61.いざ猪
「私も行く!」
「僕も行きます!」
「わ、私も!」
「三人とも前回は帰れたかもしれないけど、今回はどうなるか分からないよ?」
「でも、勝つために準備したんですよね?」
「そりゃそうだけども、うまく行くか分からないし、何度でもトライ&エラーで行くつもりだからね」
「ふっふっふ!S.S.さん!いつもまでも私達が戦えないままだと思った?」
「うん、生産職じゃん」
「そうだけど!私達も自分達で素材を採ったり出来る様に戦闘力を手に入れる方法を考えてたんだよ」
「え~危ないよ?モコはともかく、ココは動物殴れないじゃん」
「ええ、なので僕はこれにしました!」
そう言って取り出す弦楽器。
「ギター?」
「リュートです。攻撃のバリエーションは少ないんですが、範囲バフやデバフを得意とする<音術>って言うのがあるんです」
「私はコレ!」
コレは流石に分かる。クロスボウだ。最近警察の前のポスターに所持しちゃいけないって書いてあった。
「本当に二人とも戦闘手段用意してきたんだ。着てるのは服だけど」
「まあ、体のステータスを上げるのは苦しかったので、遠距離や間接的な手段になっちゃいましたけど、でもどちらも技のステータスと相性がいい武器ですので、大丈夫です」
「(クロスボウは装填が遅すぎて連射が利かないから生産職用の護身武器って言われてるし、楽器は敵味方の区別がつけられないからやっぱり不遇だけど)」
「何か言った?」
「ううん!コレで私達も戦えるし、一緒に猪倒そうよ!」
「準備してきたなら仕方ないか、皆で白猪倒そうか」
全員で、例の伐採所に向かう。
途中の魔物は最早敵じゃない。何せ罠で狩りつくし、倒し方のコツは分かってる。
しかも、クロスボウは結構一撃のダメージが大きい。
斧>クロスボウ>鞭>剣鉈
位の順で、自分の攻撃力低い事この上ない。
リュートは、なんかめっちゃロックと言うかメタル流してくるけど・・・。
「よくその楽器でそんな音出せるね」
「いや、かかる曲は登録されたものなので、自分は術を発動するのに必要な順で、弦を押さえてるだけです」
「そっか、ちなみに何の効果?」
「防御力を下げる曲ですね」
「へ~、道理でサクサク倒せると思った」
「ええ、僕達は心のステータスを盛るアクセをつけてますから、ほとんど効果無いですし、ガンガン行きましょう」
「ん?自分達にもかかるの?」
「かかります。曲が聞こえてる範囲は効果あります。範囲についてはある程度コントロール出来ますけど」
「いや、自分達防御力下がっちゃったら、危なくない?」
「皆服装備なのに、今更言っても仕方ないですよ。さっきも言ったとおり、心のステータスが高ければ、効果も下がりますし、多分S.S.さんには効いてないですよ」
そっか、元々皆防御力低いし、今更か。ダメージ貰わないようにうまく罠を使わなきゃね。
前回の伐採場所に辿り着いて、ふと気がつく。
「もしかして、木で作ってもらいたいって言ってたの、その武器の事?」
「そうだよ!前からちょっと戦ってみたかったんだよね。はじめはそうでもなかったけど、S.S.さん楽しそうだから」
「そうです。知らないフィールドに入っていったり出来るの、羨ましかったので、何とかならないかなと思いまして」
そっかー、二人は生産だけじゃなくて戦闘もやりたかったのか。じゃあ、今後は一緒に歩く事も増えるかもな。
そんな事を考えている内にリンちゃんが、伐採を始めたので、自分は罠を張る。
取り敢えずは落とし穴か、あの巨体を止められるのは落とし穴しかあるまい。
何とか誘い込んでやろう。猪の好物の毒芋を落とし穴の上にセットすれば、絶対食べに来るだろう。
自分に術をかけ、小物の猪で落とし穴を消費しないようにがんばって、倒して行く。
自分が動きを止めれば、モコのクロスボウの矢が飛んでくるので、ガンガン削れるし、倒せる。
攻撃力が高いって、いいな~やっぱり。
そして、何匹猪を倒したか、数えるのが面倒になったところで、真打登場。
白い粉っぽい巨体の猪が、木陰から現れた。




