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第182話 ナット温泉郷(2)

「一応王には温泉をつくることは魔女さんから話が行ってるかとおもうんですけど」

 そういえば、魔女さんが連絡をとっていたのは今しがただったような。

「もしかして、王の食事をとりに来ている最中に連絡されたんですかね…」

「あ、だから岡持ち…」

「これのことですか?王城の倉庫にあって便利だったので使っているのですが、岡持ちっていうんですね」

 まるでそばの出前だよ、とか思ってみていたらマジで出前だったとは。しかし何であるんだろうか。


「そういえば今日の王のスケジュール、どうですか?温泉の建設地について相談させていただきたいのですが」

「王のスケジュールは今、国がこういう状況ですからね。緊急案件もないので、融通はいくらでもききますよ」

「では、今お食事をもって王城へ帰還するシンさんに王への連絡のあたりをつけてもらって、準備できたら呼んでもらおうかな」

「わかりました。では、連絡先教えてもらっていいでしょうか」

「ステータスボードの連絡先の交換でいいですよね?ではこれで」

 そう言って私の連絡先を抽出してメモリ魔石にいれたものを渡す。魔石は基本的に容量と用途がそれぞれ設定されていることがわかってきたのだけれど、これが、色に全くよらない。何色のこの大きさの魔石が何に使える、ではなく『この魔石は何に使える』ということだけで設定されているので、色は好みで選べるUSBメモリみたいに考えておけば大体間違いないんじゃないか、と最近思い出した。

 

「容量の少ない石なので無駄遣いではないので大丈夫ですよ」

 あまりにもシンさんがじっとメモリを見るので追加で言ってしまった。

「いえ、ステータスボードを使いこなされてるなあと」

「もともと私がいた世界で使っていたシステムに近しいので、なんとなく理解は早いですね」

「そうなんですか。アドレス、確かにいただきました。こちらから連絡うちますね」

「…来ました。登録しときますね~」


 この時私はまだ、この人が【ステータスボード】の解析を試みていることを知らなかったので、変わった人だなあぐらいの認識であった。


 ◇


 そろそろいい加減ウララさんのところに天くんたちを連れていかなければならない。永長がウララさんへ話を通しに言ってくれてはいるが、基本、ウララさんは自分からは動かない。自分は出向くものではない、人が自分に会いに来るものだ、と思っている節がある。

 そういえば、天くんのことを「吉祥の王子」と言っていたし、旦那さんのいでたちをみるに、もしや女王だったりするのか?

 

 

「そうじゃよ。今頃気づいたのか?鈍いのう!ただ、今亡命しているようなものじゃから、まあ、わざわざ自分から言う事ではないからな。気にするな」

 ウララさんに何気に聞いて見たら、そのような回答が。要するに今、ナットは王族を匿っている土地、と。ウララさんの部屋を見ると、天くんと同じぐらいの大きさの少年少女。完全にウララさんとレイさんの容姿をそのまま小さくしたような、金髪碧眼の見た目。

「あと、この子達の成長に一躍買ってくれて感謝してる」

「私と兄が引き受けているのはこの『大黒天』くん、だけですが」

「いや、そのな。長男が成長すると連動して成長するような仕組みになっていてな、天が育つとみなが育つ。個性はそれぞれなのだが、体の成長度合いと言語だけは連動する。種の繁栄、家を継ぐための仕組みよな。天が第一王子、というわけじゃな。だからおぬしらに預けて成長させてもらっている。感謝しておるぞ。」


 竜という種族はどうもその強さと畏敬のみで種を維持している感じが否めないなあ。これも何に使うかわからないけれどレポート対象だな。もしかしてあのネルドの『ドラゴンの厄災』の原因となった紅竜にとも何か条件が整えば会話が可能なのかもしれない。


「で、そこにいるのはレインボードラゴンじゃな?人型を取っているとは珍しい」

 突然呼びかけられて後ろに控えていた閃閃と閃電の背筋が伸びる。一応この部屋の天井は3メートルはあるので、頭がぶつかったりはしていない。

「我ら鳥竜種以外は何かしらの要件が揃わないと、人型になることは叶わないものと認知しているが」

「天が閃ちゃんたちのお話を聞いて、ユウ兄ちゃんに貰ったぶどうを食べさせたら、人型になったよ。緑のぶどうと紫のぶどう」

「おーそうか、偉いなあ天は。」

 天くんはウララさんの膝の上に座っていて、頭を撫でられて喜んでいる。息子を修業に連れてけと押し付けた母竜とは思えないぐらい愛おしそうな顔で天くんを見つめている。

 

「我々は主を天様と定めました。お許しをいただけますでしょうか、女王」

「許すも何も、竜種が定めた主は、その主に何があってもかわらんだろ。好きにするといい。そこを言うとこの天の主はチーズの兄だ。」

「存じております。先ほどお会いしました」

「そうだろうなあ、ちょっと前まで天は救国の勇者、魔法使いと共ににいたわけだしな」

「母様知っていたの?」

「ナットに戻って来ていたのも知っていた。かわいい天のことならお見通しだよ」

 そう言われた天くんは満面の笑みを浮かべて母竜に抱き着いた。

 

 レイさん捜索の時とは違って、ウララさんと天くんとは遺伝子が繋がってるからなんとなくわかるのかな?深入りするほどのことでもないので、そういうものと理解しておこう。

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