表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】俺って何故か押入れから異世界へ行き来ができるっぽい!〜 華 〜  作者: 凪


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/111

小さな親切

 川遊びから帰宅中の夕方。

 通り道にある村の道の端っこでへたり込んでたお婆さんを見つけた。


 夏だし、暑い中を歩いていてしんどかったのかも。

 俺はダチョウに似た鳥のルルエの背から降りて声をかけてみた。



「お婆さん、大丈夫ですか?」 

「ああ……すまないねぇ、市場に買い物に行こうとしてる途中で疲れてしまって……」

「老人には市場が遠いんだろう」


 ルルエの背中に乗ったままのジェラルドが言った。

 俺もそうだと思う。


「お婆さん、市場では何を買いたかったんですか?」


 今俺が持ってるものなら譲れるかもしれない。



「食べ物だよ。魚の乾物とか、肉は少し硬くて」

「乾物ではないのですが生の川魚なら持っていますし、お譲りできますよ。

二人ともかまわないだろ? まだ肉もあるし」

「ああ」「いいわよ」


「よかった、生魚を今渡して途中で傷むといけないし、お婆さんの家までこの鳥で送りましょう」

「いいのかい? 迷惑なんじゃ」

「ミレナ、お婆さんを乗せてくれるか? 嫌なら俺が」

「いいわよ、私が乗せるわよ。ショータより私の方が軽いから」


 二人乗りになるからルルエの負担を考えれば軽い人にのせてもらった方がいい。

 ミレナが許してくれて良かった。



「ありがとうねぇ、お若い人達」

「別に俺は若くはないが」


 ジェラルドが言った。

 エルフだもんな。


「二十代くらいに見えるけどねぇ、エルフは凄いわねぇ」


 そんな話をしてからお婆さんをルルエに乗せ、家まで送った。

 お婆さんの家にある桶を出してもらって、その中に魔法の鞄から出した魚を入れた。



「一度に食べられない場合は干すか近所の知り合いにでもあげてください」


 追い込み漁で獲った魚はうなぎを除いて全部あげた。


「まあ、こんなにありがとうね」

「買い物する場所が遠いと大変ですからね、困った時はお互い様です」

「そう言えば親切な貴方達のお名前は?」


「ミレナよ」

「何もしてないが、ジェラルドだ」


 俺は照れ臭くて、


「名乗るほどの者じゃありません」


 などと言ったら、


「なんでショータだけかっこつけてるのよ!」


 ミレナに怒られた。


「ショータさんって言うのかい、ほんとにありがとうねぇ」



 そんな感じで俺達はお婆さんとお別れし、帰宅した。



 ルルエは途中でジェラルドの知り合いに返したけど、乗り物はやっぱ欲しいな。

 馬車とルルエとか?



 夕食は移動疲れがあったのでまた簡単にコンビニのホットドッグとアメリカンドッグを食べた。

 飲み物はアイスティーで。



 そして翌日は開店準備と動画編集をしたりした。


 朝食はまだ疲れが残っていたのでベーコンと目玉焼きとパンと紅茶というシンプルで王道なものだった。


 お昼になってから、そういやまだお土産の焼き鳥を一緒に食べてなかったなと、思い出した。


 なのでランチに焼き鳥とビールを出した。

 魔法の鞄から出した焼き鳥はまだ温かさを保っていたのでそのまま。

 キャベツとキャベツのタレも用意した。

 


「美味い、塩味も甘辛の方も」

「そうだろ! 焼き鳥はシンプルに美味いよな!」

「そうね、今度はこの皮をもっと買ってきて」


「豚バラ多めより鶏皮多めのが良かったか、覚えておくよ」

「この丸いのも美味しいな、コリコリしたのが入ってる」

「軟骨入りのつくねだな」


「そしてこの冷えた酒が美味い」

「夏はやっぱりビールだな、チューハイもいいけど」

「ねぇ、チューハイって?」

「フルーツ味のチューハイ、飲んでみるか? 四種あるから好きなの一本選んでいいぞ」


 カシスオレンジ、白ぶどう、甘夏、桃の缶チューハイを魔法の鞄から取り出した。



「んー、どれが一番美味しいの?」


 ミレナはどれにしようか決めかねてるようだ。


「好みは人ソレゾレだと思うし、どれも美味しいと俺は思うぞ」

「じゃあショータの好みで言えば?」

「女子みたいだとよく言われるがカシスオレンジとか」

「じゃあそれにする」


 俺はカシスオレンジをミレナに渡した。


「ジェラルドはどうする?」

「その白いぶどうの絵の……」

「白ぶどうな、はい」

「ありがとう」


「飲みやすい、美味しいけどジュースみたいね」

「こっちもいけるが酒っぽくはないな」

「アルコール度数は高くないからな。

 酒があんまり強くない人でも飲みやすくしてるのかもな、知らんけど」


 そんな感じで、ゆるいランチタイムを終了した。


 ふいに伝書鳩が飛んできた。

 手紙は俺宛で、なんと伯爵様からだった。


 花粉対策の魔道具開発の為にいつか都合の良い日に依頼する錬金術師に直接会って、花粉の説明をしてほしいとの依頼だ。


 簡単に言うと錬金術師が具体的な術式を組むために花粉という存在の解像度を上げたいとのことだ。そうでないと術が正しく作動しない可能性があるから。


 俺は花粉の拡大図のプリントアウトの紙と顕微鏡を用意するからまた次の満月、仕入れの後まで待ってほしいと返事を出した。


 返事は了解とのこと。

 とりあえず今は俺の使いかけのアレルギーの薬が効いてるらしい。

 そいつはよかった。

 次はアレルギーの薬も仕入れておこう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 確かにジェラルド様は若くないww クールな突っ込みがツボです(о´∀`о) あ~凪様の作品を読むと食欲とアルコール欲が(泣) もうすぐ辺境発売ですね!楽しみです!
[気になる点] ベーコンと目玉焼きって別々なのかな?爺やはベーコンをよく炒めてからその上から卵をいれて一緒に焼くベーコンエッグです。以前バイトしていた喫茶店の名物料理で大きなさらにベーコンエッグとバタ…
[一言] 鼻水がメインなら点鼻薬も・・・慣れてない人に勧めるものじゃないかw しかし、乗り物か・・・車輪が小さすぎるから電動キックボードは無理でも規制緩和で派生出てた電動バイクなら時速30程度までし…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ