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第268話 ユガミガハラ(3)

「幸運の魔法、使ってみるね!」


 その言葉と同時に、天くんは眩しいぐらいの笑顔は鳴りを潜め、伏し目がちになり、顔から生気が抜け落ちる。そして脱力したようなポーズをとったと思ったら、足元から白い魔方陣が2メートルぐらいの範囲っで広がる。

 そこから探査魔法に集中する2人の足元に向けて、魔方陣が動き、白く鈍い光を放つ。


「幸運の魔法で見つけやすくなるかも!受け取って!」


 その天くんの言葉に双子は振り返り、ほほ笑んだ。

 そこまでは、良かった。


 魔方陣からあふれ出る白い光。それを見たと同時に、何故か私の記憶が途絶えた。


 ◇


 シラタマ王には最近縁があった。

 でも、なんだか、会えたという縁以外の縁を感じる、母のルーツがシラタマなせいだろうか、親近感を覚える不思議な人だった。


 その人が誰かに、攫われた。

 そもそもあの王が攫われるなんていうことがあるのだろうか。自分たちと同じかその上をいく魔力量。師匠と救国さんズと姉さんはあれは規格外なので、別物としておく。実際見たわけではないけど。


 しかしなんでも自惚れかもしれないけれど、僕とイオに会うために、わざわざ抜けて遊びにきてくれた。それも2度も。


 心配が募る。こちらへのアクションといえば、きっと禁じられているだろうけどそんなのを無視したのかコウコさんからのメールはさっきみただけでも、20通はあった。完全に寝落ちていた分から今に至るまでシラタマ国内での動きを差しさわりのない内容で暗号のように送ってくれている。

 縦読みだったり斜め読みだったり、『た』抜きだったりガチ暗号だったり、まあ、よくもまあ、というバリエーションで。でもこれ気が付く人気が付くと思うんだよコウコさん。

 【ステータスボード】を介した通信の安全性ってどの程度なんだろう?みんな当たり前に使って入るけど、よくわからない。ただ、師匠も救国さんズも肝心なことはこの通信を使わない。ついでにいってシラタマチームも使わないことが判明した。なにか知っているのか、肌感なのかはわからないけれど、それに倣うに越したことはないだろう。


 どう考えても兄さんもノリさんも集中して魔法研究するために僕たちを修業の旅に放り出したとしか思えない。


 その結果『急造』といいつつ、今までの探査魔法の上をいく探査魔法を編んで送ってくる。きっと二つ名どころか頭のレベル、魔力のレベルともにジャンルは違えど同等なんだろう、と思う。

 そういえば文字を送ることは気を付けているようなのに、この魔法式の添付はなぜかぽんぽんとやってくる。そこに理由はあるのかな。今度聞いて見よう。


 今回の探査魔法は二段階、残された情報から探査情報を抽出する。

 そこで作成されたアンプルをたたき割り、それを乗せた新たな探査魔法を走らせる。一応省エネには作ってはあるけど、そこそこの魔力量がないと使う事ができない魔法、だと思う。

 兄さんは『異世界二週目』と言っていて、見たこともない魔法を駆使するし、この世界では見たこともない装飾の武器を使う。それを使える範囲でこの世界の魔法式に組み込み、僕たちにも使わせてくれている。前にその意図を訊いたことがある。


 「使えな、より使えたほうがいいだろ?魔法を解析する勉強にもなるだろうっていってもそもそもの構築方式が違うから魔法を走らせることはできても解析はかなりキツいとはおもう。まあ、俺が編む魔法は気にせずに魔女さんやノリが使う魔法を使った方が良いとは思う。が!何か気づけたら気づけたら大きな学びになるのでぜひ遠慮なく解析していいよ」


 むちゃくちゃあにさんは太っ腹なことをいっているようで、行動が完全に神のソレ。こんな才能の塊みたいな人間が兄になるってどんな気分なんだろう。チーズさんとの関係は良好そうだけど。


 魔力がチャージできたところで弟と早速アンプルづくりをする。どうもあの救国さんズ協力体制が常人じゃ至れないレベルまでいたっているらしく、魔法式に魔力を流すだけでアンプルがあっという間に現れた。

 その間感知できたのは魔力の流れだけ。構造なんて解析する間もなく、作業が終えてしまった。


『イオ、何かわかった?』

『全くムリ』


 双子通信で感想を聞いて見た結果、顔を見合わせるに終わった。


『じゃあ、次、アンプルを割って探索、だね』


 そう声をかけ、魔力を集中し、探査魔法を発動する。探査魔法は見つかるまで、または、中断するまで、継続した魔力を要する。その準備をしていたタイミングでシラタマ王の髪の毛を発見してくれた功労犬ういがチーズさんの膝から飛び降り、僕の足におしりをくっつけ、回復魔法を展開してくれる。

 今回は言葉はないけれど、僕を心配してくれる気持ちは伝わる。


 やる気をおこして、探査魔法を展開する。探査魔法は細かいことを見逃さないよう、きっかけ掴みのために細心の魔力コントロールを要するがために救国の魔法使いでもなければ軽く探査なんてずっとしていない、とおもうぐらいハードだ。

 今回も魔法式はものすごくすっきりしていて何が起こったかわからないレベルの展開を見せる。


 ただし、これからの探査魔法は僕とイオの魔力コントロールだ。気合をいれなくては、と思ったところで、ハギとフジのミニドラゴン大攻勢の準備が始まり、これにはちょっと、度肝を抜かれた。


 そんなことができるなんて、どんな魔法とテクノロジーをもっているんだろう、この精霊様は。

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