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第181話 ナット温泉郷(1)

 ナット王城の西の離れまで私の転移魔法で集団移動。私のこの移動はみんなで手を繋いで輪になって移動する。人数が少ない時は手を繋ぐだけで転移してるんだけど、今回みたいに人数が多いときはおきざり防止をしておきたい。

「みんな揃った?じゃあいくよー」

 そう言うと同時に、魔力を足先から頭のてっぺんまで走らせる。そうするとぐんっと上がる浮遊感が来たあとに急降下のGがかかる。フリーフォール系アトラクションと考えてもらうとわかりやすい。


 そしてあっという間に王城の西の離れの中庭に到着。これは本当に、かなり便利。

「母上のところ行かなきゃね」

 と、にこにこしている天くんと手を繋いでいるアオくん。


 そこでまさかの酔い症状を見せる閃閃と閃電。竜なのに、なんで。

「これが酔……気持ち悪い」

「自分でやるにはいいが人に主導権があると…うっ…」

 もしかすると車、自分が運転すると酔わないが人の運転に乗ると酔うというアレか。ホント、竜なのに。


 西の離れでは私たちが戻るなりうるさかったせいか、建物からどんどん職員さんが集まってくる。そして、見たことのない虹色にきらめく巨女にギャラリーが集まる。

 今は収穫期ではないため、今日の農作業は終わっている。


 そこで見知った顔、永長が飛び出してくる。元気そうで何より。

「チーズさん!お久しぶりです!おかわりないですか?」

「元気ですよ~」

 ダンジョンで5メートル落ちたけど。

「天くんもひさしぶりー」

「お久りぶりです、えながさん。この虹竜レインボードラゴンちゃん達に温泉作ってもらいに来たよ!」

 

 そこで崩れ落ちる虹竜の2人。いよいよグロッキーが極まったのか…?

「天様が我々のことを”ちゃん”と」 

「親愛の情を感じますね…うっ」

 口に手を当て感極まっているようで、別の意味で口手を当てているだけみたいだ。そこで、天くんが追い打ちをかけてしまう。

 

「虹竜、せんせんちゃんとせんでんちゃんって言うんだよ。みんな、よろしくね!」

 アオくんがなんかすごい目で完全に泣き崩れる虹竜を見ているきがするけど、気にしないことにする。

 

 そして私はひらめく。研究者ギルドの課題に関する問題だ。

「酔い止め薬研究するのもいいかも…ってこの世界で作るとすると…漢方…?」


 そんなことを考えてるうちに中庭には西の離れのメンバーがほぼ集まっている状態になってしまった。

 

 

「何の騒ぎですか」

 

 声の方を見ると、王城の方からちょっと良さげな服を着た神経質そうな人が歩いてくる。気のせいじゃなければ岡持ちのようなものを手にしていてアンバランスで面白い。

「あれ?イオくん帰ってき……もしかするとアオさんですか?」

「ああ、あなたがイオが一緒に学んでいるという。いつもイオがお世話になってます。兄のアオです」

「お顔はそっくりなのに体格が違うので気が付きましたよ」

 その人はニコッと笑う。

 

 あれ、もしかしてこの人…

「もしかして仙人の方…ですか?」

「仙人?どこからそんな発想が出てくるんですか?!」

 アオくんが私に疑問にあふれた表情を向けてくる。

「だってイオくんが真君しんくんっていうから。しかも断食修業してたんでしょ?!」

「だからどうして断食修業って発想になるんですか?!」

 いつになくアオくんが、呆れてるとも何とも言いづらい、表情を浮かべている。突っ込みが追いつかないっていうようなそういう。いや、ボケてるつもりはないんだけどな。 

 

「あなたは…あなたが異世界の君の、チーズさんですか?」

 真君に質問に質問で返された。名が知られてると言うことは私はそこそこ有名人なのだろうか。

「はい、私がチーズでーす。」

 明るく年甲斐もなくピースサインをしながら挨拶してみたら、と真君と思しき人はボウ·アンド·スクレープですっと挨拶を返してきた。なんたる。


「あなたが命の恩人の。初めまして、今王付きの政務官をしています”シン”と申します。」


「えっ名前『シン』で切るの?!くんは敬称?!なんてこと」

「普通そう考えるでしょう」

「えっ」

 アオくんが突っ込むのもめんどくさいというような顔をしている。それに重ねて、私が驚いてることにシン”くん”が驚く。

 

 勝手に勘違いしてウキウキしたのは私だけど!だって断食してたとか言ってたし。リアル仙人じゃなかった…。これ、断食じゃなくてっ絶食だっただけなのでは…。


「お恥ずかしい。凍結の魔女により異世界から転写された異世界の君、チーズといいます。よろしくお願いします」

 改めてそう言い、握手を求める。


「そして今日はいかなる用事で?新しいメンバーもいるようですが」

「先日ミアカ近郊のミソノ山で新たな【自然発生】ダンジョンが見つかった話は凍結の魔女より聞いてますか?」

「いえ、『ちょっと出かけてくる。国内だから気にするな』と出かけて行ったので、そこまでは」


 魔女さんもイオくんもやっぱり説明してなかったー。


「そこは後程説明します。そのダンジョンを数日前に踏破したのですが、そこの初回踏破特典であそこにいる虹竜の化身の権能の範囲でできることをしてくれると言うので、まず、ミソノ山のあたりに葡萄畑を作ってもらったんですよ。で、その時の願いでアオくんとイオくんが『ナットに温泉を作る』と願ったので、温泉を作りにきました」

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