表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/39

第33話 冷蔵庫の怪

会社員のタカシは、残業帰りにコンビニで買ったチキン南蛮弁当と卵パックを持って帰宅した。

「今日も疲れた……」

靴も脱ぎっぱなしのまま、彼は弁当を冷蔵庫に入れると、歯も磨かずにベッドに倒れ込んだ。


その夜、妙な静けさの中でタカシは目を覚ました。時計を見ると、午前3時を少し回った頃だった。

エアコンの音もテレビの待機音もない。ただ、やたら静かすぎる。

そのとき、聞こえた。


「……ガタッ……」


冷蔵庫の方から、音がした。

「は?」

寝ぼけながらもタカシは身を起こし、音のした方を見つめた。


部屋の隅にある小さな冷蔵庫。確かにドアが、ほんの少しだけ開いている。


「ちゃんと閉めなかったか?」

ぼんやりしながら近づき、ドアに手をかけようとした瞬間。


「……あけて……」


小さな声が、中から聞こえた。


「……うおっ!?」


思わず手を引っ込めるタカシ。

「なに今の、声……気のせいだよな?」


ドアを閉めようとしたその時、またしても声が。


「……お願い……出して……」


さっきより少し大きい。

タカシは恐る恐るドアを開けた。


パカッ――


中はいつも通り。弁当、牛乳、納豆、卵パック。


……ただ、卵パックの一つが、ヒビ割れていた。

そのヒビの隙間から、なぜか目玉のようなものがじっとこちらを見ていた。


「お前……誰だよ……」

タカシがつぶやいた瞬間、ヒビの中から声がした。


「……出して……お外……寒いの……」


「……心霊卵!?」


反射的にツッコんだタカシだったが、状況は笑えない。

恐怖より先にツッコミが出た自分に、少し悲しくなった。


殻がポロッと割れた。


……中から出てきたのは――


プチトマト。


「お前、卵ちゃうんかい!!」


冷蔵庫の中でプチトマトがコロコロ転がり、さらにもう一つの卵が割れ、また目玉がこちらを見てきた。


「やべえ、これはやべえ……」

タカシは冷蔵庫のドアを閉めて、ベッドに戻った。


「これは夢だ……きっと夢だ……明日には全部忘れてる……」


そう唱えるようにして眠りについた。


翌朝。

冷蔵庫を恐る恐る開けてみる。


卵パックは元通り。ヒビもない。中にトマトもいない。

「あれ、やっぱ夢だったのか?」


そう思ったタカシがテーブルに目をやると、1枚の小さなメモが置いてあった。


『次は冷凍庫だよ』


タカシは、弁当も卵もそっと捨てることにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ