番外『秘密』
-開発者ミニゲームチームO-
私は知っている。
開発者の一人がずっと悲壮な表情で仕事している事を
プログラマーの一人がずっとそわそわしている事を
この新しいゲームが、会社にとって必要だって事も良く分る。
社会人なら残業しなくちゃいけないこともある。
十分な給料を貰い、夢だった仕事についているのだ飲みこまなくちゃいけないこともある。
でも、どうしたって、仕事より優先しなきゃいけない事だってある!
推しの卒業!
これだけは!これだけは、許して!
冠婚葬祭だって、休めなかったり、急いで済ませないといけないのは分る。
でも、推しの卒業だけは、別次元なの。
分る人にしか分からない話だと思うけど、何年も一人の人を応援して、
そして、卒業。新たな門出に一言声を掛ける事すら出来ないなんて・・・。
端から見たら大勢のファンの一人だったとしても、それでもファンにとって重要な儀式なの。
そうして、私は偽り、推しの卒業公演に行ってしまった。
正直に話して、理解してもらえる状況じゃ無かった・・・と言ういい訳を自分にして、
勿論卒業公演は最高だった。
しかし、後ろめたさは拭えない。
ここに懺悔します。
私は社運をかけたゲームの開発中に推しの卒業公演に行きました。
誰かが、この懺悔を見て、私をののしるかもしれない。
それでも、ファンなら駆けつけるしかなかった。
推しのおかげで、今日まで生きて来れたのに、駆けつけないという選択肢は無かった。
極々一部の人しか理解出来ないであろう。
ファンとはヲタクとはそう言う生き物だ。
逆に駆けつけられないヲタクを悪く言う気も無い。
公私を分けられるちゃんとした人なんだろう、
そうじゃなければ、推しとの別れが辛すぎて来れなかったんだろう。
そう言うこともある。
推しの卒業公演のチケットを持ったまま、会場近くの駅で動けなくなる。
そんなヲタクも見てきたし、分らないでも無いのだから。
これが私の『秘密』
絶対に表立って言う事は出来ない。
でも、吐き出さずには、いられなかった。




