06.プレゼント
学校へ…行くつもりだった。
でも行けなかった。
気がついたら空は真っ暗で。
星が綺麗だった。
私はふらふらと目の前に敷かれた道をただただ歩いていた。
どこに行こうというあてもなく。
でも足は最初からそこに行こうとしてたかのように公園に着いた。
辺りを見渡す。
いつものベンチに京介が座っていた。
「よお。」
笑顔で微笑みかけてきた。
「ごめん…。」
ごめんなさい。
「学校…行けなかった…。」
約束したのに、“絶対”って。
「…。」
京介の顔が見れない…。顔を上げるのが怖かった。
「焦らなくてもいいって言ったじゃん?」
「え…」
「行こうって思ってたでしょ?そう思えたならいいじゃん。一歩踏み出せたじゃん。気持ちは来れてたんだよ、お前。だから、お前は学校に来れた!」
「…。」
「今度は友達に会えるといいな。」
…京介は優しすぎる。優しすぎるよ。
「…うん。」
京介の顔が見れた。満面の笑みを浮かべて私を見ている。
「来いよ。」
そう言って京介は遊具を登り始めた。
「え?」
「ほら、いいもん見せてやるから。」
京介はどんどん上に登っていく。
私もその後を追いかける。制服だから登りにくい…。
気がつけば京介の姿が見えない。上まで登りきったのだろう。
登りが不得意な私はおそかった。どこに足をかけて登ればいいのか分からない。
すると目の前に大きな手が差し伸べられた。
「おそいな、お前。ほらっ」
「あ、ありがと…。」
京介の手を握ると思い切り上にあげられた。
「うわっ」
た…高い…。確かここって前に京介がいた場所だよね…。
「見てみろよ。」
言われるがままに京介の指差す方を見た。
……
そこには光輝く街の風景が広がっていた。
「綺麗…。」
「空も見てみろよ。」
空を見上げる。
たくさんの星が輝いていた。綺麗すぎて言葉がでなかった。
京介はいつも、この風景を見ていたの…?
「ここ、俺のお気に入りの場所。特別に教えてやるよ。今日学校に来たご褒美!…つーか、プレゼント?」
「何それ…。」
「あれ、うれしくなかった?」
急に光がぼやけてきた。夜景や星が見えない。
「ううう~っ」
「泣くなよっ。…そんなに感動したか?」
「泣いてないし~っ」
「あはは」
どれだけ京介は私を泣かせれば気がすむのだろう。
私は京介に泣かされっぱなしだ。
そして私は、京介にお礼を言ってばかりだ。
京介、
すごくステキなプレゼントをありがとう。