第30話 ネルド『ギルドミッション』(4)
ドン
銃声が鳴り響くや否や、銃身を杖に見立て雷撃をを銃弾めがけて放つ。
雷の方が速度が上のため、銃弾に雷を纏い、一直線にプテラの羽に直撃、初めて放った全身全霊全力の雷のエネルギーをぶつけた。雷のエネルギーなので感電と熱量が相手は4体いるため続けて第2撃を放つ。悲鳴のような声をあげ、1体が落ち、あと2体。続けてもう一体落ち残り1体。
よし、ダメージは通っている。
今までの狩りで対峙したのは蝦夷鹿ばかりだったので、知識はあっても経験値が足りていない。
とどめがさせているかどうかはわからないけど、結構なダメージは与えられているだろう。
そう信じて残り1体、に同様の銃雷撃を放とうとした瞬間、銃身が限界を迎えたのか長銃そのものが崩壊した。
崩れ落ちるときに銃の中にある冷却等コントロール目的に仕込んであった魔石であったものが砂のように崩れた。
「どうしよう、これヤバイよね」
やっと戦えると思ったのに武器が耐久を迎え崩壊。2本目の銃はない。
残り1体が今もなお飛翔し、こちらに気が付いてもいるし、思いついた攻撃手段も潰えたし、取れる手段がない。
「アオくん、ここは逃げるべき?」
振り向き同意を求めてみると、物凄くニコニコしているアオくんがそこにいた。
「チーズさんが頑張ったので、僕も少し働きますね」
そう言い、虚空から白銀色の大剣を取り出し、少年は上空へ飛んだ。
そして軽々とプテラを飛び越え停止。そこから向かってくるプテラめがけて上から大剣で貫き、その勢いで地上まで到達した。
一撃だった。
◇
いつの間にかキャンプ場から結構離れていたため、姿隠しの魔法を解除。自分が仕留めた3体についてきちんと息の根を止められているかどうかを確認するために近づいたところ、手負いの獣よろしくバタバタと動き、大きな爪で襲ってくる。
「ここまでダメージが通っていればあとはナイフでいけますよ」
と、アオくんが言うので攻撃を避けつつ近づき、雷のエネルギーで焼けこげた皮膚にナイフを振り下ろす。
首にナイフを突き立てると同時に2体は魔石を残し本体は粉じんと化し、もう1体は素材として残った。因みにアオくんが単独で倒したもう一匹はとっくの昔に粉じん化、魔石等はしっかり回収が終わっている。
「魔法、覚えてしまえば使える回数には限度はあるんですけど威力はレベル由来ではないのでちゃんと強いんですよね~雷魔法、上手でしたよ。完全勝利まであともう一歩でしたね。 惜しい惜しい。次頑張りましょう」
アオくんはちょっと運動したくらいの態度で、大剣を放り投げそのまま収納。
「僕の武器とか魔法とかは、今は特に興味を持たずにいたほうが良いですよ」
この15歳の少年、実はどれだけレベルが高いのか、強いのか、まったくわからないけれども、やたらと強いことだけは間違いない。
「アオくんマジで護衛だわ…」
そう述べるとアオくんはにっこにこと笑ってこんなことを言う。
「護衛もしますけど、僕の育成支援は結構スパルタですよ~」
マジで身に染みた。




