買い物と好奇心
「そう言えばエスタ氏」
「ん?」
「最近動画配信サイトでお気に入りの可愛い狐っ娘と超美形エルフ男性の川遊び動画があるんでござるが、その動画に人間の男性が混ざっていて、更に顔はモザイクがかかっていて、でもエスタ氏の声と体型がそっくりであり」
……!!
それ俺だ!
「あ、はは」
「ぶっちゃけあの狐の娘とエルフ、エスタ氏のファンタジー背景素材集にもいたでごさるな」
「ははは、ばれたか」
「特徴的過ぎてバレるでござるよ。あれ、凄いCGテクニックでごさるな、尻尾や耳の質感や動きとか、実に素晴らしい!」
「あはは、ありがとう」
「ところで動画の人達はファンタジー風設定なせいか英語でもなく、謎の言語を喋っているので日本語字幕をつけてくださらぬか?」
そ、そういう要望だったか!
「あ、ああ、もう少し時間が取れたら考えておくよ、でもあの狐っ娘、喋る内容を聞くとだいぶんツンなとこあるぞ」
「ツンデレでござったか、それもまた良き」
「デレはなかなか現れないぞ」
「ツンドラでござったか」
どうしようかな、でたらめな字幕つけても多分バレないだろうからそうするかな。
猿助さんと別れて家に帰ってから、あの動画の確認を改めてしてみると、再生数もかなりのもので、収益化が可能になっていた。
貰えるものは貰っておこう。
スケベなのと残酷シーンが無ければ問題ないだろ、多分。
そんな感じで動画サイトで自分が上げたやつで身バレしたけど、コスプレとCGの融合と思ってくれてるみたいで良かった。
これで狐っ娘のコスの人を紹介してくださいとか言われてたら異世界なんで困っていたところだ。
猿助さんと別れ、カラオケからの帰り道、俺は風呂屋に寄った。
家にも当然風呂はあるが、使った後に洗うのが面倒だといういつもの理由により。
風呂屋で温かい湯船に浸かりつつ明日のスケジュールを脳内で確認。
明日からもティッシュを色んな店舗で集めよう。
──しかし、変な人生だな。
必死でティッシュの在庫集めるなんて、独りオイルショックみたいだな。
ところで俺は風呂屋で恐ろしい噂を聞いた。
外国人のバックパッカーあたりがトコジラミを日本にまで連れてきていて駅前のネットカフェで実際にトコジラミ(南京虫)を見つけたとか!
怖い! 虫怖い! 刺されたら絶対痒い!
俺は風呂から上がって、体が乾いたあたりで思わず海神の帳面をカバンから出した。
そして広範囲に害虫除け効果のあるブレスレットを作った。
害虫とは違うだろうけど念の為、ペットショップの近くやホタル見学などをしたい時は外し、魔法のカバンにしまえば良かろう。
通信魔導具のブレスレットと重ね着けになるが構わないだろう。
なんなら腕は右と左があるからな。
風呂屋の後はドラッグストアとコンビニを梯子してティッシュと食べ物、シャインマスカットも買い足しておいた。
翌日の朝。
テレビをつけて適当な番組を垂れ流す。
先日買っておいたブリトーをレンジに入れて温め、食べながら見た。
ブリトー美味しい。もぐもぐ。
せっかく日本にいるし、昼はなんか豪勢で美味しいものを食べにいくかな。
でも日本には美味しい料理を出す店は沢山あるけど一緒に行く彼女も嫁もいないな。
ちと淋しい。
顔を上げて再びテレビ画面を見るとニュースキャスターがもうじき花火大会もあると伝えてきた。
でも一緒に行ってくれる彼女がやっぱりいねぇ〜! という現実が迫ってくる。
食事はともかく祭りは女の子と行きたいな。
せめて友達、ジェラルド並のイケメンなら!
いや、そんなの外国人モデルクラスだな。
この日本じゃ俺はしがないエロ漫画描きのおじさんだから無茶だな。
ちょっとテンションの下がった俺は食事の後は外に出て、粛々と店で売る物を集めた。
早速ジェラルドやミレナのいる異世界が恋しくなってきた。
気を紛らわすために漫画アニメなどに触れて脳にインプット。
普段から何かしら刺激を受けないといい作品は書けないからな。
公園でフリーマーケットをやっていたので寄ってみた。
賑やかだ。
鮮やかなレジャーシートの上に商品を並べた店がいっぱい。
「いらっしゃいませ〜」
「これはお値下げ可能ですか?」
「三個以上お買い上げでしたら可能です」
そんな会話も聞こえてくる。
おもちゃ、雑貨、古着。
いろんな物で溢れてる。
どこぞの奥様がもうお子様がお人形を卒業したのか、ぬいぐるみやリ◯ちゃんのような人形を売っているので足を止めた。
わりと状態も悪くない。
「いらっしませ、娘さんにですか?」
「えっと、はい、じゃあこれとこれを娘に」
せっかくなのでミラのお土産用に買った。
お人形に、お人形を与えるとどうなるだろうか?
純粋な好奇心。




