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tears  作者: 榊ゆあ
6/16

06.プレゼント



学校へ…行くつもりだった。


でも行けなかった。


気がついたら空は真っ暗で。


星が綺麗だった。










私はふらふらと目の前に敷かれた道をただただ歩いていた。

どこに行こうというあてもなく。

でも足は最初からそこに行こうとしてたかのように公園に着いた。


辺りを見渡す。


いつものベンチに京介が座っていた。



「よお。」



笑顔で微笑みかけてきた。



「ごめん…。」



ごめんなさい。



「学校…行けなかった…。」



約束したのに、“絶対”って。



「…。」



京介の顔が見れない…。顔を上げるのが怖かった。



「焦らなくてもいいって言ったじゃん?」



「え…」



「行こうって思ってたでしょ?そう思えたならいいじゃん。一歩踏み出せたじゃん。気持ちは来れてたんだよ、お前。だから、お前は学校に来れた!」



「…。」



「今度は友達に会えるといいな。」



…京介は優しすぎる。優しすぎるよ。



「…うん。」



京介の顔が見れた。満面の笑みを浮かべて私を見ている。



「来いよ。」



そう言って京介は遊具を登り始めた。



「え?」



「ほら、いいもん見せてやるから。」



京介はどんどん上に登っていく。

私もその後を追いかける。制服だから登りにくい…。


気がつけば京介の姿が見えない。上まで登りきったのだろう。


登りが不得意な私はおそかった。どこに足をかけて登ればいいのか分からない。

すると目の前に大きな手が差し伸べられた。



「おそいな、お前。ほらっ」



「あ、ありがと…。」



京介の手を握ると思い切り上にあげられた。



「うわっ」



た…高い…。確かここって前に京介がいた場所だよね…。



「見てみろよ。」



言われるがままに京介の指差す方を見た。



……




そこには光輝く街の風景が広がっていた。



「綺麗…。」



「空も見てみろよ。」



空を見上げる。


たくさんの星が輝いていた。綺麗すぎて言葉がでなかった。

京介はいつも、この風景を見ていたの…?



「ここ、俺のお気に入りの場所。特別に教えてやるよ。今日学校に来たご褒美!…つーか、プレゼント?」



「何それ…。」



「あれ、うれしくなかった?」



急に光がぼやけてきた。夜景や星が見えない。



「ううう~っ」



「泣くなよっ。…そんなに感動したか?」



「泣いてないし~っ」



「あはは」



どれだけ京介は私を泣かせれば気がすむのだろう。

私は京介に泣かされっぱなしだ。





そして私は、京介にお礼を言ってばかりだ。









京介、










すごくステキなプレゼントをありがとう。






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