お姉さんは、お腹が空いたので、鮎の天ぷらを作ってもらうことにしました。
これは皆さんにとっては未来のこととなる話です。田舎とも都会とも言えないようなところにお兄さんとお姉さんが住んでいるのでした。
お姉さんは山へ洗濯に、お兄さんは川へ鮎を狩りに出かけることにしました。
お姉さんが洗濯機の前で、ぐるぐると回る洗濯物を眺めて、お兄さんのあられもない姿を妄想しつつ待っていると、何やら奇妙な音がかすかに、しかしはっきりと聞こえます。
テンッ、ぷー、ラコっ、テンッ、ぷー、ラコっ
それ以外表現しようがないような奇妙な音なのです。
何事かと耳をすませば、目の前の洗濯機の下からでした。
奇妙に思ったお姉さんは、音の発生源を確認すると、iphone64で、お兄さんに釣られている鮎に電話をかけるのでした。
「今日の晩は天ぷらにしてくれ。」
聞いた鮎は、見え見えの針に食らいつき、お兄さんに吊り上げさせて言いました。
「天ぷら粉を用意するのだ。天ぷら油を熱するのだ。私は生きたままにして天ぷらとなり、お主に踊り食わせるのだ。」
すると、お兄さんはすぐさまその鮎を丸呑みにして、お姉さんに伝書鳩を飛ばすのです。その文面は、「要天ぷら粉、不要天ぷら油」でした。
家に帰ったお姉さんは、伝書鳩でお兄さんの連絡を確認して、
「なるほど、鮎狩は首尾よくいったようだな。運が良かった。」
と独り言って亀の頭で占いを始めるのでした。
占いも佳境に差し掛かった頃、気配を感じて後ろを振り向くと、そこにはお兄さんがいたのでした。
「鮎、狩ってきました」
お兄さんが言うと、
「なるほど、鮎の天ぷらか、美味いな。天ぷら粉は手に入れたぞ。」
そうお姉さんは言って、洗濯機の下から取ってきた埃を差し出しました。
訝しんだお兄さんがよく見てみると、それはとても小さなたくさんの鼓であり、横が少しへこんでいました。心なしか少しオナラの匂いもします。
意味の分からなかったお兄さんが、どういうことかお姉さんに尋ねようと、顔を上げかけた時、お姉さんはそれを持っている手を震えさせました。
すると、テンッぷーラコっ、と音が聞こえてきました。
お兄さんは、これは確かにてんぷら粉であると納得したので、それらで衣を創り、飲みこみ、胎の中の生きた鮎に着せました。
お姉さんは美味しい天ぷらが待ちきれません。
お姉さんは、お兄さんの胎に熱い天ぷら油を流し、鮎の天ぷらを作り美味しく食べました。めでたしめでたし。




