ある作者の後遺症
SNSで老後小説でも書こうと思っていた人が脳も身体衰えるって言っていたことで着想を得ました
私が筆を折って何年くらい経っただろうか? 創造を行う脳も肉体の一部であり、肉体同様劣化していく。
初めは動画とか文章とかがあまり楽しめなくなって来たことだ、ある程度パターンが出揃い新鮮味がなくなったのかな? くらいに考えていた。参考資料や流行りに目を通すのも億劫になっていく。
インプットが滞ればアウトプットも滞る理屈だ。元々あまり筆の進む方ではなかったが、思うように書けず初めに言ったように筆を折ることになる。
辞めることを決意した時一抹の解放感があったがすぐになくなり、その後しばらくは喪失感を抱えながら寂しくも変わりない日々を過ごす。
ここからが後遺症との戦い、その始まりだった。筆を折る前から症状はあったが創作物を見るとこれはこういう意図なのかなと考えてノイズになったり、泡の様に浮かんでは消えてゆくアイデアを具現化することはないのだなと苦しくなる。
『亜人種との平等や個性を推す教団が裏で帝国に通じてテロを支援していた陰謀物』、『一人一人が宇宙を持ち、マイ宇宙で思いつく限りの望みが叶う争いのないユートピア』、『シンギュラリティ前夜、開発に成功した国が脅威的な速度で発展すると予想され水面化妨害合戦が行われるSF物』セリフ、キャラクター、固有名詞、ストーリー……。
私が書きたかった物語はどんなものだったのか? もし、この文章を読んでいる作者がいるのなら私の一例だが覚悟なり対策なりして後悔がないようにして欲しい。
◇◇◇
読むんじゃなかった。惹かれるものがあり読み進めた結果だ。多分描いた本人は警告なり親切のつもりだろうが俺には余計なお世話である。
足元には積まれた本が重なり、創作用のフォーマットを開くのも苦痛な今日この頃、俺は顔を上げると暗く影が落とされた道を脳裏に浮かべた。