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モントラ  作者: ゆう
1章
10/49

VS暴走族ファイナルへヴン①


「いやぁーーーー離してください!」

「!」


学校に登校中、真琴は、女性の悲鳴を聞いた。


「あ・・アレは・・・!」


見ると、高校生くらいの女性が、バイクに乗った暴走族に腕を掴まれていた。


「オンナぁ・・俺にぶつかっておいて、謝りもしねェーで・・どういうつもりだ?ああッ!」

「あ・・謝ったじゃないですか・・・・ごめんなさいって」

「誠意が足りねぇーよ、セイイが、礼じゃなく金ダァ!金をよこしな、慰謝料ダ」

「そ・・・そんな・・・・ただ、ぶつかっただけで」


真琴はその様子を見て、あきれはてていた。


(・・・まったく・・・近頃ああいう人多すぎです。勝くんとか伊集院くんとか裏前田とかいう人とか・・・)


「・・・・・・よ・・よし、助けよう・・・・」


真琴はゴクっとツバを飲みこみ、決心をする。


(師匠がもしこの場にいたら、絶対に助けにいっているはず。僕だって空くんの友達です。

頑張ればできます・・・・根性!コンジョ―!)


真琴は心の中で気合いを入れが。

ガクガク。

だが、あきらかに足は震えていた。


(ううっ・・怖いけど・・・ここはボクが行かなくちゃ・・師匠みたいになるんだ・・・)


「えーーーい!」


真琴はなけなしの勇気を振り絞り、その場に飛び込む。

腕を振り回し、情けない駄々っ子のように。


ズガン。


強烈なハイキックが、暴走族の顔面にはいる。


「ぺぎゃあああーーー!」


悲鳴と共に暴走族の男は、数メートル吹っ飛んだ。

その一撃は、腕を振り回しながら飛び込んだ、真琴のものではなく、突如現れた、銀髪の長い髪の少女のものだった。

スカートを揺らしながら蹴る姿は、絵になっていて美しい。


「うわっ・・・す・・すごいキック」


真琴は茫然と立ち尽くしていた。

何もできなかった消失感と、乱入者が相手を倒してくれた安堵感で。

そんな真琴をしり目に、助けられた女性は、銀髪の少女にお礼を言う。


「あ・・ありがとうございます、助けていただいて・・あ・・あの・・・あなたのお名前は?」


女性は尋ねるが、銀髪の少女は背を向け立ち去る。

立ち去りながら、銀髪の少女は言った。


「名乗るほどのものじゃないさ、私の知る大切な人物ならこうした・・・それを実践したまで。アディオス」


ピッと人差し指と中指を額にあて、銀髪の少女はクールに去って行った


「かっこいい・・・」


助けられた少女は、その後ろ姿にホレぼれしていた。

女性が憧れる女性とは、ああいう者のことを言うのだろう。


(たしかに・・・かっこいいけど、師匠ほどじゃないな・・・うんうん)


真琴は勝手に友人と比較して、友人を持ち上げていた。


教室。

真琴は空に、今日、登校中に起こった出来事を話す。


「へーそんなことあったんだ」

「そうなんです、暴走族みたいな人を、キックで一蹴!すごかったですよ」

「どんな奴?」

「銀髪の女性で、たぶん・・・外国の人だと思います」

「もしかしてあいつか?」

「へ?」


空が指さす方向に、銀髪の少女がいた。

だがその雰囲気は、さっきの少女とは、まったく逆のものだった。

ちょうど教室に、入ってきたところのようだ。

そのあとをすぐ、担任の有坂 凛も入ってきた。


「えーみんなー今日はまた転校生を紹介するぞ。じゃあ転校生、自己紹介を」

「はぁーーい」


銀髪でぐるぐるメガネで三つ編みの少女は、間の抜けた声であいさつすると、自己紹介を始めた。


「あんのーわたしー海原 マリアと申しますぅーこれからもよろしくお願いしますぅーみなさぁん」


ヘンテコなしゃべり方は、どこか田舎者をイメージさせた。


「どうだ真琴、あの子か?」

「いやー・・・・似ているけど・・・・全然違うと思います。雰囲気とかメガネとか、その他色々、諸々・・・」


空と真琴の会話に、隣のみかんが割って入る。


「それにしても最近、転校生多すぎよねー・・どうなってるのかしら、この中学」

「たしかに」

「それは師匠も、みかんさんもですよー」


担任の有坂 凛は、海原 マリアという転校生について話し始める。


「えー海原は、日本人と外国人のハーフだ。見た目は違うからって、いじめたりするなよ。あたしは、めんどうごとは大嫌いだ。もし起こした奴は死刑だ、わかったな」


『はーい』


クラス中が返事をした。

真琴は思う。

とんでもないことを言う先生だな、よく教員試験を受かったものだと。


「よし授業するぞー」


『えーー』


「えーじぇねェー・・バカヤロー!」


有坂 凛の授業が始まる。

その授業は意外とわかりやすく楽しい。

そこらへんが彼女が、教員試験を受かった一番の理由かもしれない。


「じゃあマリア、あの空いている席に座ってくれ」

「はーいですぅ」


マリアは、その空いている席までトコトコ歩くと、そこに座り、隣の席の空に挨拶する。


「よろしくおねがしますぅー空さん」

「ああ、よろしく・・・・・ん?あれ?オレの名前を言ったけ・・・どこかであったことある?」

「それは秘密ですぅ」

「?」


親しく話している2人を見て、みかんは不機嫌そうな顔をしていた。


キ―ンコーンカーンコ――ン。


授業が終わり、休み時間。


「あのぅー空さん」

「ん?」


マリアは空に話しかける。


「今日、空さんの家で、モンスタートランプをやりませんかぁ」

「いいけど」


空は二つ返事で答える。


「ちょっとまちなさいよ、ぐるぐるメガネ!」


その会話を聞いていたみかんが、2人の間に割って入る。


「はいー?わたしことですかぁ」

「そうよ、いまどきそんな、変なメガネをつけてるの、あんたくらいでしょ」

「はー・・・で?なにかようですかぁ、みかん皮さん」

「みかんよ!勝手に剥くな!」

「まちがっちゃいましたぁ・・テヘッ」


マリアはかわいく舌を出して謝った。


「この女ぁ・・!」


みかんはマリアを睨みつける。


「まあまあ、みかんさん」


そんなみかんを、真琴がなだめる。

みかんが空に突っかかり、それを真琴がなだめる。

こんな日常が毎日のように行われていたため、手慣れたものだ。

みかんは腕を組み、マリアに質問する。


「あんた、一体どういうつもりよ?」

「はいー?」

「転校してきた初日に、いきなり男子の家に転がりこもうとして、一体どういうつもりかって聞いているのよ!」

「ダメですかぁ?」

「ダメよ!」


マリアは首をかしげて空に聞く。


「いいですよねぇ?空さん」

「ああい、いいけど」


当然、空は二つ返事で答える。


「ちょっと裏切る気?空!友達を」

「いや、そんなつもりは・・・」

「裏切ってませんよ、全然、どこも・・・」

「本人がいいって、言っているじゃないですかぁ、何がダメなんですかぁみかん汁さん」

「みかんよ!絞るな!」

「まちがいちゃいましたぁテヘッ」

「この・・・アマぁ・・・」

「まあまあ・・・」

「ふんだ、いくら本人がいいっって言ったからって、親友のあたしがダメって言ったらダメなのよ!」

「メチャクチャですよその理論!」

「うっさい」

「はぁー・・では、今日は空くんの家で、お泊まり会ということにしましょう。それならぁいいですよねぇ空さん」

「ああいいよ」

「おィィィィィィ!ぐるぐるメガネ、どこがいいのよ!悪化させてるじゃない!それに空!勝手に人の家に泊めないでよね!」

「いや、オレの家なんだけど」

「ったく、人の家に勝手に転がり込むどころか、お泊まりまでしようとして・・・あんた一体、何考えているの」

「だからみかんさんの家じゃないです!」

「みたいなものよ!」

「勝手すぎだ!」


みかんの横暴さに、真琴も対処不能になってきた。

そんな真琴の耳に、空はでボソッ呟く。


「いつからオレの家は、みかんの家になったんだ?」

「・・・・・・・・そ・・空くんも、し・・しっかりしてください」


みかんの横暴さと空の天然さに挟まれ、真琴はへきれきしていた。

なんとか、その場を収拾したいと思い、真琴はマリアに、1つの疑問を聞いてみた。


「・・それにしてもマリアさん・・なんで空くんが、モンスタートランをプやっていると知っていたんですか?それに名前も」

「ぜんぶ秘密ですぅーうふふ」


ノ―天気に笑って言った。

その態度にみかんは、さらにイラっとした。


「この、ぐるぐるメガネ・・・・」


いまにもみかんの怒りが、噴出する直前、空はみかんに尋ねた。


「みかんもうちにくるか?」

「え・・・・!」


いきなりの空からの質問に、みかんは少し赤面する。


「い・・・いいの?いっても」

「ああいいぜ」


それを聞いたみかんは、顔を真っ赤にして、教室の隅っこに移動した。

そこで、何かぼそぼそと呟いている。


「ふ・・・2人っきりで・・・そ・・空の家でお泊まり・・・ふ・・2人っきりで空の家でお泊まり・・・ふ・・2人っきりで・・・きゃああああっ」


どうやら妄想の世界に、いってしまったようだ。


「わたしもいますよぉ」


マリアはみかんの耳元で囁く、いつのまにかすぐ後ろにまで来ていた。


「・・・・・・・・・・・・チッ」


みかんは自然と舌打ちをしていた。


「どうする?みかんも来るか」

「ま・・まあ・・・しょ・・しょうがないわね・・・仕方なく、仕方なくだからね、いってあげるわ。感謝しなさい」

「ずうずうしい ・・・・・はひっ!」


みかんは、真琴の足を踏みつけた。


「真琴もくるだろ?」

「えっ・・」

空からいきなりの質問に、真琴はつい反射的に答えてしまう。


「は・・はい、行きます」


もちろん真琴は、絶対に空の家に行きたいのだが、母親が許してくれるだろうか、それだけが心配だった。


「じゃあ、今日うちでみんなで、泊まりでモンスタートランプやろうぜ!」


「はい」

「はぁーい」

「ったく・・・まあ、仕方ないわね」



空の言葉に3人が、まったく揃わない返事をする。

今日この4人で、空の家でお泊まり会をすることになった。


放課後


「じゃああたし、準備したら、あんたの家にいくわね」

「ああ」


みかんは足早に教室をでて、学校を後にした。

顔にはウキウキ気分が滲みでていた。


「ボクも一度、家に帰って、色々準備してきますね」

「ああ」


真琴も早く家に帰り、母親の説得と、泊まる準備をするため、教室をでた。

母をどう説得しようかと考えながら、校門を出ると。


「ああああ!」


いきなり足を掴まれ、宙づりにされる。

誰かが真琴の片足を掴み、逆さにしたのだ。

真琴は宙づりになりながら、その人物を見た。

見るとその人物は、リーゼントにグラサン、ジャケット着てバイクにまたがっていた。

人昔の暴走族のような人だった。

その男は、真琴を宙づりにしたまま、尋ねる。


「おまえ・・・この学校のもんだな?銀髪の女はどこにいる?」

「なっ・・なんなんですか?いきなり・・・あな・・わあああああああ!」


口ごたえしたのが気に入らなかったのか、片足を持ったまま、真琴をぐるぐる回す。


「ひゃああああああああああ」


真琴は目を回しながら、悲鳴をあげることしかできなかった。

その様子をみていた、他の生徒たちは、ヒソヒソ話し始める。


「おい・・・アレ?関東最強の暴走族 ファイナルへヴンのメンバーじゃねーか?」

「ほんとだ!なんでこんなところに・・・」

「やべェーよ、あいつら・・・・警察だって手に負えないって、噂だぜ」


「ひいーーー」

真琴はまだ回されていた。


「今日、うちの者が、この学校にいる銀髪の女に、世話になったらしくてなァそのお礼にきた・・・」

(もしかして今朝の・・・!)


真琴は登校中に見た、銀髪の少女のことを思い出す。


「この学校に、その銀髪の女がいることは調べがついている。どこの組のもんだァ!隠さず話せ!」


「し・・・・しりませ~~~~ん」


ぐるぐるぐる。


(きっとマリアさんのことだ!勘違いしてるよ・・この人、まったくの別人なのに・・・ってか、これからボクどうなるの? ホントっ最近この手の人ばっかだぁぁぁぁぁ

・・・)


「女といえ、許しちゃおけねェーこの関東最強の暴走族、カントリーマァムに立てつく奴はなァァ!絶対に!」

「あ・・あのファイナルへヴンじゃ?」


一旦、回されるのをやめ、宙づり状態の真琴が尋ねる。


「それはかっこ悪いからやめた」

(どっちもどっちだよ!)


真琴の様子を、3階から眺めている者がいた。

それは海原 マリアだった。

ぐるぐるメガネの奥の瞳で、数を数えている。


(ひーふーみー・・・・・20名か・・・・)


じつは真琴を捕まえている人物は。カントリーマァムのボスで、その後ろに数十名の族の仲間が待機していた。

マリアはそれを数えていたのだ。


「ギリギリ・・・倒せるといったところか・・・・・・はぁー・・めんどい。だが、行くしかないか・・・・仕方ない」


ぐるぐるメガネの奥に潜む瞳に、強い意思をこめて、マリアは暴走族の元に向かった。

だがそのまえに、暴走族カントリーマァムのボスに、近づく者がいた。


「やあ」

「!」


それは大空 空だった。

これだけの族を相手に、空はいつもどうりの、余裕の表情を崩してはいなかった。

それどころか、族に対してすっとんきょうなことを言う。


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