第249話 浮世音楽堂(13)
ハウスダストだけがきれいに取り除かれ、ダークマターのような質量が果てしなさそうな物体が現れ、それはさすがに床が抜けそうだったので外に穴を掘って埋めた。
「噂に違わぬ掃除してなさっぷりですね。師匠からの厳命だったんですよ、部屋を掃除してこいって」
「うおーあざやかだな、主の弟子!本の湿気まで除去してるぞ!」
「おいてあるものはそのままとか、わかってるじゃないか!」
「貴方たちも適当においているようで実は法則性があって動かしたらわからなくなるタイプだと思ったので。ご要望があればその先の片づけをしても良いですが?」
「よくおわかりで、このままの状態にしといてくれ。問答無用に整理整頓されていたらキレて追い出していたところだよ」
アオくんはなんだか、圧が強めではあるものの魔女さんが危惧していた精霊との付き合い、なんかうまくいってない?
「しかし主が弟子を取ったとは噂にはきいていたが、シゴデキの黒っぽい双子か!悪くない」
「姉もいますよ?」
「そうかそうか!お前たちが生きてる間に来ることがあれば会ってみたいな!主様何年放置するかわからないからな、自主的に来てくれるなら別の話だが。今度のオイスターの王は幼王だ。お前より幼い…確か年の頃は3つ。この先70年も生きればそれだけ結界がもつというものだしな」
「3歳?!マジですか!3歳だってイオ!」
「……それ明らかに政治的に問題あるやつ……ウッ……」
「お前まだ酔ったまま?いいかげん状態回復魔法かければ?」
「……あっ……」
そして恥ずかしくて真っ赤になった顔を隠しもせず、魔法を発動、とつぜんすっきりした顔つきになった。
「[オイスター]の前王はなかなか子どもできなくてな。確か20歳ぐらいのときに戴冠して50歳過ぎで初めて子どもができて子が3歳になった今頃突然この世を去った、というわけだ。今後は王弟が後見人に立つようだ」
「王が病気だった、と言う話は聞いてはいなかったのだが、この国は政情を秘匿しているから死因までは諸外国には漏れていまい。国葬は3日後、と聞いている」
「政治の情勢はな、知己の王城に棲む精霊が教えてくれるわけだよ。ありがたいことだ」
前王が斃れ結界が薄れてきている、ということで弔問に訪れる人たちに危害が及んだら困る、と言う意味でのアオくんとイオくんの派遣だけど、正直あの『救国の魔法使い』であれば一瞬シラタマから出来て結界張って速攻帰るとかも出来そうではあるのにやらなかったのって目的があるこの2人の育成、考えてくれたのかもしれない。あ
「オイスターの国民は政治はお上が行うもの、自分たちは不利益がない限り気にしないという状況が常態している。今のところ大丈夫だが、国が乱れて内乱とかこの国が戦禍を被ることになれば主様に願い出て拠点を移転または消滅も視野に入るかな」
「そもそも我らは植物の精霊だからな、生活する場所はとくには問わないわけだよ」
そういいケラケラ我っている。これはうっかり会話に混ざる状況ではないので天くんと手を繋いで待っている。
「というわけでお茶でもどうぞ。今回は青茶を用意してみたよ。」
「ありがとうございます」
立ち話もなんだ、ということで今やっとダイニングテーブルに案内されたものの、全体的にまあ、本に埋もれている。そして今聞いた言葉「青茶」ってウーロン茶だ。このあたりにお茶の木があるのかな?もうちょっと仲良くなったら聞けるかな。
植物の精霊なんて、そんな興味深いもの私もすごくワクワクするけど、兄なんて知ったら絶対狂喜乱舞だとおもう。
まあ、今は私が飾り物みたいな状態わけだけど。
「そういえば異世界の君」
「はい!」
「我らの魔法ラボ、気になっているのだな。ここを拠点として暫く活動するのだろう?あとで案内しよう」
「いいんですかっありがとうございます!」
「そしてそこの仔竜、しっかり楽しんで行くといい」
「わかりました!」
そこまで言うと、魔女さんに生き写しの2人が何か相談している気配を感じる。
「よし、決めた。アオ、イオ、君たちの魔法を使うスポットまで案内しよう。速い人ではもうそろそろこの国に弔問に来てしまうだろう。結界がほどけたり近隣で強いモンスターが出て被害が出てしまうと、よりこのオイスターが荒れるからな。善はいそげ、今から行けるか?」
めちゃめちゃ急な申し出だけど、言ってることはもっともだ。
「はい、いけます」
「よろしくお願いします」




