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第279話 ユガミガハラ(14)

「イオ君、本当に今回は父と兄が迷惑をかけた、シラタマ王にもなんとお詫びしてよいか」

「いえ、今回はすべて未遂ですみましたのでお気になさず。現地対応した異世界の君の兄からも問題なかったこと、釘をさしておいたとの報告を受けていますし、実のところ解除不能なマーキングも施して帰ってきたと言う事で、今後同様の事件を起こした場合、かならず抑止されるでしょう」

「お義父様、吉祥の力を一体なにに使われたいのか…。私が邪魔なんでしょうか…なぜこう、私を狙うかはわからないんですよね。ただ、私が国に戻っていないので今国には戻ることができないでしょうね」

「そのことについては言っていましたね、戻れなくなったと」

「私がここにいる理由はそこにもあるのです。国に戻るとお義父様とお義兄様が国に入ってしまう、そうすると今回と同様の事件が起きないとも限りません。それもあり、この国にいま私はいるのです。幸いこの国には今『吉祥』の力が必要そうですしね」


 そう言うウララさんの表情はどこに向いているのかまでは読めない。


「今回の事件を起こしたのが自分の祖父と叔父であることは大黒天には……」

あにさん…いえ、ユウさんからは伝えてはいません。ただ、聡い子です。縁者とは気づいている可能性が高いですね」

「そうですか。また、新たな情報があれば教えていただけるとありがたい。2人はまだ大黒天の存在には気が付いていない可能性が高い、ということですね」

「多分、知らないでしょうね」

「それならよかった。身内の恥じを知られるのはちょっと…いやほんと申し訳ない」


 レイさんはずっとうつむいていて土下座しそうな勢いがある。そして、なんとなくウララさんが制止しているようにも見える。

 という訳で、一時帰国したオレは、ひととおりナットの西の離れの一室、ウララとレイのところに今回の顛末について一連の葬儀も終わり、無事にシラタマ王の影武者も国へ帰還したことからあの2体の竜の親族に報告するに至った。

 

 探査魔法中意識が飛んだチーズさんはその後元気を完全に取り戻したものの、念のため1日休養する、というわけでその時間を使ってオレはナットに一時的に戻っている。 

 ついでに言うと、無事シラタマに戻ったノリさんから通信が入り、 『チーズくんが習得した魔法なんだけど、間違いなく口外しないほうがいい。おそらくは足をその国に踏み入れただけで国の土地全体がマップとして読み込まれる私もあーちゃんも持ちえないスキルだ。異世界の君だから出た特殊スキルだと思うからちゃんと起きたら言っておいて。くれぐれも、よろしく』とか言われたけど確かにな、と思う。あれは隠し部屋とかそういう質のものがあっても全部マッピングしてしまう、ということはオレたちの使う魔法とあわせると無敵もいいところだ、とは思う。


 そこから例の問題があった鶏小屋を見に行くとちゃんとキレイになっていた。と思ったら、同じ鳥類ということで永長えながが定期的もとい毎日面倒を見に来てくれているということで、「人型にはなってないよ~」と動物言語で語り掛けられた。じゃあ、前に受けたオレの試練はいったい、と思わなくもない。いや、思う。ナンダッタンダアレハ。


 そして今から王城に向かう。師匠から先にウララさんへ報告するようにという指示があったためではあるけれど、自分はあとでって考えたことに正直驚いた。師匠、すこし大人になったんじゃないかな。千歳越えてるけど。


 ◇

 

 師匠は基本、随時片付けることはしない。なにかをし始めたら荒すだけ荒らして、気が済んだ時点で魔法を使い一気に収納する。しかもその荒した位置を記憶していて、見返すときはその山からきちんとその必要文献を探し出すあたりがたちが悪い。

 この特性は確実にあの精霊たちにも受け継がれているのは一体なぜなんだ。


 王城の師匠の部屋は当初1部屋だった。現在3部屋を占領、このままいくと誰もいないのをいいことに、城を占領しそうな勢いだ。

 いや、3部屋というのはアップデートできてなかった。これ、王城3階の東側、まるごと占領しているのだろうか…?戻った時点で明らかに悪化もとい占領が進んでいる。


「師匠、ただいま戻りました。なんですかこの惨劇は、使い魔は結局掃除はできても命がなければ片づけができないことを逆手にとったんですかどうなんですか」

「イオおかえり~。ウララへの説明は終わったのだな。で、犯人はなにをしでかしたんだい?」

「またこんなに散らかして!このまま城を占領するつもりですか」

「それはまあいいとして、顛末をおしえてくれ顛末を!」


 なんか師匠がわくわくしてるんだけど、いや、何?


「天の祖父と叔父が犯人、前にレイさんを収納に突っ込んで軟禁していた竜が犯人ですね。動機はウララさんの現在地、シラタマ王家が隠匿していると考えたようです」

「ほう、それで?」

「流石シラタマ王、完全スルーを決め込んでました。探査魔法はオレとアオ、ハギとフジが担当。探索をしているうちにチーズさんが突如気を失い、そのあと立ち上がったと思ったら探査先が鮮明に見えるようになったんですよ。その時点では探査に集中していたのとチーズさんは気を失っていたから理由はわからなかったんですが、全部終わったあと確認した【ステータスボード】に新たなスキル【オートマッピング(精密):レベル100】が増えていたのでこれが原因!と気づいたというわけです」

「うっわなにそれ興味深い!」


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