表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
308/346

第308話 ボレイリョウ(27)

 テミスの素手の威力は、思いのほかすごかった。なにより巨大なドラゴンのダメージのほどはよくわからないけれど、殴ると同時に歩みが揺らぐ。


「倒れないか、硬いな」


 そんなことを言いながらまた腕と今度は脚にもエネルギーを溜め始める。それに対してドラゴンもテミスに気が付き、硬そうな尻尾が襲う。大きさもあるのでスピードさえあれば回避できるだろうけど、……とおもったところで蹴り一発で吹っ飛ばしている。それでもまだ、ゆらぐだけ。

 

 通常尾が長いこの手の生き物は尻尾でバランスをとっているものかと思うけど、さすがにモンスターだけあって倒れない。

 その横を私とういは伴走しながら自動回復補助を始めている。地上5メートル付近に透明な道路をイオくんが建築してくれたような状態、強烈なバフのおかげで今のところ走り続けても疲労感も全くない。

 

「……数撃てば倒れるかな」


 指を組みながらストレッチしつつ、首をまわしている。なんかただ住まいが強者なんだけど、なんだこれ。そして走っている私とういの横を天くんは半ドラゴン体で空を仰ぎながら、いうなればあおむけで飛んでいる。兄そっくりな風貌なのに鳥竜種たる部分は真っ白、前にみたときよりも羽根がまず美しくなっている。これは成長によるものなのかな?


「アルティメットライムドラゴン、オイスターに対する自然からの贈り物というか試練だけど、試練を受ける側の王城、まったく動きがなくて気持ちが悪いね。あとテミちゃん楽しそう」

「これ、王城に動きがなくて、ドラゴンが到達したらどうなるの?」

「え、たぶん跡形もなく破壊するんじゃないかな?もう不要な国家ですよーって」

「そんな簡単に」

「そういう風にこの世界は出来ているんだよ、面白いよね」


 天くんはニコニコしているけど、これ、元の世界で言うゲームとかに置き換えるとこの世界にはゲームマスターが居て、思い通りの運用ができなかったら壊してまた考える、ができると言っているような。そして天くんはその一部権限の実行部隊と考えることすらできる。


 謎が多い【ステータスボード】もあるし、でもこれ、理屈がわかることってあるんだろうか。いや、考えたところでなんの結論もでないものではあるけれど。


 そんな感じで思案しながら並走していると自らのリーチの短さに気が付いたのかういが突然巨大化した。というかスタンダードダックスフンドぐらいの大きさになった。あと何故かリードもちゃんと適合したサイズに変化した。なんで。


「コイツ硬いな!楽しい!」


 そんなことを言いながらテミスは攻撃の手を緩めることはなく殴り続けているので大きな地響きを発する足音と一緒に殴ることによって発生するヒット音もそこそこ聞こえてくる。


「テミス、このドラゴン口から何か吐きそうだ。警戒して」

「わかった!ありがとうイオ!」


 大体10分ぐらい走っただろうか、私の頭上加えて5メートル、要するに地上10メートルのところをアオくんが走っている。下から見るにいくつかの魔石を展開しつつ、魔法を組んでいるように見える。炎の魔法は聞いているからきっとさっきお願いした600℃から800℃の熱量を出すための何かをしているんだろう。まだ準備は終わっていない、そのタイミングでそれは。


 まっすぐ、近接で攻撃しているテミスに目もくれず、アルティメットライムドラゴンの口から発せられたその光の筋はオイスターの首都、マガキを目指して一直線のビームを描く。ビームの真下の自然、樹木は熱で変形、焼けている。

 高温すぎるせいか、焦げるだけで即出火はしていない。ただこれ、放置すると火事になるんじゃ。


「うわ、思ったよりすごいな。テミちゃん無事?」

「無事。しかしこれはどうしたものか。直撃したら私もちょっと危険だなあ」


 テミスは一時的にアオくんのいる足場に留まりことの顛末を見ている。

 

「火の集積はできるので、出火は僕が抑えます。というか吸収します。ただもう1つの問題が」


 そうアオくんが言うと同時に首都マガキがある方向で光が拡散する。一応敵性に対する国の防御壁ははっていた……いや、あれ、もしかして。


「なあ、イオ、見えたか?あれ、俺たちが張った結界、1枚しかないよな?」

「そう思う。しかも今の距離であれば持ちこたえることができたけど、これからどんどん近づくんだろう?」

「かなりヤバイよな。ここまでの強度は想定して結界張ってないしな」

「魔物除けの範囲だからな。いや、これ、破られて火の海もあるぞ?」

「はははは……笑えない」

 

 今をもってしても少しの殻は削られているけれど、ほぼ無傷としか思えないドラゴンのボディ。これやっぱりテミスの打撃も効果はゼロじゃないけれど、もっと効果的にダメージを与える方法があるんじゃないかな?


 そんなことを考えていたら魔法使いさんからの通信が。つなぎっぱなしにはしていたのでちゃんとモニターしてくれていたんだろうな。

  

『ここでノリ様が登場するけど、オイスター城の状況を伝えていいかい?』

『ははっ、自分で自分のことを様付けするとは面白いな』

『話の腰を折るのが得意なのか、王』

『そうよな、無駄に長い話は人生の時間の無駄だからな。とっとと本題を話すといい』

『……結論を言うとマガキ城にいる人たちは誰一人として避難をしていないし、素振りもない』

『だそうじゃ、参考になったかな?碧生、そして伊織』

 

 細かいことに口を挟まなければよかったのでは?王よ。と思いつつ、王とノリさんはいいコンビすぎる。面白いな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ