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【完結】俺って何故か押入れから異世界へ行き来ができるっぽい!〜 華 〜  作者: 凪


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謁見

後半少しカナタ視点です。

 

 俺は部分的に金糸の刺繍が入った古代ローマのトーガに似た白い衣装を着てカロリーン様や伯爵様とパーティーに参加することとなった。


 ちなみに安全の為にしばらくここに泊まらざるを得なくなってる。

 貴族の館は無駄に緊張する。


 もう部屋に籠もって動画編集でもしようかな。

 でもそれだと電池が少し心配だけど、伯爵邸にはソーラーパネルや発電機はないから。

 それかいっそ電気のいらない紙の本でも読むか?


 そう考えて、俺は部屋付きの執事さんに訊いてみた。



「本のある部屋はありますか、部屋で借りて読んでもいいやつを希望なんですが」

「はい、図書室へご案内します」



 俺は図書室で静かに勉強タイムに突入した。

 えーと、聖者と聖女関連のやつと魔法の本を勉強がてら読もう。



 しばし読書などして時間を潰すが、俺達はたまに王族への挨拶の仕方もカロリーン様に教えてもらったりもした。


 お茶菓子にカロリー控えめのスイーツなども出した。

 ハイカロリーで太ってドレスのサイズが変わるといけないからな。

 太りにくい素材のようなのになかなか美味しいと好評だった。



 * * *


 しばらくしてパーティの日がやってきた。

 俺達はまた転移スクロールで王都に来た。


 ちなみにラッキーは何故か俺の浄化の指輪の石の中に霊体として入れるらしく、コンパクトな形式で入ってしまっている。

 呼べば出てくるので便利だし、その説明は帳面の表紙に浮き出て判明した。

 マジで便利。



 王城の門の前では貴族達の馬車がそこを通過するためにずらりと並んでいる。

 門の奥に見えるのはでかくて豪華な城。



「すげぇ華麗だなぁ」


 あ、聖者っぽい喋り方をすべきかな。


「聖者殿、じき城に入りますぞ」

「はい」


 俺と伯爵様に返事をして、スーハーと呼吸を整える。


 王様と謁見とか普通に緊張する。

 ちなみにミラはお包みに入れて俺が自分で抱いている。

 ミラが他人に預けられるのを嫌がったからだ。


 遠目からはまるで赤子を抱く聖母マリアのようだが、実際の所は胡散臭いドールおじさんである。


 もうどうにでもなれ!!

 俺はドールを抱っこして王様と謁見する史上初の聖者(笑)になる!



「あの、聖者様、その人形は?」


 馬車を通す際の検問的な事をしている門番にも突っ込まれた。



「私の護衛ですが何か?」 


 怪訝そうに突っ込まれても押し通る!


「人形が護衛を?」

「この人形は動くので」 

「動くんですか! それは怖…いえ、凄いですね」


 今、この人、怖いって言おうとしたな?

 まあ、気持ちは分からなくもないが悪霊憑きとかではないから安心してほしい。


 なんだかんだでついに王城に入った。


「ラール伯爵、及び伯爵令嬢ご入場です!」

「聖者様、ご入場です!」

 

 ざわめく華やかなパーティ会場内。

 漫画やアニメや映画で見たような景色。

 貴族達が一斉にこちらを向いた。

 こっち見んな。 恥ずかしいから。


 パーティ会場の門番みたいな人は客が入場する度声を張り上げるシステムらしいな。

 照れる。


 俺達はついに玉座に座る王様の前に来た。

 隣には王妃がいて、近くには王太子と王女もいるようで、美男美女が多い国だと思った。


「偉大なる国王陛下にご挨拶申し上げます」


 聖者でも平民だし頭を下げ、伯爵家で事前に習った挨拶をした。


「よくぞ参られた、歓迎しよう、我が国の聖者よ」


 威厳のある声が会場内に響いた。



 * * *


 〜カナタ視点〜「その頃の雑貨屋」


「今頃翔太は王都かなあ」

「そうね、貴族令嬢達もこぞってパーティーに出てるから、今回は店にもメイドとか使用人が主人の使いで買い物に来ているし」


「あのお、すみません、うちのお嬢様に頼まれて来たのですが、レースの下着と言うのはどこにあるのでしょう?」


 メイドさんがモジモジした感じでカウンターに来た。


「こちらのカタログをご覧ください、お決まりでしたら奥から出します」

 

 下着はミレナさんが対応してくれるから助かる。


 そして驚くべきことに、今回はフェリちゃんがようやく起きて話すし、動くようになっている。

 お客様がお買い上げになった商品を紙袋に入れたりする作業を手伝ってくれてる。

 

 ジェラルドさんが「お前がいじはって寝てる間にお前の主人は結婚をすることになってるぞ、結婚式にもそうやって狸寝入りしているつもりか? そろそろ起きた方がいいのではないか?」

 と、諭したからだった。


 そして、僕も接客対応中、とあるミニタペストリーを見ていた富裕層のお嬢様っぽいお客に声をかけられた。

 貴族というより、金持ち系。


「これ、とてもかわいらしいですね、キラキラしてるのは宝石なんですか?」

「いいえ、それは宝石ではなくビーズを使った刺繍で、可愛いお姫様を表現した作品です」

「素敵ね」

「作家の一点ものなので贈り物にもいいと思いますよ」

「妹への誕生日プレゼントにします」

「ありがとうございます」


「今日はエルフさんも雑貨屋にいるんですね、いつもはカフェの方だと伺ってましたけど」

「今回はカフェは休みなので、それと私はもうすぐ冒険に旅立つので、ここを辞める予定です」

「ええ〜お嬢様がガッカリされそうです」


「申し訳ありません、友人が危険な旅に出るらしいので」

「その危険な旅に同行されるんですか? ご友人を心配されて……お優しいのですね」

「それほどでもありません。人は短命なので、瞬きするような僅かな時間に付き合うだけですよ、こちらからすれば」

「でも危険な旅なんでしょう?」

「それでも戦力が揃えば多少危険度は減りますので」



 ジェラルドさんは本当に旅に出るようだった。

 寂しくなるなあ。

 雑貨屋はミレナさんの妹さんが応援に来てくれるらしいけど。


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― 新着の感想 ―
[一言] そういえば某OOOで常に人形を持っていたマッドなラスボスがいましたね~w 同じ人形を抱えていても某魔法先生の少女型ヴァンパイアとオッサンとでは絵面が違いすぎて悲しみが・・・ ソシャゲと仕…
[一言] 華僑ですかな。王様との謁見、その後、聖者としてのお仕事になり、商売はカナタさんが受け持つ感じですかね。聖者のお仕事には「りっしんべん」のせい者もあるしね(笑)
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