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第15話 ナットから隣国への出立(2)

 散歩にちょうどいい距離を歩いたあと、【無限フリースペース】に作ったハウスにういをハウスさせる。散歩中排泄も済ませ、ご満悦だ。


 ういはダックスフンドの中でもより小型犬のカニンヘンダックスフンド、毛質はロングヘアード、毛色はマホガニーレッド、体重は3.6キロの雄の3歳だ。

 ブリーダーさん経由で大学時代に私の家に来た、とってもかわいいちゃんなのである。

 本来のういは転写前の世界で楽しいちゃん生活を送っていると思うけれど、こっちのういもしっかり楽しいちゃん生活を送らせてあげなくちゃとおもっている次第である。

 

 ◇

 

 今日の目的地はナット王国がもともと整備、運営していたコテージ付きキャンプ地だ。ナット王国と隣国の中間点にあるそれは、地下資源の輸出の中継点として成り立っていた場所だったということを、アオくんが教えてくれた。

 今となっては資源の中継も必要がないことから公営から民営に経営移譲され、個人、というか家族で経営されている。


 ナットの国境から大体4時間程度、休憩を取りながら進んでいくものの意外と距離がある。


 大体出発から2時間程度経った時点で虫型と蝙蝠型の魔物がポツポツと出没。

 この世界の自然界には魔物以外にも動物や昆虫も生息はしている。ただし、人間が特段許可を得ることなく狩りを許されているのは魔物と狩猟可能と分類されている動物だけであり、これは各国で協定が結ばれているとのこと。

 おおよそこのカテゴリに所属する動物は害獣と言われるようなものらしい。


 狩猟できる動物が決まっている、それは日本にもあったし、どこも同じようなルールが敷かれるんだな。

 そしてもう一つ、思い及ぶ。


「ねえアオくん、いくら健脚とはいえ、歩くには遠くない?!」

「師匠の試練かもしれないんですけど、結構遠いですね。僕もいつもなら歩いていませんよ。きっと今回は徒歩でいくことで道のりと環境を覚えつつ魔物を狩ってほしいとか思っているんでしょうが」

「師匠心ってやつ?」

「でもですね、面倒くさいので、魔物除けの魔石を僕が持っていますので、この辺りで出没する程度の魔物はちょっと強めではないと寄ってこない状態にして向かってます」

「え、そうなんだ」


 慣れ親しんだゲームで唱えた弱い魔物が出なくなる魔法や、ゲーム内で敵を自転車に乗って追いかけまわし弱い者いじめをしたことを思い出す。自転車の方は経験値になったけど。

 

 確かに地理を知ることとレベルアップは急務ではあり、まあまあ歩くのは苦ではないが、基本この距離は私の地元では車がデフォだ。

 

 これはそう、遠足なんだ。そう思い込み歩みを進める。北海道で歩かない距離でも東京に行ったらなんでか問題なく歩くよね、とかしょうもないことを考えながら歩みを進める。

 そして、1時間に1度の休憩をはさみ、目的地であるキャンプ場についた。


 確かにそこは結構広めな、馬車用の駐車場?もあり、コテージが10棟とキャンプ地が併設された公営保養所みたいな場所であった。確かに貿易の中継点につかわれていたんだろうな、という貫禄というか広さがある。


 ここのキャンプ場は前情報どおりきちんと管理人が住んでいて、受付に行ったら若いご夫婦と3人のお子さんが出迎えてくれた。


「旅の宿へようこそ。本日のご宿泊は何名様でしょうか」

 

 なんか聞き覚えのある言葉のならびにテンションがあがる。因みに予約、というものは王侯貴族がお忍びのときのみが行うものらしく、庶民や商人は飛込みが基本であるし、よっぽどの事件がない限り、泊まれないことはないようだ。


 予約に際してスマホもなければ検索もない、でも電話のようなシステムは実はある。けれども完全普及には程遠い高価なものなので、1地区に1つぐらいの富裕層とか地域の寄合所となっている家がもつアイテムとなっているらしい。昭和初期の日本のようだ。


「宿泊2名です」

「ではこちらの宿帳にお名前をお書きください」


 当たり前のように日本語で書いてもなぜか翻訳をされるのかと読めないとか突っ込まれることもなく、書き終わると同時に奥さんがコテージに案内してくれた。

 私とアオくんの顔立ちは全然違うけれど、同じ黒髪なので、姉弟と認識してくれたのかもしれない。

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