・・・負けてからも言えるのかよ?」
「ああ言えるぜ、負けた時は再戦を申し込むけどな・・・・いや、勝っても申し込むけどな」
空は笑って言う。
「言ってろよボケッ・・・・だがな・・・まだ安心するのは早いぜ、空ァ」
大地は、自分の前のバーチャル映像の手札をえぐるように触れると、呪文を発動させた。
「オレは呪文、ドラゴン族活性剤を発動。場に存在するドラゴン族モンスターのレベルを、このターン、10下げることによって、カードを1枚引くことができる」
大地の発動させた呪文効果により、アンデットキングドラゴンのレベルは10下がり、大地はカードを1枚引いた。
ルール説明
レベルは、最低1までしか下がらない。
レベル0以下はない。
「さらにドラゴン族活性化剤の効果で、そのレベルが下がったモンスターの、現在のレベル分だけ相手にダメージをあたえることができる」
「!」
「ドラゴンの熱気」
ドラゴン活性化剤の効果で、レベル10まで下がったアンデッドキングドラゴンの全身が赤くなり、全身から湯気が発散される。
それが、空を纏うように襲う。
空は、10ポイントのダメージを受けた。
空の残りライフ5。
「ああっ!師匠のライフが・・・・・・大地君はカードを1枚引いた上で、師匠に10ポイントのダメージをあたえるなんて・・・・・・・このままじゃ師匠が・・・」
「そう心配するな、真琴」
「!」
横にいるマリアが、空の試合をみながら真琴に言った。
マリアは、友達がピンチだというのに、余裕で腕を組み観戦していた。
「あの顔を見ろ・・・・おまえにはアレが、ピンチの者の顔に見えるか?」
「・・・いえ・・・全然・・・でも空くん・・・どんなピンチでも、ピンチの顔したことありませんよ・・・」
「あははっそうだな・・・でも私は、あの人のあの顔を見ていると・・・あの人が・・・負けるところを想像できないんだ・・・・必ず勝つ、信じよう・・・空を」
「はい」
闘技場の空は、あいかわらずマイペーズで大地に話しかける。
「なあ、大地。このどっちが勝つかわからないワクワク感・・・やっぱりモンスタートランプは楽しいな」
「・・・・ああ、奇遇だな・・・俺もワクワクしてきたぜ。今日おまえに勝ち、ジュリンできると思うとな・・・・」
ざわざわ。
空と大地のカードバトルを見て、まわりのカードバトラー達がざわめきたつ。
真琴は、そのさまざまな反応を聞いて思う。
(・・・みんなも・・・・このカードバトルを見て、そのすごさを感じてきたんだ・・・・ボクたちとはレベルが違うって・・驚いてる。きっとこのカードバトル・・・誰にも予想できないようにな結末になるはず・・・・そんな気がする。・・・・師匠・・・・がんばってください)
真琴は両手を重ね、空の勝ちを祈った。