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第295話 ボレイリョウ(14)

 川辺の火山岩はごろごろしていているけれど、結構大きいのでうっかり足を取られなければ大丈夫そう。


「川の温度、鑑定の目測で60℃ですね。ただ、上流のほうを見るともう少し温度低そうなのできっとこのあたりで湧き出ているところがあるのではないかと」

「そのまま入るには熱いな、イオ」

「水魔法、適当には使えるけど適当にすぎないからなあ。我が一族?っていうかオレたち完全に炎よりだよな、特性」

「もしかすると僕のせいかもしれないけど……」

「それは、言わなくていい。そこを言うと今があるのはアオのおかげ、でもあるからな」


「あーまた二人しかわからないこと話してる!」


 そう言いむくれたふりをする天くん。マジむくれだったらめんどくさいからそれはやめて。


「ごめんごめん。ここのお湯は温度が高いから、もうちょっと上流にいこう」

「わかった!」

 

 天くんにアオくんが謝り頭をなでてあげている。

 男子3人のかわいいハイキングの後ろを歩く私とテミス。

 

「おんせん♪おんせん♪きいろいおんせん!なあ、チーズ、鼻がこのにおいに慣れてきたぞ」

「確かに慣れてきたね、はいれる温泉スポットを探さないと」

「そうだそうだ、可及的速やかにってやつだな!」

「どこで覚えたの」

「頭の中のライブラリ」


 そういい頭を指さすジェスチャーをする。頭の中のライブラリとは私の【無限フリースペース】テミス版かな?どうも固有スキルのにおいがする。

 風呂仲間認定されている私がいうのもなんだけど、この人型の魔族は本当に温泉に取りつかれているぐらいの勢いで温泉が好きだと思う。いや、私もすきなんだけど。


「そういえば【ライブラリ】に聞いてみたぞ、硫黄泉。匂いの強いリュウカスイソ?とかいうのを含んだお湯らしいな?」

「その【ライブラリ】ってどんなものなの?」

「ええとな、頭の中で話しかけたら割と何でも答えてくれる。しかも【ステータスボード】をつかった学習もできる。以前会ったときよりも結構いろいろ覚えたんだから!賢くなった私を見よ!」

「そして海を漂流した、と」

「漂流して辿り着いたら偶然チーズにあったとか運命だな!そういうことにしよう!」


 日光がテミスの髪にあたり、キラキラしている。しかしもってテンションが高い。


 固有スキル【ライブラリ】、もしかしなくてもスマートデバイスとタブレットみたいなもの?

 教育プログラムかなんかで、思想誘導とかされなきゃいいけど、軽く心配してはみてみるものの、私が手出しできることは何もない。むしろ私にも欲しい。


「ちょうどいい温度帯のあたり、ここですよ。大体40℃です」


 双子と天くんが気づけばちょっと上流にいってちょうどいい湯加減のところを見つけて手をふってくれる。その言葉にただでも高かったテンションが爆上がりする人がわかりやすくも約1名。


「えっそこか!そこだな!」

「突然服脱いで飛び込むとかほんとにやめてね」

「……なぜわかった」


 もう走りかけていた件の人物が服を脱ぐことを中断し、振り向く。


「あとで教えてあげるから、足湯ぐらいにして足湯」


 ◇

 

「チーズさん大変そうだなあ。もうちょっと上流にいったら温泉宿まではいかなくてもなにかこうどうにか……」

「それこそ土魔法で作るとか?」

「じゃあ、ぼくも温泉宿あったらうれしいから、閃々と閃電、呼ぶ?きっとぼくのお願いなら聞いてつくってくれるとおもうんだけど」

「さすがに10分じゃ建たないとおもうけど……とはおもうけど、前回呼び出したとき天がほめてあげる時間もなくタイムアウトだったからまあ、呼んでもいいかな、ともおもうけど1回10分、ディレイ24時間って何か作れるのかな?」

「わかんないけど、いっかいやってみてもらってもいいんじゃないかなって」

 

 この天くんの思い付きからの思い切りの良さはいったい誰に似たのか。これはやはりあのあにさんなんだろうか。そんなことを考えながら3人そろって靴を脱ぎ、ちょうどいい温水スポットの周りの石に座って足を川もとい温泉につける。


「あったかいね」

「チーズさんたちも足湯しましょう、足湯」

「今行く~!って早いねもう入ってる」

 

「ここに分神の意識漬けたらどうなるかな。温泉卵とか?」

「石灰の殻だから沈む可能性!分神、今卵型とってるけど、本当にバトルだけが蓄積されるのかちょっと疑問かな。師匠って適当ではあるけどこの世界の理の上澄みみたいなところあるだろ?どう考えてもまともに育たないことに理解しかない」

「まったく参考にならないよな、師匠。実際のところ冒険とバトル、経験がの一体何が蓄積が反映されてるのか全部なのか」

 

「おまたせ~」

「滑らないように気をつけてくださいね」

「りょーかいりょーかい」


 チーズさんとテミスも颯爽と靴を脱ぎ、お湯に足をつけ、一息つく。

 

 今僕たちが入っている足湯ゾーンは川べりのちょうどいい温度の温泉のまわりにある、ちょっとすでに黄色がかった湯の華が付着した大きな火山岩で丸く囲ってある場所。明らかに人の手が入っていることから誰かが造ったことは一目瞭然なんだけど、その造られた時期が相当昔なのか、湯の華の付着度合いと川による石の削れ具合が最近じゃなさすぎる。


 それにしても、足はとても暖かいし、外気が涼しくて気持ちがいい。

 ナット以外の国であまり目立つ行動は避けたい、とは思っているけれど、今回はなぜかテミスがいる。どう考えても普通に済むとは思えないなあ。

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