いつまでも
あいつはあの子のことが好きなのだ。
あの子はあいつのことが好きなのだ。
そして俺は、そんな2人のことが好きなのだ──
「俺、愛生のことが好きらしい」
幼なじみである少年がそう言った。
「私、隆司のことが好きらしい」
幼なじみである少女がそう言った。
「らしいってなんだよ」
なぜか、2人から話を聞かされた幼なじみはそう答えた。
これがいわゆる相互片想いというやつなのか。
なぜ、俺に言うんだ。
本人に言えばハッピーエンドなのにな。
そんな2人を見ながらも、じれったいと思いながら、俺は楽しかった。
「りゅーじ!」
「げっ! なんだよ、愛生」
「げってなによ! 隆司がひどいよー、和」
そんなことを言いながらも、どこか楽しそうに笑う幼なじみの2人。
「和希、こんな奴放って置いていくぞ」
「隆司ひどすぎる! 和、私も行く」
「なんで来るんだよ」
いまだに大声で言い合う2人を見ながら思わず苦笑いをする。
「愛生のせいで和希が呆れてるだろ」
「隆司のせいでしょ」
どっち? と純粋な笑顔とともに問いかける。
「2人ともだよ。はやく行くぞ」
冷静に言い放つと、2人は後ろからついてくる。
「和希冷たい」
「隆司と一緒にしないでよ、和」
相変わらずな2人に思わずため息がでる。
けんかばかりしていないで、はやく告白すればいいのに。
そうしたら、ハッピーエンドなのに。
だけど、そう思う反面ずっと今のままがいいと思う自分がいる。
「結局、どっちなんだろうな」
「「何が?」」
俺の呟きに、笑顔でいう2人の幼なじみ。
その2人に、俺はやっぱりただ一言だけ冷静に言う。
「はもってんなよ」
いつかきっと、2人は恋人同士になるのだろう。
だけど、今は幼なじみ、という関係でいたい。
たとえ、俺が1歩下がったところで、2人を眺めている立場だとしても。
いつか、2人が恋人同士になったとき。
今と同じように、1歩下がったところで、俺は2人を眺められているだろうか。
いつか来る、2人が恋人同士になる日。
必ず来るその日、誰よりも2人を祝福してあげよう。
だから、今は変わらない幼なじみの3人で。
いつまでも変わらない、幼なじみの3人で──
男2人、女1人の幼なじみ関係が割と好きです。
恋している2人ではなく、少し下がったところから眺めている彼視点。