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モントラ  作者: ゆう
1章
11/49

VS暴走族ファイナルヘヴン②


「オレがあんたたちが探している、銀髪の女だ」

「はぁ?・・・・・・・・いや、全然ちげェーだろ!男だし、テメェー」

「えーーっと・・・ああ、そうだ!あのときオレ、女装してたんだ。だからオレがあんた達の探している銀髪の女だ。そういうことだから、真琴を離してくれないか、オレの大切な友達なんだ」


真琴は自分を助けるために、空が来てくれたことに、涙がでるほど感動した。

だが、さすがにそのいい訳は、どうかと思う。


「そ・・空くん逃げて・・・」

「だまれェ!」

「ぎゃあああああ」


また回される。

リーゼントの男は、空の顔をまじまじ見つめる。


「そうかい・・・まあいい、騙されてやるよ。こっちは、公衆の面前で恥かかされた、けじめさえつけられれば、それでいいんだからな」

(て・・・適当すぎるよ・・カントリーマァム)


ボスであるリーゼントの男が、指でちょいちょいっと、後ろの仲間を呼ぶ。

その中から一人、朝、銀髪の少女に蹴られた男が、こちらに近づいてくる。

リーゼントの男は、その男に命令する。


「やれヤス」

「はいボス」


男は、空の目の前までくると、手をポキポキさせ、いまにも殴らんとする勢いで睨みつける。


「動くなよ、うらっ!こいつを返してほしければなあ・・・大人しくボコられな!」


拳を振り上げ空に殴りかかる。


トン。


「げっ」


空はその攻撃を軽くかわし、後ろに回り込み、首元に一撃をいれ、男を気絶させる。


ドサッ。


「!」


その動きはあまりにも早く、常人であるその場のすべての者には、いきなり男が倒れてようにしか見えなかっただろう。


「・・・・・なんだ・・?」


ボスを含め、暴走族カントリーマァム全体に、動揺が走る。

空はその全員に告げる。


「ごめん・・・素人に手をあげるのは、イヤなんだけど・・・手加減するから、痛くはしないよ」


ひゅん。


言い終わると同時に、空の体が消えた。

そして同時に、暴走族のメンバーが、バタバタとと倒れていく、残りはボスとあと1名。


「なっ・・なんじゃこりゃーーーー!」


その光景にボスが叫ぶ。

その手に持っていたはずの真琴も、いなくなって、いつのまにか空に、抱き抱えられていた。


「大丈夫か?真琴」

「は・・・はい」


助けられた真琴も、その場にいる全員も、何が起き、何でこの状況になったのか、理解できる者はいなかった

空は真琴を降ろし、ボスと向き合う。


「どうする?まだやるか」


その言葉にボスは、狼狽してよろめく。


「い・・・一体、何をした・・・テメェーがすべてヤッたのか?」

「大丈夫、手加減はした。2、3日で目を覚ますよ」

「て・・テメェーー・・な・・・何者だ」

「大空 空」

「!」


その名前を聞いてボスは青ざめる。


「ま・・まさか、て・・テメェー・・・あの世界最強の格闘家・・・大空 太陽の息子か?」

「ああ、オヤジのことを知っているのか?」

「マジもんかよ!」


(そ・・空くんが・・あ・・・あの大空 太陽の・・・・)


残った暴走族のメンバーが、ボスに泣きつく。


「ひぃぃぃ・・ボス・・こんな化け物みたいな奴に、勝てるわけないですよ・・・いまの動きみたでしょ?いや見えませんでしたけど・・・逃げましょうよ・・ねぇ?」

「バカヤロー―!」


バキ。


「うぎゃっ!」


ボスはその者を殴り飛ばす


「ば・・・バカ野郎ォォ・・せ・・・世界最強の男の息子くらいで、ビビってんじゃねェー!お・・オレは、オレ達は関東最強のカントリーマァムだぞ、逃げるわけにはいかねェーんだよ!」


そう言ってボスは、空と相対する。

ジリっと、距離をつめ、いつでも攻撃できる体勢をたもつ。

空はそんな男の意気込みを買い、軽く攻撃姿勢に移る。


「ふむっ・・その意気はよし!大丈夫、手加減はするから、1週間くらいで目を覚ますよ」

「ひっ」


その言葉を聞いてボスは、さきほどの意気込みは嘘のように消え、体をガクガクと震わせ、全力で体を反転し逃げだした。


「お・・覚えていろーーーー!」


最後に捨て台詞を残して去って行った。

真琴はその後ろ姿を見ながら空に尋ねる。


「なんで・・・ああいう人達の捨て台詞って・・・ああもワンパターンなんでしょう?」

「意外と難しい質問だな」

「ですね・・・・・・・・・・・・・それにしても師匠・・・・師匠があの世界最強の格闘家、大空 太陽さんの息子さんだったなんて・・・」


真琴は空の父親について、ある疑問を聞いてみた。


「あの・・・そういえばなんで空くんのお父さんは・・・・空くんからモンスタートランプをやめさせたんでしょう?」


その質問に対し空は、少し言いづらそうに答える、


「・・・・・オレのオヤジは格闘家でさ・・・それをオレに継がせたかったらしくて・・・」

「それで!・・・空くんに、カードゲームをやめて、格闘家になれって言ったんですね?」

「ああ・・・・それでやめさせられて、家族全員で海外に武者修行の旅」

「ムチャクチャですねソレ、空くんがかわいそうです」

「まあ・・でも、オレは、オヤジのことを恨んでないけどな」

「でも、いくらなんでもひどいです。親だからって横暴だと思います。恨みごと1つくらい言ってもいいと思います」

「・・・・・・・なんで、オレの名が、空かって母さんに聞いたことがあるんだ。そしたらオヤジが考えたって、教えてくれたんだ。太陽である自分を、飲み込むくらい大きな存在になれって・・・それで空って名づけたらしい。オヤジはオレに格闘家の自分を超えてほしかったんだ」

「・・・・・・・・・・・」

「それを聞かされたら、なんとなく恨めないよなーオレは将来、宇宙最強のモンスターバトラーになるって夢をもったせいで、オヤジの期待を裏切っちまってたんだし」

「でも・・・それでも、親が勝手に子供に期待して、将来を決めるのは、よくないと思います。それが子供ためだと思ってしていることだとしても・・・」

「そうだな、それはオヤジもわかってた・・・それでもあえてオレに格闘家としての道を押し付けたんだ。オヤジはオヤジで辛かったと思うぜ」

「・・・・・・・・・そういえば空くん・・・ならどうしてまた、モンスタートランプを始められたんですか・・・・やめさせられていたんですよね?」

「・・・・・オヤジがオレに言ったんだ」


『ワシも母さんも、カードゲームはまったくさっぱりじゃ。やってみたが、やり方も楽しみ方も全然わからん。おまえと違ってワシらには、カードゲームの才能はないようじゃ。だから親として、子供の将来のため・・・カードゲームなんてやらせていいのかわからん。できればワシらと同じ、格闘家の道に進んでほしいと思う・・・・が、子供には子供の道を進んでほしいという気持ちもある。だがらまずワシを倒してみせろ、空!おまえのカードゲームへの想い、ワシにぶつけてみせろ!そしてワシに打ち勝て!そしたらまた、日本に帰ってカードゲームを続けていい』

『ホントかオヤジ!』

『男に二言はない!ワシに勝てばおまえは自由じゃ、おまえの好きな道を行け。もうワシはなにも言わん。いや、むしろおまえを全力で応援する。空、ワシを超えてみせろ』

『おう!』


「なっいいオヤジだろ?」

「い・・いや・・た・・たしかに、有無をいわさず格闘家にするよりはマシですけど・・・条件が、子供が親に勝てって・・・・ちょっと大人げがなさすぎですよ・・・・・・・・・・ん?・・でも、いま、師匠がモンスタートランプを、続けられているってことは・・・・・」

「ああ倒した」

「師匠すげェーー!!・・・・ってことは、師匠が世界一の格闘家ってことですか?」


その質問に対し、空はすこし考えて答える。


「それはどうかな・・・いま思い返してみると、やっぱりあのときのオヤジは、全然本気をだしていなかった気がする」

「ど・・どうしてですか・・・?」

「わからん・・まぁ・・いつか、本気のオヤジに勝って、それを聞き出すさ。それもまた、オレの目標の一つだな・・」


そう言い、空は二カッと笑う


「でも師匠・・なんでそんなに強いのに、格闘家にならないんですか?嫌いじゃないんですよね?格闘技・・・・」

「ああ・・好きだな」

「じゃあモンスタートランプと、格闘家の両方で、最強を目指せばいいじゃないんですか?」

「・・・・・・もし、最強を決めるモンスタートランプの大会と、格闘技の大会が同じ日に開かれたとする・・・その場合オレは、どっちにでると思う?」

「そ・・それは・・当然、モンスタートランプの大会ですよね?」

「ああ、そうだ・・・オレは迷わずモンスタートランプの大会にでる・・・そういうことだ・・・・真琴」

「?」


その言葉の意味を真琴は探る。


「・・・・・・・・・どちらかが中途半端になるくらいなら、最初から片方に集中したほうがいいってことですか?」

「ああ、そんなところだ、目指すならどっちかだ。そうじゃないと、真剣に格闘技を極めようとする者に失礼だ。それに格闘技はいまいち本気になれしな」

「なんでですか?」

「宇宙最強になれないから」

「ま・・またそれですか・・・」

「だって宇宙人だぜ、相手は、手からビームをだしたり、星をぶっ壊したり、100メートルを超える巨人とかいるかもしれない。さすがにそんな奴相手に、オレも勝てないしな」

「し・・師匠らしい考え方ですね・・・」


空は手を空に伸ばす。

それはまるで、宇宙に届きそうなくらいに感じた。


「でもモンスタートランプは違う、体格 人種 国 星すべて関係ない。デッキ1つでどんな奴にも勝てるんだ。どんな奴でも宇宙最強になれるんだ。こんなにワクワクすることはないだろ」


その子供のような笑顔に、真琴はなんだか、微笑ましい気持ちになる。


「・・・・そうですね・・・・ボクもそう思います」


「!」


そのとき2人は背後から、憤怒のオーラを感じた。

2人は振り向くと、そこいたのは、担任の有坂 凛だった。


「ほう・・・宇宙最強か・・・・おもしろい夢だな」

「あ・・有坂先生!ど・・・どうしてここに?ボクたちに何か用ですか?」


真琴は恐る恐る聞いた。

有坂 凛は、怒りで表情をピクピクさせながら答える。


「宇宙最強になるのはいいが・・・そのまえに・・・・・・空!テメェー!バカヤローーーー!コレは何だアアアアアアアア!」


有坂 凛は空の目の前に、5枚の紙を突きだす。

真琴がそれを見る。


「こ・・これは!」

「今日のテスト、5枚とも白紙じゃないか、バカヤロー――!」


(は・・はじめて見た0点のテスト用紙・・しかも5枚・・・)


空は笑いながら答える、


「ああ・・すいません。どんなデッキにしようかと考えていたら、いつのまにかテスト終わってて、すいません」

「テメェェェ・・ソラぁ・・バカヤロォォー・・・」


凛は、ぶるぶると体を震わせ、怒り狂っていた。

その様子はまるで、いまにも爆発する火山のようだった。

そんな凛の怒りを鎮めようと、空はよけいな一言を言ってしまう。


「でも安心してください先生。オレ、モンスタートランプで宇宙最強になりますから、テストなんてできなくても大丈夫です」


ビキッ。


その言葉によって、有坂 凛の怒りは頂点を超え、爆発した。


「テメェーはァァァァァァァァソラァァァァァァァァ!宇宙最強になるまえに、そのカードゲームしかない頭を、どうにかしろバカヤロォォォーーーーーーーーーーー!」


その声は町中に響き渡り、そのことによって、当然、婚期も遅れることになった。



とある車道を、超高級車が走っていた。

その車内には、ぐるぐるメガネの海原 マリアともう一人、黙々と携帯ゲームで遊ぶ少年が乗っていた。

少年はどこか無愛想で、やる気ない感じだ。

少年はマリアに言った。


「よかったね姉さん、姉さんの大事な人が、暴走族の人達に、怪我させられなくて」

「そうですねぇーよかったですねぇー」


そのヘンテコなしゃべり方に、少年は不快感を示す。


「・・・・・キモいよ、姉さん・・・その喋り方・・・そろそろキャラ戻せば」

「フッ・・そうだな」


突然マリアは口調を変えると、メガネを取り、自分本来の性格に戻す。


「弟相手に見せても、意味のないものだからな」

「・・・でもなんで、そんな変なキャラを作ってるの?あの人に正体をバレたくないから?」

「いや、正体も何も、空は私の顔も名前も、最初から知らない」

「?・・・・ならなんで、そんなメガネとキャラを?しかもその人のために姉さんは、転校までしたんだよね?理由を教えてよ、姉さん」

「断る。乙女の秘密だ」

(乙女ってガラかよ・・・)

「それに聞いたら、きっとおまえは笑うだろうからな」

「笑わない笑わない、だから教えてよ姉さん」

「仕方ない・・・」


その理由を、マリアは弟に話した。



「ぷっ」


それを聞いた瞬間、弟はふきだす。


ゴン。


マリアの鉄拳により、弟の頭には、マンガのようなたんこぶができた。


「うごご・・・ご・・・ごめんなさい・・・」

「ふぅ・・・私の正体はともかく、いずれこのキャラはやめるさ、とびっきりの場所でな・・・ふふふっ」

「まったく・・・姉さんは、サプライズ好きだな・・・・」

「ふふっこう見えて私は、日本の会長だからな。エンタ―テイメント・・人々を楽しませるのも仕事のうちだ。今度の大会はかならず盛り上げてみせよう」

「楽しみ?」

「そうだな・・・・だがそれよりも、いまはもっと楽しみなことがある」

「何、ソレ?」

「菜月!」

「はい、お嬢様」


海原 マリアは、運転中の執事、灰色はいいろ 菜月なつきに声をかける。


「家に帰ったあとすぐ、空の家に行く、運転速くたのむぞ」

「はい、かしこまりました。お嬢様」


マリアを長く綺麗な足を組み、すこしニヤける。


「さて・・今日は、楽しくなりそうだ・・・ふふっ」


次回、VS関西チャンピオン①

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