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第52話 ナット『世界への適応ともう一人の異世界の君』(2)

 兄のキャラの強さは昔から。それに加えて無鉄砲だったし、だからといって大体成功させていく運気の持ち主なのはよく知っていたのだけれども、まさか、帰ってきていて寝ていたとは全く気づかなかった。


 中学を卒業してから家を出て東京の調理師専門系高校に進学、その後たまに電話してくるぐらいで一度も帰ってきたことがなくて、会っていなかったから。

 

 しかし、異世界ときいてあ、そう。ぐらいのテンションで、動じないにも程がある。


「そういえば大学卒業後家継いでくれるんだって?ありがとなー。俺もちゃんと成功するから!ちゃんと!」


 そんなことを早速行ってはいるが、ほんとマジでしてちょうだい。でもまあこの場合異世界で、だけど。


「兄さん、ちょっと聞いて」

「何?」

「信じてもらえるかわからないけど、ここは北海道どころか日本でもないナット王国というところで、漫画かアニメみたいにこの世界の”凍結の魔女”さんって人に北海道から家ごとこのナット王国に転写されている状況なんだよね」

「マジで!で?」

 

 兄、動じないどころか興味津々なんだけど。


「で、転写されてきたこの家の在り方があまりよろしくないということで、大きく問題が起きる前になんとかしなきゃってこの”救国の魔法使い”さんと帰ってきたら兄さんが居たってわけ」

「なるほど?こんにちははじめまして」

「初めまして、どうぞよろしく」


 握手してるよ。物事に動じないにもほどがあるんじゃないか?


「ちなみに私たちは転写されただけだから、元の世界にいた私も兄さんも私たちの家もちゃんと全部そのままあって、何の影響もなく生活しているそうだから、親にも迷惑かけてないし、安心していいらしいよ」

「そうか。しかし今度は転写かー。人間生きてりゃなんでもあるな!」


 今、今度はって言った?今度はって何。

 

「で、これから俺達は一体何をしていけばいいの」


 兄は妹の頭の状態を心配することはなかった。

 救国の魔法使いさん曰く、家の状態を最適化するとのことだったのだけれども、今は私の魔力をつかってこの家を維持、水も電気も私の力により維持ができているが、そうなると私がいないとなにもどうにもならないということなので、そこを改造したいんだ、だそうで。


「貴方は今は特になにも。妹さんは工事を。水属性魔石、火属性魔石、電力属性魔石をサービスしますねー」


 そう言い、家の中のコンロや電気系統、上下水道の位置を確認。家自体は兄ではなく私に紐づいているから、私が改造工事を行えば、家がこの世界に最適化され、異物感がある程度おさまっていくとのこと。

 

 凍結の魔女とその弟子、そんなんだったら、なんか教えてくれよ。と思ったので後で聞いてみたところ、「世界も知らないでそんなこと言ったら信じてもらえないじゃないか!」と言っていたがごもっとも。

 突然改造はじめたら「さわるな〜っ」てなるよね。


 じゃあ家の電気系統等改造工事中、とっても暇だろうから兄にういを会わせてあげよう。遊んでてもらおう。


「見て〜兄さんが家を出てから飼いはじめたカニ(ンヘンダックス)マホ(ガニーレッド)ロングヘアードのういだよ〜」

 と、【無限フリースペース】のハウスから出して兄に渡す。兄は昔家にいたシェパードをものすごく大事にしていたので、犬は得意な方だ。

 

 渡すと同時にういはしっぽぶんぶん、ペロペロと兄の顔を舐めだし、鼻と口を同時に舐めるものだから「窒息する〜」とか言われる始末。

 その後見つめ合ってたかと思いきや「わかった」と兄が言い出し、なんか通じたのかわからないけど、まあ、仲良くしてくれるならそれでいい。

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