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第33話 某所『星読み天気予報』

 この世界では占星術による天気予報がさかんだ。


 天気予報に使われる「星読みの魔術」と言えば言葉はいいが、実のところ魔法適性もうすく、剣術等前衛スキルもなく、家柄もそこそこの子息がなんとなく行き着く魔魔術であり、就職先は国に雇用されるなんちゃって公務員だ。

 

 大体1国に1つは星読みの省庁が設けられている。大体各国30人ずつ、性別不問のワンチームが3組を擁していて、毎晩星からの微弱な電波を受信している、と信じられている。

 魔石に囲まれた水盆に力を籠め、その波立ちで翌日の天気を占う。

 水平であれば晴れ、細かい波立ちであれば曇り、水かさが増せば雨、渦ができれば嵐といった、出た結果をリリースすることで収入を得る。

 その的中精度は5割程度。


 この省庁の難点を言えば、夜勤のある仕事というぐらいで、才覚がないために家の不良債権となりがちな子息の働き口としてちょうどいいことから、社会的な不満は起きづらい。年齢は16歳から60歳、ちなみに門戸は狭いので一般の人間から見ると謎セクションだ。


 今日は南方の珍しいお茶が手に入った、今日は北方の珍しい菓子が手に入った、等、遊びのような日常を送ってること、用務時間以外なにをしていても特に何も言われないこともあり、ここの職員たちのBMI値は高い。


「今日の占いは結果がよかった」

「今日は調子が悪かったからはずれそう」


 皆目まじめさなんてものは全くない。

 だらだら、きままに、楽しく生きて、先々のことなど考えない。


 通常このような環境になると、政治欲が強く、上に取り入ろうとする人間が出てきたりもするのだが、ここは、良くも悪くも放逐部署なので、給料は年齢経験問わず全員一緒、天気予報さえちゃんと提出されてさえいれば、昔何かの圧力があったためか、監督する上位部署もなければ監査もないので欲を持つ人間には向かないのでそういう人間はやめていく。


 占術を行ったときに青白い光が出るためにさぼったらバレるうえに、相互監視している状態なので淀んでいるようで、変な自浄効果が働いているような状態だ。


 因みに天気予報以外の占術は特に求められていない。

 よって、余った時間で職業訓練とか、何か別の才を見出されて出ていくとかしない限り、飼い殺しみたいなかんじだ。


 ◇


「さあ、今日も仕事仕事~」


 ナットでもネルドでもない第三国。

 ここの占い所『ときにわ』は、王の住まいの片隅にあり、寮も完全に併設されているため、許可がないと外出もままならない。

 背中の真ん中ぐらいまでの長さがある髪をハーフアップに結った、少し垂れ眼がち、左頬のほくろが印象的な少女は仕事に向かう。

 

 少女はこの占星術天気予報が惰性によって行われ、大した成果もないことを理解している。

 昔から空を見るのが好きだったため、大気のしけり方、雲の動き、体への重圧の変化で天気の動きがだいたいわかる。要するに占術よりもいいプロセスで精度の高い天気予報は可能なのではないか、と考えることもある。


 ただ、ここでお給金をいただいている手前、無用な口出しは不要。

 ためたお金で、そのうちやめた時に、魔力のすくない自分でも自由を謳歌するんだ。

 今年就職したばかりの少女は、何かチャンスをつかめないかと、少し未来の将来を見据えている。

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