86.居眠りしないでお喋り移動
約束の日コソコソと馬車に乗って移動。
目指すはオークションの街!どうやらダンジョンはないらしいので、やる事と言えばサングラス買うくらいかな。
そんな事を考えつつ流れる外の景色を眺めていたら、何か考えてるココ。
「なんかあったの?オークションの街で出品する装備の事考えてるの?」
「ええ、勿論それも考えてはいるんですけど、S.S.さんはずっと鞭のままですけど、これからも鞭でいきますか?」
「ああ~言ってなかったか<万力鎖>って言うのにするために<投げる>鍛えてるんだよね」
「そうでしたか、じゃあ別にいいかな……?」
「え?なにが?」
「いえ、今まで服を作る事ばかり考えていたので気がつかなかったんですけど、どうやら革って鞭作れるらしいんですよ」
「え?そうだったんだ?なんかこう……武器作る専用スキルみたいなの必要じゃないんだ?」
「鍛冶は剣も鎧も作れますし、リンちゃんも杖から弓まで作れますよ。ただ弦になる糸を僕に頼んできた縁で知り合いましたけど」
チラッとモコの方を見ると、
「<鍛冶>も育ててるけど<料理>を疎かにしたくないから、剣鉈は気長に待ってね」
それはそうか。モコは元々料理やりたくて、何ならマイ包丁を作ろうって鍛冶はじめたんだもんな。
「そっか~、まあ<万力鎖>は今一ピンと来なかったし、鞭作って貰おうかな……やっぱり何だかんだ使い勝手いいんだよな」
「でも、それだと<投げる>が無駄になっちゃいませんか?」
「そんな事無いよ。何しろ自分は攻撃力低いから何でもいいから手札が多い方が助かるし」
「そうですか!じゃあ、この前御土産に貰った蜘蛛の糸を使って作ってみたい物があったので、出来たら渡しますね!」
「おお!なんか凄そう!ところで3人は自分がいない間、ずっと生産?」
「ええ、ずっと生産です。生産プレイヤーですから基本通りですよ。ローブ作って売ってました」
「私もね~料理ばっかりだったね。偶に鍛冶もやったけど、商人のお姉さんと知り合えたおかげで販売の方が凄く楽になったからさ~」
「わ、わたしもずっとNPCの店に売ってたので、お姉さんと知り合えて助かりました!」
なるほどな~生産職は作っても売る方が大変なのか、そうなると作る専門でやりたい人は商人と組むメリットがあるんだな~。
生産と卸し小売で棲み分けしてるのか、自分が素材を拾ってきて生産の人たちが作って商人が売ると……。
やっぱりゲームも社会も同じだな~。
自分が感慨に耽っていると、いつの間にか3人がオークションの街で出品する物の相談をしていた。
「リンちゃんが木工出来るって言うのがやはり大きいですよ。魔弓か杖なら軽装と相性がいいですし、僕の作る布や皮の防具とセットで出品できると思うんです」
「でもそうなると、ココちゃんの鍛冶が生きないんじゃないですか?」
「オークションの街はバザーとは別に広場で屋台を貸してもらえるらしいから、私はそっちで料理を売るつもり~」
なんかもう、オークションの街を楽しむプランは出来上がってるみたいだ。
逆にダンジョンも何も無い街で自分は何をしようかな?
「ああそうだ!S.S.さんには言っておかないと!」
「え?何を?」
「オークションの街は裏オークションと言ってややアウトローな地域もあるので、絶対に騙されないように、何ならそっちに行っちゃ駄目ですよ!」
「ああ~治安の悪い地域があるのか~。分かったそっちには行かないようにするよ。遺跡はないんでしょ?」
「街中に遺跡は無いと思いますよ」
「いや、霧の町にはあったけど……」
「プレイヤーの入らない地域の事はちょっと分からないですけど、全く聞いた事がないって事はないんじゃないですか?」
「そっか、それならのんびり観光かな今回は」
「そうですね。それがいいと思いますよ。それよりS.S.さんは不思議な素材を沢山手に入れてきて、大冒険だったんじゃないですか?」
「ん~普通かな。森の中歩いたりダンジョンに籠ったり……ああ、でも知り合いは二人増えたよ。徐晃さんとバルムンク君。二人共強くてさ~戦闘専門プレイヤーってあんなに強いんだね~」
「……その二人って上級パーティじゃないですか?いや、まさかあんな初級と入門の間にいる訳ないか……似た名前の人ですね」
「なんか二人共上級パーティだって言ってた」
「なんで、あんな初級ゾーンに有名人がいるんですか!そりゃ強いですよ!上級ですもん!」
「まあなんか装備の実験とか、ちょっと考え事とかみたいだから、そういう事もあるんじゃない?」
「はぁ、まあそうかもしれないですけど、相変わらず引きがいいと言うかなんと言うか、上級ゾーンで戦えるパーティなんて早々いないから、誰もが知り合いになって少しでも情報なり戦い方なり教わりたいって話なのに」
「なんか徐晃さんって面倒見がいいって評判らしいもんね。自分は徐晃さんが食べてた幕の内弁当と味噌汁が気になったな~街によって色んな食材が手に入るって言ってたから楽しみにしてるんだよね」
「気になるのそこなんですか……まあ、次は何しろオークションの街。生産プレイヤーが自慢の一品を持って集まってきますので、屋台で買えるかもしれないですよ」
「なるほど!それは楽しみだ!自分は屋台巡りしよう!」




