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第162話 瞬きの窟(1)

 翌朝、ぐっすり睡眠をとった魔女さんにダンジョンは初回踏破した人が命名権を持つと言う事を教わった。

「あと何ステージあるのかのう。1つ目が凶鳥ステージ、2つ目がサンドワームステージ、3つ目が4色のビッグモンスターステージで、4つ目がこの迷宮ステージ」

「ミノタウロスとかいそうですね」

「ミノタウロスとはなんじゃ?」

 あ、そうだ。世界が違うんだった。しかもあれは神話だからそんなに共通した名前を持つ「何か」にはなり得ないものだった。

「ミノタウロスとは私の元居た世界のギリシア神話の牛頭人身、迷宮に幽閉された怪物のことですよ。まあ、ざっくりですが」

 そう言うとアオくんが「牛頭」と言い、イオくんが「人身」とつぶやき、紙を取り出し突然絵を描きだした。この兄弟の絵の腕前については見たことがなかったがどんな感じだろうと眺めていたら、すごく写実的な絵がお出しされた。マジか。絵、上手い。

「こんなかんじでしょうか」

「そうそう、大体こんなかんじ」


 朝食はトーストと卵料理、ハム、牛乳でさくっと終わらせる。パンは復活の西の離れの食堂にあるオーブンで焼いてきたものを時間停止の【無限フリースペース】で保管してきたものだ。


「こんな快適な野宿…キャンプ?初めてしたわ」

 魔女さんとイオくんは本当に感激していて、良かったなあって思う。それと同時にあまり感謝したくない同級生たちの顔が再度浮かぶ。お前たちの押し付けていったキャンプ用品がお役立ちだよ。引っ越しに邪魔だからお前んち広いだろ?これやるよ、とかあげるね、とか。一応名誉のために言っておくがいじめを受けていたわけではない。

 朝食が終わり、火の始末をしつつ、アオくんと一緒に一気に片付け冒険の準備をする。鉄鋼業とか紡績業とかがちゃんとあるか輸入ができればキャンプ用品屋さんをやることも可能か~と思い、頭の端にとどめておくことに。

 

「踏んだら発動するトラップ除けに【低空中歩行】をかけておくから。あとは不用意に壁とかを触らなければそうそうトラップが発動することはないじゃろ」

「もしかしてういが砂漠を歩けたのはその魔法のおかげですか?」

「そうじゃよ~」

「師匠、教えてくださいよ!!師匠のリソースを割くぐらいなら僕たちがやりますよ」

 そう言う所、好感しかない。そして私はその適正があるように全く思えないので、深く黙る。ダメな飼い主でごめんようい、お前の足元の確保は他力本願だ。


「しょうがないのう、チーズはまあ、使えるかわからんがわたしの編んだ魔法式、付与してやろう」

 そう言うと何かふわっとした感覚が体を走り、ステータスボードが起動。

 

 魔法一覧の内、補助魔法の最後に

 New:【低空中歩行】

 という表記が現れた。


「えーーー魔法式の付与ってこういう」

「前にお前の兄もやってただろう。この双子に」

「なんかすごすぎてよくわかんない式ってアオくんが言ってたような」

「魔力と器用さがあれば魔法式自体は走らせることはできるので魔法として使用はできるんじゃが、それを解析して自分のものとして、新たな式を編んだりするのにはそれなりに知識魔力レベルいろいろ必要となるんじゃよ。因みに解析をできてないとさらに別の他人への再付与できない。偶然同じ式を他人が編んだ場合は命名権は初回に帰属するので、自分が考えていた名前じゃない名前がついた時点で察することとなる。」

 

 要するに頑張って魔法開発した!って思ってもがっかりすることがあるってことか。

「偶然同じ名前だったときは?」

「ステータスボードに赤字でNEWの表記がでないのでわかる」

「それは残念ですね…今付与してもらったNEWは白いってことは二番手以降は白いんですね」

「もう出発じゃから、今晩のキャンプの時に「固有スキルから発生する魔法」と「取得スキルから発生する魔法」についての講義をしてやろう」

「よろしくお願いします!」

 

 1人でつなぎを着ているのもちょっとキツかったので、今日はさすがに私も山登りファッションに身を包んでみた。そしてういにもアウトドア用のお洋服を着せた。小さいダックスなので足の長さの都合微妙にあわないことも多いが、試着会でマッチしたら買ってしまうアウトドアお犬ブランドのお洋服だ。靴を履かせるトレーニングもしているし、ゴーグルも嫌がることなくしてくれるので、今日ぐらいから何か危険度が上がっても困るのでギアをフル装備させてみた。

「うい、すごい!ゴーグルしてる!」

「目にゴミがはいらないから快適そうなんだよね。ここ地面が土だし、ういって低空飛行だからね」


「ところでお前たち、【マッピング(適用範囲:ダンジョン)】で得た情報、ステータスボードにはよ共有しておくれ。しかしお前たちにこの式を与えていなかったとは。昨日は動く敵相手だったからいちいちやることが修業として気にしてはいなかったが、迷宮フィールドでさすがに気付いたわ」

「師匠のこの式、自分たちの位置も、モンスターの位置もリアルタイム表示されてるじゃないですか。」

 

 そういわれて一瞬魔女さんが思慮にふける。

「あ、そうだった。お前たちの魔力リソースをくいすぎるから教えてなかっただけかも。今となったら名も取り戻していることだし、大丈夫じゃろ」


 適当だなあ!

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