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第215話 密室ノ会・祈(8)

 トンボの捕獲は思いのほか楽だった。まず、連絡網のためにレベルがそんなに高くない私と天くんがパーティーを組む。そこに兄と魔法使いがまたもや経験値を吸わないように、フォローでパーティーサポートに入ってくれる。

 

 そして森に入ったらすぐに1メートルもあるトンボの群れ発見、大きいがために複眼もでかいので、結構怖い見た目。完全に群れとなっていたので、私の銃では戦闘力が低すぎるので貰ったハンマーで消耗戦を覚悟した刹那、テンションのあがった天くんのドラゴンブレス(小)で、そのまま一網打尽とできたのであった。

「何千匹一気に倒したんだこれ……」

 兄も何とも言い難い感想を言い出す。


 意味不明なほど大量の緑色の魔石と、ドロップ【複眼のサングラス】が無数に散らばり、それを回収する。このトンボはレアドロップには該当しないレベルのドロップしかないらしく、いずれも★はついていない。

「複眼のサングラスってモザイクがかかってるけど視野が広い」

 とりあえず4人でかけて爆笑している。

「これ、スキルでカバーできるあたりが何とも言い難い」

「おもちゃだろおもちゃ」

「立体眼鏡の親戚みたいな」

「じゃみじゃみだーー。でも色はキレイだね」


 結論万華鏡の親戚のおもちゃ、ということになり不要と判断、冒険者ギルドに売却するという、というかこんな数買い取ってもらえるかわからないので、責任もってカナトさんに押し付けるということで結論づいた。


 そこからは特段やることもなくなったので、またもや森でバーベキュー大会となった。

 兄がいつの間にか現地食材での代替えを可能としていたがために、まるで日本で食べてるような味わいになっていた。

「最近さ、こっちの食材で調味料も造ってみてるんだけど発酵食品はまだ結果が出てないんだよ。結果出たらお前強制試食担当な。お前の倉庫みたいな自分の加減で調整できる場所、俺にもあればなあ」

「言ってくれたらできるけど、自分で微調整、とか人のものだとできないもんね」

「そうそう、ニュアンスが伝わりづらい。2回目以降だと人に任せるとかできるけど、初回のプロセス作りは自分で調整しないとさすがにな~」

「私のレベルがあがったら部分的な権限移譲とかできたらいいのに。今は無理そうだけど」


「また、きょうだいでお話してます」

「仲いいよねこの兄妹。私には兄弟いないから、なんとなくうらやましい」

「ぼくのきょうだいは、ぼくだけ違うよ。なかま外れじゃないけどね」


 そんな話が聞こえてきて、あ!とは思ったが、兄はこっちと話しながらも肉と野菜をしっかり焼きすすめているので、さすがだ…マルチタスクの鬼だ…とか感心してしまった。


 ◇


 満腹となるまで食べてから、デザートが出てくる。とはいえこれは私が作りおいていたアイスだった。盛りつけは兄。

「この素朴な味がいい」とか言うんだけど、それって褒めているんだろうか、どうなんだろう。

 まだお昼を過ぎたばかりで、時間がいっぱいある。

「よし、じゃあ、食材探しに入るか、森」

「は?!」

「新たな発見とか、似たような食材とかあったりするだろ?探そうぜ!」

「いやそれ、兄さんや私はいいけど、魔法使いさんと天くん、楽しくないでしょう。そもそもの知識が…」

「だいじょうぶだよ?森のマニュアル貰っているから。野草っていうのとキノコっていうのがある。でもキノコは触っちゃだめってユウ兄ちゃんが言ってた」

「天くんは鑑定したものを辞典で調べながら学んでるんです。実地フィールドワークとユウが言ってましたね」


 ニヤニヤしつつ兄が近づいてきて、天くんの頭に手を乗せ、ぐしゃぐしゃと撫でる。

「ほーら、お前の兄は用意周到だぞ?みんなが楽しく、じゃないとな。しかも天はまだギルド加入できる年齢じゃないから、スキル取得制限がない。保護者権限でなんでも覚え放題だから、鑑定、お前より多分レベルが高いよ」

「ええええ?!?!……あ、だからアオくんとイオくんあんなに色んな高ランク魔法使えてるってこと?!」

「そのとおり!いや、俺も結構最近知ったんだけど。あの2人は凍結の魔女権限なんだろうな」

「なるほどね」

 因みにステータスボードのQ&Aを見て見たところ、未成年は教育者のレベルを上限としてレベルや魔法が覚えられる、とのことで、天くんがほぼ無制限となってしまったのは兄と魔法使いさんのせい、ってことなんだろう。

 

 そこから数時間、野草の採取とトンボの残党の排除をしながら、森を突き進む。パーティーを組んでることで位置情報は把握できてるものの、トラブルが起きた時に対処できなかったら困るのでとりあえずまとまって行動する。具体的にいうとトラブルが起きたら焼き払い薙ぎ払う可能性がある天くんをそうさせないがために、大人が上手くカバーする、という算段だ。


「あった!これあたりの草?」

「お、良く見つけたなーなんという名前の草で、何の役に立つか、答えられるか?」

「答えられるよ!ええとね……」


 こんな感じを繰り返していたらあっという間に時間が経ち、午後4時ごろアオくんから通信が入るまで、夢中になって遊んでいた。

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