65.病魔退治
「「「「お邪魔します」」」」
最近すっかりお馴染みの4人、自分、ココ、モコ、リンちゃんで、女の子の家に上がる。
お母さんはいつも通りニコニコで、台所で何かやっている。
遠目に見ると、包丁を研いでるようだ。料理でもするのだろうか?
「やぁ、体を直す薬を持って来たよ」
「本当に?お医者さんでも治せないのに?」
「自分は<治療>スキルを持ってるから治せると思うよ。薬もお医者さんに作ってもらったし」
「そうなの?私も皆と遊べるようになる?」
「多分ね。病気が治って元気になったら遊べるんじゃないかな?」
「じゃあ、お願い」
「うん、じゃあ『キュア』」
〔抗生物質〕を手に持ち掲げ、液が徐々に減るのを見つめる。
「えっと・・・、S.S.さん?どういう状態ですか?」
「この液が全部なくなると薬が使用されるからちょっと待ってね」
そして、全部液がなくなると手元の空き瓶も消えて、女の子の周りに泡のようなエフェクトが広がる。
全身から黒い煙のような物が抜け女の子の上に集まり、
大き目のぬいぐるみにレインコートを着せたようなシルエットになったところで、
「キッキッキ・・・」
『ハードヒット』からの連続攻撃。
「え?S.S.さん何やってるんですか?」
「いや、魔物が出たから殴ったんだけど」
病魔と思われる魔物が寝室の床に落っこちた。
「えっと・・・私治ったの?」
「多分ね、こいつが原因だと思うよ」
そこにかなり焦ったような足音が、ばたばたと階段を上がってきて、乱暴に扉を開ける。
「あんた達!何したの!」
「落ち着いて!病気治しただけだから」とモコ
「なんで、そんな勝手な事!」
「ケッケッケ!甘いぞ・・・ギャー!!!」
「きゃーーー!!!」
モコがお母さんを相手してるうちに病魔を<採集>しちゃおうと思ったら、
生き返ってしゃべった所に、剣鉈を刺してしまった。
「ちょっとS.S.さん、少しは話を聞きましょうよ」
剣鉈を刺しっぱなしにしていたら手元に杖とローブと指輪が残った。
「無理みたい。杖とローブと指輪になっちゃった」
「ママ!」
娘さんが叫び声を上げて倒れた母親に駆け寄る。
そこに先程より重量感のある足音が二階に上がってくる音がして、部屋に入って来たのは小太りだが優しげな白衣の男。
「くっ、やはりこうなってしまったか」
「あんた、全て知っていたな?」
自分の追及に目をそらす白衣の男をさらに畳み掛ける。
「病魔はこの母親の仕業だな」
「・・・そうだ。旦那を失い、女手一つで子供を育てるプレッシャーに弱った所を病魔に漬け込まれたのだ。病魔に本当に憑かれていたのは彼女の方さ。だから彼女の心が健康になれば、勝手に病魔も去るものと思ったのだが」
「それで、娘さんの方は我慢させてたのか?」
「そう言うわけじゃない。霧の中の町にいる妖医の協力さえ仰げればいつでも直せるとは、思っていたのだが、霧を歩ける冒険者が現れなかったんだ」
「ふむ、じゃあ〔抗生物質〕が手に入り次第、病魔を倒すつもりだったと」
「そうだな、そう言う意味では感謝している。強引に倒した事で、彼女もショックを受けたようだが、命に別状も無いようだしな」
「それで、これからどうするの?」
「どうするもこうするも、病魔は倒されたんだ。医者はお役ごめんじゃないか?」
「本当か?このままにして本当にいいのか?」
「そこまで、お見通しか・・・弱っている相手に漬け込むようで、一歩を踏み出せなかったが、これからは私が彼女を支えるとしよう」
「それが、いい。支える人がいれば、再び病魔に憑かれる事も無くなるだろう」
医者が母親とすがりつく娘の横に膝を着き話しかけたところで、自分達は家を後にする。
「何かうまくいってよかったね~」とモコ
「何がなんだか分かりませんでした」とりんちゃん
「カオス過ぎて、意味が分からなかったですけど、一つだけ分かりました。このゲームの運営はS.S.さんと頭の中が似てるんですよきっと」
ふむ、最近定時退社して、珍しくテレビドラマとか見た甲斐があった。
何か全然流行ってない昔のドラマの再放送だけど。
今回のクエストで手に入ったのは〔病魔の杖〕〔病魔のローブ〕〔命の指輪〕だった。




