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tears  作者: 榊ゆあ
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01.夜の公園で

高校1年の秋。私、禾坂瑠美のぎざか るみは“また”1人泣いていた。


理由は分からない。

けど、すごく悲しかった。

急に泣きたくなって近くの公園に駆け込んだ。


空を見上げれば夜空が広がっている。

綺麗な星を見つめるその目からは涙が溢れていた。


「も~なんなの~この胸のモヤモヤは~…」


〝モヤモヤ〟なんてもんじゃない。

胸が締め付けられる感じ。

静まりかえった夜の公園でただ1人ベンチの上で体操座りしながら

うずくまってる私はグスグスと泣いていた。


その時だった。


ふと顔を上げた時、公園の中央にある大きい家型の遊具の屋根の上に

人影が見えた。

あんな高い所に人影…!?

普通にありえない…しかもこんな時間に。


「…ん?」


月に照らされたその姿をよく見ると…男…?

しかも制服を着てる。

仰向けに寝転がっている…ということは寝ている?あんな高い所で?


いや…夜空を眺めてるんだ。


目が涙で潤んでボヤけて見えるけど確かにそう気づいた。

その男の人の目がどこか悲しい目をしてることも・・・。

ぼーっとその男を見上げてたら視線を感じたのか、男がこちらに顔を向けた。

すると男は上半身を起こし、座った状態で話しかけてきた。


「そんな所で何してんのー?」


距離が少しあるため、大きめの声を出している。

…あなたこそ何でそんな所にいるのよと言ってやりたい。

けど怖かったから何も言わずにいた。

私が何も言わないでいると男は立ち上がり、遊具の屋根から一気に飛び降りた。

一瞬の出来事でビックリしたが男はきれいに着地した。

あんな高さから飛び降りるなんて…。

男はだんだん近づいてくる。

自分の鼓動が早くなってってるのが分かる。なぜか緊張してる自分がいる。


男は暗がりの中、私の目の前で立ち止まった。

さっきは月の光で少ししか見れなかったが今ははっきりと見える。

整った黒い髪にかっこよく着こなしてる学ラン。

顔はかっこいい。絶対モテる顔だ。

そしてよく制服を見ると私と同じ学校だ。

こんなイケメンが同じ学校?まさか。


泣いてたことも忘れまじまじと男を見つめる。

すると男が口を開いた。


「聞こえなかった?こんな時間に何してんの?」


見たら分かるでしょベンチに座って1人メソメソ泣いてたのよ。

口に出さず心の中で呟く。


「そんな怖い顔しないでよ。安心して。とって食うとかそんなことしないから。隣いい?」


「…どーぞ。」


笑いながら男は隣に座った。

その時の横顔が一瞬…一瞬だけど、また悲しそうに見えた。


そして何だか…なつかしく感じた…。




それと同時にまた涙が溢れてきた。






あなたは……誰…?









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