午前零時
「……」
「……」
「……千野さん、まだ起きていますか」
「……ああ。床硬くないか?」
「毛布を分けてくれましたから、大丈夫です。それより、一つ聞いてもいいですか」
「何だ」
「……昼間お店で、胸の大きな女性が好みだと言っていましたよね。あれは本当のことでしょうか。だとしたら、私で欲情したりはしないのでしょうか」
「……くだらないことを話したいんなら、俺はもう寝る」
「真面目に聞いているんです。というか、初めて会った時に全裸を見られましたが、あの時に、こう、何かが湧き上がってきたりはしなかったのでしょうか」
「あのなぁ」
「いいから、答えてください」
「……俺は胸のでかい女が好きだから、お前の身体に興奮して襲い掛かったりしない──これで満足か? 襲われるか心配で眠れないなら、俺はどこか別の──っておい。なんで俺の布団に潜り込んでくる」
「構わないでしょう? 私のような子供体型になど興味がないのですから」
「だからってお前……限度ってもんがあるだろ」
「いいですから!」
「……雪那?」
「……私、どうなってもいいですから。今だけは、私にされるがままになっていてもらえませんか」
「……お前、泣いてるのか?」
「そういうのは……気づいても、言わない方がカッコいいですよ」
「童貞なもんで。デリカシーがなくて悪かったな」
「……千野さんって手、大きいですよね。あたたかいです」
「……寝るときは、自分の布団に戻れよ」
「ぐすっ……はい」