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第35話 ネルド『研究者ギルド』(2)

 研究者ギルドは、ギルドに属する人を研究員と呼ぶ。昇進試験の試験官は、鑑定員の資格も所持しているがめ、試験官がそのまま作られたポーションと思われるものの審査をする。


「チーズ研究員について審査を開始します。ポーションの作成機序に全く問題なしというか、手慣れていましたね」

「量が倍量以上できるのは、何か別のスキル等の影響何だろうけど見たことがないね。興味深い」

「しかもできたポーションの解析結果が『ポーション・レア:新しい傷のほか、古傷の傷跡もある程度修復する』ってなっているんですよ。高ランク治癒魔法があれば傷跡なんてきれいに治しちゃうんでしょうが」

「ポーションには違いはないので合格ですが、なかなかの期待の新人研究員ですね」

「認証をみるとギルド登録日は昨日、見たことのない服装と、見た目年齢からしても都市部出身ではなさそう。たまにいるんだよね、こう、突然才能持った変異種が」

「では、手続きを進めて問題ないですね」


 そのまま手続きに入るところを中断させるように、試験官の一人がそわそわしたうえで、口を開いた。 


「ちょっとまってください!私のこの腕の古傷ももしかしたらこの『ポーション・レア』で綺麗になったりしたりしますか…?」


 その腕には広範囲のケロイド痕。試験官の一人、30代後半と思われる女性がポーションの効能への興味が拭い去れず、他の試験官2名に公私混同とは思いつつも、声をかけずにはいられなかった。


 ここからは内々の話ということで、固い話し方は割愛された。


「治ったらすごいけど、試験で作ったポーションは作成研究員に返還することになっているから、返還したうえで、本人に聞いてみて良いといえば買い取ればいいんじゃない?」

「話すだけ話してみます」


 先輩試験官は先に部屋から退出した。両腕にケロイドをもつ試験官は傷跡をさすりながら大きなため息をつく。先輩試験官の許しはでた。

 あとは、新人を食い物にする先輩にならないために、ちゃんと交渉をしよう。自制心、自制心。

  

 ◇


 「チーズ研究員とその随行者さん、手続きの準備が整ったので別室に来てもらっていいですか」


 スタッフさんに呼ばれたので「はーい」とついていく。

 

 10人程度が適正な小さな会議室程度の部屋に案内されると、私の作ったポーションと鑑定魔石ボード、ランクアップ登録ボードがおいてあり、机の向こう側には試験官が3人座っている。

 着席を促されるけどなんかこれ、面接っぽい。

 

「この度は試験、お疲れさまでした。先ほどもお伝えしたとおり、鑑定結果は間違いなくポーションで合格となります。ですが、ちょっとこのボードの文字をみていただきたいのですが、『ポーション・レア』という、おそらくは汎用品ではなく、チーズさんが作ったときのみ出る効能が付加されているようなのですよ」

「はあ」

「詳細をお伝えすると古傷の傷跡もある程度修復するといった内容なんです。そこでです。私どものうち、このツミレ研究員は昔出た冒険で大きな怪我をし、腕に大きなケロイド状な瘢痕が残ってしまっていて、もしよろしければ、ポーション・レアを買い取りさせていただけないでしょうか」


 畳みかけるように一気に言った。道理で、書類の準備といいつつ時間がかかっていたわけだ。

 きっと公私混同とかそういうことで悩んでいたんだろうな。そんなの答えは決まっているじゃないか。


「鑑定結果のみで、治験もしていないポーションは実際の効能が確認できていないためお売りすることはできません。」


 明らかな試験官さんの落胆の顔が垣間見えたが、最後まで聞き給えよ。


「この場で私がつみれ研究員様に使用し、効能を確認する治験をさせていただくのはいかがですか。逆に同意いただいての無報酬の治験となりますが」


 ツミレ研究員と言う人の頬が紅潮する。


「治験としてくれるって、いいのですか。もともとあきらめていた傷なので、藁にも縋る思いで」


 もう泣きそうな顔をしている。


 立場上言い出すのもすごく勇気が必要だったのだろう。


「アオくん、いいよね」

「チーズさんが良いならいいですよ」


 さあ、突然降って湧いてきた治験をはじめよう。効いてくれることを祈って。

 

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