▼【第十六話】 閑話、火曜日の女子会。
「で、なんで部屋に入れちゃうかなぁ……」
遥のアンニュイな笑みを見つつ、ため息交じりに私はそう言った。
「でも何もされなかったよ」
遥は少し表情を変え、拗ねているようにそう言った。
遥のその表情は、まるで何かされたかったかのようにも見えなくはない。
「いやいや、ストーカー候補に自分の部屋を教えちゃうとか自殺行為でしょう?」
私なら、田沼には絶対教えないけどね。
いや、あいつも私には興味なさそうだけど。
「付き合っちゃえばストーカーにはならないよね?」
笑みを浮かべて遥はそう言った。
こいつまじか? ここまで壊れてたっけ?
「それ本気なの? いや、まあ、遥が本気なら私は止めないけど……」
「どうだろ? なんか色々無茶苦茶なこと言われて、私も怒ってたのかも? だから少しからかいたくなっちゃったのかな?」
そう言って遥は何か思い出すように笑みを浮かべている。
昨日、何かあったんだろうか。まあ、ないわけないけど。田沼のあの気合の入れようだものね。それが成功しちゃっととか?
んあー、予想外のことが起きすぎ。
あぁぁぁぁぁあぁぁぁああぁぁぁぁ、やっぱり田沼と遥を会わせるのは早計だったか!!
ただ、はんぺんさんの中の人が恐らく田沼なのよね。
多分、もう流石に間違いない。
それを確かめたいのもあって会わせてみたんだったけど、大失敗だったか?
まさか遥が田沼に興味を持つとは思わなかった。
「えぇ…… どうなっても知らないよ」
「もう田沼さん、自分の気持ちを抑えれる自信ないんだってさ」
それを嬉しそうになんで私に報告するんだ?
本当は遥も興味あるのかな? そうだよね、そうじゃないと一人暮らしの部屋に男を連れ込まないよね? いやでも、今の遥なら普通に貞操観念狂ってるし、やりかねないからなぁ。
けど、なんで田沼が昨日躍起になってたのか少しわかった。
「あー、だから昨日のうちに振ってもらいたかったのか」
まあ、本人は振られるつもりだったぽいけど。まあ、なんていうか真面目よね。
だからこそ、暴走した時怖いんだと思うんだけど、遥はそのことわかっているのかな。
「そうみたいね、話してわかったけど、変な人ね、真面目だけど」
そうなのよね、どこかずれてるっていうか、サイコパス、ではないんだけど、常人とはなんかずれているというか。
「その評価は、まあ、私も同じかなぁ…… だから怖いのよ? ああいう人は」
「まあ、私的には昨日襲われても別に良かったんだけどね」
うわー、こいつまじか。田沼ともやれるのか。
私には無理だ。百万貰っても無理だ。
ほんと、遥の貞操観念壊されてんな。やっぱり無理でしょう、田沼じゃ遥の相手はできないよ。
「またそういう……」
「だって、黒ずみ取ってあげてた時は、おっきくしてたのよ?」
遥のその言葉に私の方が顔を赤くする。
「あー、想像したくない、田沼さんのそういうところ想像したくないから、マジでヤメテ」
なんてこと言うんだ、こいつ。
うえー、想像しちゃったよ。やだな、もう……
「でも、洗面所で洗ったあと、顔を輝かせて、落ちました! って報告してそのまま急いで帰っちゃうんだもの、なんか負けた気分。まだ乳液も用意してたのに」
洗面所でなんか見ちゃいけないものでも見ちゃったんじゃない? 大人なオモチャとかそんなの。
それで慌てて逃げかえった、とか? うわぁ、ありそー。
遥は遥で抜けてるからな、何かをしまい忘れててそれを見られた可能性はありそうだよなぁ。
「えぇ…… なにそれ…… わけわかんないじゃん。精神年齢が小学生くらいで止まってんじゃない?」
まだ中学生のほうが、がっついてそうだよね。
一人暮らしの女の部屋に誘われて鼻の黒ずみだけ取ってもらって喜んで帰るって、変過ぎない?
「ああ、そうなのかもね。だから、まじめで純粋で変な人なのか。少し納得した」
遥は私の冗談を真に受けているようだけど、田沼、私達より一回りも上なのよ。わかってんのかしらね?
「で、その前に一体何話してたのよ」
「気になるの?」
そう言って遥は、いやらしい笑顔を作って私を見てくる。
「ここまで話されたら、そりゃね?」
「それもそうか。でも私だけの話じゃないからなぁ」
相変わらず自分以外のことに対する判断基準がまともだ。
いや、それだけ遥も壊れてるってことなのかな?
「そりゃ無理にとは言わないけど」
私がそう言うと遥は少し残念そうな表情をする。もしかして話したかったのかな?
「とにかくすべてをくれて、おばあちゃんの私でも良いんだって」
その証拠に遥は訳の分からないことを楽しそうに伝えてきた。
「わけわからないじゃん」
うん、わけわからん。
「だよね。わけわからなくてさ。私もなに言ってるの? って感じだよね、ふふっ。私が別の人と付き合ってたら、自分は貯金を貯めて、あー、これは多分だけど、死別したらなのかな? そしたらその貯金とか土地を私にくれるんだってさ。年齢的にたぶん田沼さんのほうが先に死んじゃうのにね」
「え? キモっ……」
素直にきもいんだけど。
「私はちょっとだけ嬉しかったよ」
「おばあちゃんがってところ?」
おばあちゃんになってもいいか。まあ、面と向かって言われたら私も少し嬉しいかもしれない。けど、田沼に言われたら、やっぱりキモイわ。
「そう、その頃には私の魅力なんて何もないのにね、何考えてるんだろう?」
そう言って遥は不思議そうな顔をした。
「それがわからないから、怖いのよ?」
「確かにねー、やっぱり私のこと全部知られたら刺されちゃうかな?」
「独占欲強そうだし刺されちゃうんじゃないの?」
「ああ、たしかにそれは強そうね。まあ、刺されたら刺されたでいいよ。それはきっと罰なんだよ」
遥はあっけらかんとそう言った。
あれ、遥って破滅願望とかもってたっけ? 今はメンヘラではないと思ってたけど、ヘラっているよね、これは。
「お願いだからやめてよ、親友も同僚、いや、上司か、一応。それを同時に失うのはきつすぎるって」
「まあ、そうならないように努力はするよ、ああ、あと日曜日にデートもするよ」
「え? デートまで? 意外と…… それも遥から誘ったの?」
振られるつもりでいた田沼がデートに誘うわけはないか。そもそもそんな甲斐性もないだろうし。
「うん、私と一緒にいて私に恥をかかせない服を買いに行くんだってさ」
遥は少し楽しそうにそう言った。
本気なのか、からかっているだけなのか、まるで判断がつかない。
けど、服を買いに行くか。
デートをするためにデートで服を買いに行く?
いや、まあ、ありなんじゃない? だって田沼、間違いなく、いつもの飾り気なしの真っ黒ダウンで来るぞ。
「あー、うん、まあ、それは案外いい選択なんじゃない? あっ、遥どこ連れて行く気?」
「どうしようかな? 私、男物のことよく知らないのよね。そもそも今の私の趣味も合わせてるだけだし」
合わせてるってな、それで今はフリーですって言えちゃうおまえが私は怖いよ、ほんと。
いや、フリーはフリーなんだけど、フリーすぎるんだよな。
「ああもう、田沼のことだから下手なブランドでも指定したら全身それで固めて破産することになるわよ、ウニクロにしなさい、ウニクロに」
「えぇ、そこで良いの?」
「とりあえず最初はそこでいいでしょう?」
はぁ、この先が思いやられる……
いや、私もちょっとどうなるのか気になり始めて入るけど。
万が一、いや、千が一、百が一……
十が一、誤字脱字があればご指摘ください。
指摘して頂ければ幸いです。
少なくとも私は大変助かります。
普段書いているのはこっち。
ただし、こっちは地獄の文字数と無駄な設定語りが待ってます。
しかも、山場どころか起承転結もない、お話が淡々と続くお話です。
またかなりスロースターとなお話でもあるので気長に、時間がある時にでも読んでやってください。
ちゅ、忠告はしたからな!
(でも、読んで読んで読んで読んで読んで読んで読んで読んで!! ついでに気に入ったら評価もブクマもして!!感想もついでに書いてけよ!!)
こっち
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「学院の魔女の日常的非日常」
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