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モントラ  作者: ゆう
1章
12/49

VS関西チャンピオン①

パンパンパン。

ここ、東京バトルドームの上空を、乾いた花火の音が鳴り響く。

今日、モンスタートランプ・ワールドカップカップ大会、日本代表決定戦が、この場所で開かれる。

各地から強豪のモンスターバトラーたちが集まってきていた。


「はあはあはあ・・・やっと・・・ついた」


そんななか、みかんは、汗びっしょりの顔で、東京バトルドームの前にいた。

そのすぐ横には、空と真琴もいた。

空は、東京バトルドームを見上げ、歓喜の声をあげる。


「ここが、東京バトルドームか・・・普通のバトルドームより3倍くらいデカイな」


みかん以上に汗びっしょりの真琴が、息絶え絶えで、声を振り絞る。


「ゼェーゼェーうぷっ・・・・そ・・総工費2000円億以上・・に・・日本・・最大のバトルドームです・・うぷっ」


いまにも吐いてしまいそうな勢いだ。


「ゼェーゼェー・・師匠・・みかんさん・・・は・・・はやく受付にいきましょう・・・このままじゃ、出場登録をできず、大会に出られませんよ・・・うぷっ」

「そりゃ大変だ。急ごうぜ」

「あ・・・あんたのせいで、こうなったんでしょ、ハァハァそらぁ・・・それにあんた・・・・なんで汗1つ掻いてないの?あんなに走ったのに・・・・・」

「まあ、これくらい修行に比べればな」


空は笑って答える。

他の2人は空に比べ、汗だくでへばっていた。


「そ・・それは空くんは、世界トップクラスの格闘家ですから・・・ゼェーゼェーこれくらい余裕ですよ・・・うぷっ」

「大丈夫か真琴?」


空から質問に、真琴はグッと親指を立てて答える。


「ぼ・・・ボクも余裕です・・・・うぷっ」

「ハァハァ・・余裕でわかるから・・・その強がり・・・・」


東京バトルドームの受付に、3人は向かった。



3人は登録を終え、ロビーのベンチに座っていた。


「ったく、空・・あんたが、待ち合わせの場所に遅刻するから、走ってここまで来るハメになったじゃない、反省しなさいよ」


みかんは空の隣で、愚痴をこぼす。


「ああ、すまんみかん」

「いいじゃないですか、みかんさん、間にあったんだし」

「あんたはトイレに、間にあわなかったけどね」

「ううっ・・そ・・それをいわないでください・・・ううっ」

「ホント・・・あと少し遅れていたら、あたしたちの汗と努力が、無駄になっていたところだわ」

「たしかに走って、汗かいたしな」

「違うわよ!モンスタートランプを、泊まり込みで特訓したことよ!あれだけがんばったじゃない」

「がんばるって何がだ?オレは何もがんばってないぞ、4人で毎日やれて、メチャクチャたのしかったけどな」

「・・・・・・・あんたはそういう奴よね」


空はモンスタートランプにおいて、努力を努力とも思わない人間だ。

そんな空に、みかんはあきれるが、どこか微笑ましさも感じていた。


「でも、開会式はでられませんでしたね」

「まあ仕方ないさ」

「遅刻したあんたが言うな!」

「みかんさんも30分遅刻しましたけどね」

「うっ・・うっさい!」


「みなさぁ~~ん」

「!」


ベンチに座る3人に、海原マリアが、手を振って近づいてきた。


「みなさぁん、おそくなりまたねぇ・・どうしたんですかぁ?」


その言葉にみかんは、そっぽ向きながら答える。


「空が遅刻したのよ」

「すまんすまん。大会がたのしみすぎて、夜、寝むれなくってさ・・・寝れないから、このまま寝ないでいいやって思い、大会にでるためのデッキを、朝までずっと考えていたんだ。そしたらいつのまにか寝てて、起きたら2人の顔が目の前に・・・助かったよ、起こしに来てくれて」

「ったく・・いい迷惑よ、こっちは」

「ホントすまん」

「こんどパフェでも、おごりなさいよ」

「いや無理、金ないし、カードバトルなら、いつでもおごるぜ」

「・・・意味わかんないし、まあ、あんたらしいけどね。もらえるものなら、なんでも貰ってあげるわ」


みかんは少し照れながらそう言った。


「それにしても、この大会・・・・一体どんな大会なんだ?」

「あ・・あんた・・そんなこと知らないで、この大会に参加したの?」

「ああ、まずは決勝で、大地と戦わなくちゃな」

「大地って・・・・たしか、あんたのひねくれちゃった、幼なじみでしょ?誤解なんでしょ、だったらわざわざ決勝でまでいかなくても、直接、口で話して、誤解を解けばいいんじゃない?」

「ダメですよみかんさん」

「はぁ?何でよ」


みかんには理解できないようなので。真琴はにわかるように説明した。


「師匠と大地君は、モンスタートランプの絆によって、結ばれているんです。だから、また、友情を結ぶなら、それはモンスタートランプじゃないといけないです。口で言ったからといって、解決できるような問題じゃないんです。解決できるのはカードバトルの中だけなんです」

「?・・・・ますます意味わかんないし」。


そんなみかんにマリアは、挑発するように言った。


「みかんさんはぁ、名前だけじゃなく、頭もみかん畑でぇできていますからぁ、男の友情というものがぁ理解できなんですよぉー」


そのマリアの言葉と口調に、イラっときて、みかんは、マリアの目の前まで詰め寄る。


「あんた・・前から思ってたんだけど・・・・いちいちあたし突っかかるわよね・・・

文句あるなら言いなさい。このあたしに」


挑発を挑発で返すみかんに、マリアはさらに挑発で返す。


「ありませんよぉ・・みかんさんになんてぇ、でもわたしぃオレンジ嫌いなんですよねぇ・・・すっぱいしぃ」

「あそっ、ケンカね?OKオケェー・・・リアルでもカードでも、どっちでも好きなほうを選びなさい。あたしはカードもリアルファイトも強いわよ。護身術なら5歳の時から空に教えてもらってたしね。大人2、3人なら、ちょちょいのちょいよ」

「あの頃がなつかしいな・・・みかん」

「あんたはあたしのこと、教えるまで、全然覚えてなかったけどね」

「仕方ないだろ、アイドルの時のおまえと、今のおまえじゃ違いすぎるぞ」

「ふんだ、好きであんなキャラやってるわけじゃないわよ!母さんに頼まれて、仕方なくやってるだけなんだからね」

「・・・そっか、おまえの夢は、お母さんの夢を、叶えてあげることだったな」

「そうよ、だから仕方なく、やりたくないアイドルなんて、やってあげてるのよ」

「みかんはやさしいな」


なでなで。


「!」


みかんは空に頭を撫でられる。


『ちょっ・・・空!いいかげんにしてよね!昔みたいに気やすく、頭を撫でまわさないでよね!いい年して・・・』


っと、みかんは、心の中で思った。


「・・・・・・・」


実際は無言で、顔を真っ赤にしながら、頭を撫でられていた。

撫でられている途中にマリアは、みかんに横槍を入れる。


「まぁ所詮はぁアイドルなんてぇ・・若い時しかできませんからねぇ・・・年とって、人気なんてぇすぐ、なくなっちゃいますよぉ」

「・・・・あんた・・・・・いちいちトゲがあるわね」

「綺麗なバラにはぁトゲがあるぅんですよぉ・・・まぁ、丸いみかんさんには、わかりませんよねぉ・・・・・」

「あんだと!」


2人は、いまにも、ケンカしそうな勢いだ

真琴はそれを止めるため、2人の間に割って入る。


「ちょっと、いいかげんしてくださいよ2人とも、さっきから、ケンカしないでください。今日がどんな日か、わかっているんですか?・・・・・まったく・・・・・師匠もお願いします。止めてくださいよ」

「いや、いいじゃないか、ケンカするほど仲がいいって言うだろ?ライバル同士、ケンカすることも大事だよ。ケンカして、はじめてわかりあえることだってあるさ」

「・・・・・そうですね」

(師匠と大地君も・・きっと・・・)


ロビーにアナウンスが流れる。


『愛媛 みかん選手、NO8の闘技場までお越しください』


「あ!・・あたしの試合ね、じゃあ空、行ってくるわね、一回戦」

「ああ、がんばれよみかん」

「あんたもね、空。決勝もいいけど、あたしと当たる前に、負けるんじゃないわよ」

「ああ、おまえも」

「当然よ!全力、全開、フルアクセルでぶっ飛ばしてくるわよ!」


みかんはロビーからドーム内に入り、対戦場へ向かう。


「がんばれよ、みかん」


その後ろ姿を空が見送った。


「・・・そういえば・・・真琴とマリアは、試合にでなくていいのか?」


その質問に対してマリアは、気の抜けた声で答える。


「はぁーい、わたしはぁこの大会でぇ、ちょっとぉ用事がありますのでぇ、でれませぇん。ざんねん」

「用事ってなんだ?」

「この東京バトルドームでぇちょっとぉ・・・・内容は秘密ですぅ。答えはCMのあとでぇ、なんちゃってぇ」

「じゃあ真琴は?」

「え・・・ボクですか・・・え・・・えっと・・・・」


真琴は顔を赤らめ、モジモジしていた。

どこか言いづらそうな雰囲気だ。


「言いづらいなら、言わなくていいぞ」


空の言葉に真琴は、手を振り反射的に否定する


「い・・いえ、い・・・言います。そ・・その・・・なさけない話しなんですが、この大会に出るには、僕の実力じゃ全然不足してるんです。ですから今回は、空くんの応援に集中したいと思います」

「出場して挑戦することに、意義はあると思うぜ」

「そ・・そうなんですけど、この大会はちょっと特殊で・・・この大会名はモンスタートランプ・世界ワールドカップ大会。日本代表決定戦・・・というのですが」

「へーそういう大会名だったのか・・・長いな・・・で、日本代表を選んでどうするんだ?」

「えっと・・・世界の国々の代表メンバーと戦うんです。だからそんな大きな大会に万が一ボクなんかが勝ち残って、出ちゃったりしたら、ワールドカップで、みんなの足でまといなることは確実です。だから、自分に日本代表になれる実力がついたと思える時まで、でないことにしました」

「そっか、それじゃあ仕方ない・・・真琴はあんま強くないもんな」

「はうっ!・・・ひ・・ひどい・・せ・・・せめて、いつか強くなれるってフォローしてくれても・・・・・」


ショボーンとする真琴に、空は慰めの言葉をかける。


「じゃあ、いつか強くなれろと思うぜ。たぶん」

「お・・遅いです!・・・しかも、なんか投げやりですし・・・・」

「真琴は、デッキを作るのはうまいじゃないか」

「え?あ・・ありがとうございます」

「オレのデッキも結構、真琴のアドバイスでパワーアップしてるんだぜ」

「そ・・そうなんですか・・う・・嬉しいです。ボクは最近、デッキの勉強もよくしてるんです。カードの腕だけが、強さじゃありませんから・・・・自分の性格にあったデッキを作るのも、強さの一つですよね」

「そうだな、頼りのしてるぜ、真琴」

「えへへ・・はい」


真琴は空に褒められ、本当に嬉しそうだ。


「で、ワールドカップだっけ?それって具体的どんな大会なんだ?」

「師匠・・・ホントに、この大会について、まったく何も知らないですね・・・2年前からテレビで、世界放送があるくらい、大人気の番組なのに・・・」

「そうかな・・あははっ」


空はその言葉に少し照れる。


(褒めてませんけど・・・・でもなんとなく、空くんにとっては、褒め言葉になるような気がします・・・・)

「はっ!」

(そうか・・・・)


真琴は気あることに気づく。

それは空が、3年間モンスタートランプを、やめさせられていたこと。


「すいません師匠・・・師匠は3年間・・・」

「いいって、そんなこと・・・気にしなくて。そのおかげで真琴に出会えたんだから」

「師匠・・・あ・・ありがとうございます」


真琴は、心から思う、師匠に会えてよかったと。



次回予告 VS関西チャンピオン②

     VS関西チャンピオン③

     VSライバル①

     


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