72.樵さん強すぎじゃない?
カマキリを倒した後、いつの間にか奥に続く道があったので、二人で進む。
さっきまで草の植え込みが合って、通れなかったと思うんだけどな~。
ダンジョンだからか?
そして、早々に現れる木。
根っこがうねうね動いて、あからさまに移動してる。
「あれ狙いで樵さんは来てたんですかね。それであれば、斧も近いかもしれないですね」
「それにしてもちょっと大きめだよね。いけるかな?」
「火でいきましょうか。自分達の武器は軽めだから、中々きつそうですけど」
「ああ、木は草みたいに斬るだけじゃ駄目なのか~」
取り合えず、二人の武器に火のエフェクトを灯して、
まずは投石。木は何食べるか分からないので、毒餌は無し!
遠距離から二人で、ボコスカ当てて行く。木の動きは遅いので、近づいてくるまで当てられるだけ当てる。
そして『ハードヒット』では動きが止まらない、『バインドウイップ』でも止まらない。『ネックハング』でも止まらない。
そして、唐突に地面から生えてきた木の根で、ダメージを受けた。
更に木の葉が舞い、自分に狙いを定めたように飛んでくる。
「いでででで・・・どうしよう」
「一旦自分が斬りかかります!」
と果敢に剣で斬りかかるバルムンク君に続いて、自分も鞭で叩きまくる。
もう、死ぬ前に倒せの勢いで、木の葉っぱと自分達の殴り合い。
何とか、倒せたけど、強すぎじゃない?いや強すぎじゃない?二回同じ事思っちゃった。
「ねぇ、強すぎじゃない?二人がかりでアレだよ?」
「う~ん、多分HPに優れた相手って事だと思うんですよね。粘られた割に自分達のHPはそこまで削られて無いじゃないですか」
「ああ、確かに!これならすぐ回復できるから待ってて!」
「ええ、回復しながら計画を立てましょう。相手はタンクタイプですから、アタッカーと組まれると面倒ですね。うまく後ろに回り込めれば・・・」
「タンク?あの木は何貯めてるの?」
「いや、戦車の方ですね」
「砲は付いてなかったけど?」
「え?いや・・・HPや防御力が高くて相手の注意を引く事でダメージを引き受ける役です。ゲーム用語ですね」
「ああ、バルムンク君はゲーム詳しいな~。でもダメージを引き受けるって損じゃない?いじめ?」
「いや、そんな事は無いです。そこは誇りを持って、スキルやテクニックでダメージ量を減らしてます」
「つまり、防御力が高いから攻撃を引き受けて、仲間全体のダメージ量を軽減する役割?」
「そうです!その間に集中して攻撃役が攻撃したりします」
「なるほどね~つまりあの木は誇り高い木なのか~」
「う~ん、生まれ持った能力だけに見えますけどね」
「じゃあ、駄目な木か~」
「生まれ持った能力とは言え、木に前衛に立たれて・・・前衛って言うのは」
「前に立ってる人でしょ?弓とかが後衛。自分達は前衛だけどタンクじゃない」
「大丈夫そうですね。木が攻撃を受けてる間に、木の後ろから攻撃力が高いダメージディーラー・・・相手に大量のダメージを与えられる役割ですね。アタッカーとも言いますけど。木の後ろから強い術使う相手とかが攻撃してくると厄介ですねって事です」
「それは・・・厄介だよ!木が邪魔だけど、邪魔するのが木の役割な訳だ。それが森の魔物の生存戦略」
「そう言う事ですね。何とか木の後ろに回ってアタッカーを直接攻撃する方法を考えないと」
「『スライサー』で後ろに回りこめるけど」
「それは一つですね。後は自分の飛ぶ斬撃、S.S.さんの投石の様な遠距離攻撃。しかしダメージ量は二人ともぱっとしないので、敵後衛を狩るのに時間がかかって、相当のダメージを受ける可能性は高いですね」
「ところでさ、樵さんはどうやって、このゾーンで木の魔物を狩ってたのさ」
「多分、木に対して樵さんの斧が効果が高いんじゃないですか?さらに後衛を狩る様に弓使いの狩人さんか何かと組んだとか」
「弓か。クロスボウは見たことあるけど、弓も強いんだろうな。そりゃそうか昔は弓で戦争してたわけだし」
「弓は強いですよ。形やサイズによって連射が得意なものや遠くから撃つのが得意なものなんていろいろ分かれてますけど、遠い間合いから攻撃できる分一発は両手武器の割りには軽く設定されてます。それでも物理弓も魔弓も強いって聞いてます」
「物理弓?魔弓?」
「物理弓はそのまんま物理攻撃力が高い弓です。金属とかで出来てる筈です。合成弓って呼ばれる魔物素材で出来てる物もありますね。魔弓は木で出来ていて術ありきで使う弓ですね。『アローレイン』を代表とする範囲攻撃や術を含む弓技を得意としてます」
「魔弓は木で出来てるのか。素材が違うと何が違うんだろ?」
「木は術の補助が入る場合が多いです。貰った冠はステータスの魔に補正がありましたし」
「なるほどね。よしここは一回戻ろう!自分達もタンクかアタッカー探して、リトライしよう」
「そうですね、一旦そうしましょう。このまま行けない事も無いんでしょうが、リスクが高い気がします」
そうして、二人で来た道を引き返し、村まで戻るが木以外は苦戦する予兆は無い。
タンクに対する有効な手立てを考えねば。




