48.妖獣
あれからも山の森では霧に巻かれる事はあったが、あの人に会う事はなかった。
妖犬を倒したり〔混迷草〕〔睡魔草〕なんかが手に入るも使い道が無い。
徐々に鞄を圧迫してきたので、思い切って冒険者事務所にいらない物全部売っちゃうかと思った頃に、
ココ、モコも一段落したのか街中で出会えた。
「久しぶり!」
「ひっさしぶり~。S.S.さん何か面白い物手に入れた?」
「お久しぶりです。順調ですか?」
「なんか荷物が増えちゃったから、全部売り払おうと思ってたところ」
「じゃあ、良かった!僕達も色々作成が捗ってようやくお金が出来た所だったので」
と言う事なので、集めた物を適当に並べる。
「じゃあ、肉とハーブとこの虫とか、あと猪の牙と皮もちょっと欲しいな。柿じゃん!これも欲しい!」
「渋柿だから気をつけてね!」
「うーん、僕は猪の皮と猿の皮を買いますけど、正直小物とか装飾にしか使えないんだよな~・・・あれ・・・?この〔妖犬の皮〕・・・これ!!」
「どれ???」
「いや、これあれですよね?霧の中に出てくる魔物の素材じゃないですか?」
「そうだよ?」
「そうだよ?って!!霧の中に入ったんですか?よく無事でしたね」
「いや、普通に入るけど?」
「そうですか、普通に入っちゃうんですか・・・初級地域の霧ですら、中級以上の術士や精神状態異常用の装備で身を固めた人達が入ってやっとだって話なのに」
「普通だったけど?初級地域?」
「ああ、特別ちゃんと別れている訳じゃ無いんですけど、便宜上入門の次は初級と皆言ってます。よく考えたらS.S.さんは心を上げてるんですもんね、別に平気か」
「へ~、これって、それじゃ珍しいものなの?」
「まあ、珍しいですね。中級者が使うには性能が微妙だし、効果も微妙。わざわざ中級者が狩りに行くメリットも無くて、あまり出回らない素材です」
「へ~微妙じゃ高くは売れないか~」
「そうですね。でもS.S.さんには悪くないですよ。靴が狼犬のままだったし、新しくしません?」
「しようかな~折角素材が売れたしそのお金で、靴変える!」
そして少しの間モコと談笑しつつ待つ。
「猪は豚に似てるから、猪汁にしようかな~。そうそう!<鍛冶>と<道具作成>使って鉄鍋作ったんだ~」
「へ~いいじゃん料理人っぽい!」
「でしょでしょ!鍋と包丁は料理人の魂だし、自分で作ろうかなってさ!他にも作りたいものはあるんだけど、それは出来てからのお楽しみね!」
「お楽しみか!それはいいな~」
そんなこんな待っているとココが帰ってきた。
「出来ましたよ!妖犬の皮で作ったブーツ!妖獣の素材で防具を作ると物防の他に術耐性が上がります!さらにこの街で僕が作った青銅の装飾をする事で心にもちょっとだけ補正があります!」
「え?効果絶大じゃん!微妙な理由が分からない」
「術耐性上げちゃうと回復術の効果も減っちゃうんですよ」
「?」
「S.S.さんなら何の問題も無いです!さらに、猿皮と猪皮を使用して!ベルトとポーションホルダー、<処置>用品バッグ、剣鉈ホルダー、鞭ホルダーを新調しましたよ!いい感じに装備更新です!」
「それは素晴らしいな!いや~いいのかな~こんなに順調で」
「さて、そろそろ次の話です」
「うん、初級でどこに行くかだね」
「私はどこでもいいけど、金属加工は少し楽しいかな」
「自分は遺跡かダンジョンか霧かな」
「霧も選択肢に入ったんですね?僕はこのまま<彫金>素材も欲しいですし、服素材を手に入れて、ローブ製作も悪くないですね。いずれにせよここからは時間をかけて行く必要がありますし・・・ちょっと調べておきますね」
「了解」
「O.K.」
「ところでさ!青銅の装飾品作れるようになったんでしょ?」
「そうですよ。銀や金はまだ手に入らないので、青銅か赤銅になりますね」
「心とか技を上げるには何がいいのかな?」
「青銅と銀ですね。赤銅は魔が上がります。もしくは宝石を手に入れて本職のアクセサリー屋さんに作ってもらうのもいいですね」
「アクセサリー屋さんってのがいるのか~」
「まあ、通称ですけど宝石は色によって効果が違うみたいですし、お高いです」
「しかもお高いのか~」
「どうかしたんですか?」
「いや、どうやら自分は技と心が高いみたいだから、そっちを強化しようかと思って」
「弱点を補強するより強い所をもっと伸ばそうって事ですか、それにしても心技タイプってあまり聞かないですけどね」
「そうなの?」
「ええ、火力なら力魔だし、防御力なら体ですから、術は術で相殺したりテクニックでかわすのが普通みたいですよ」
「自分あまり器用じゃないし、くらう時はくらっちゃうから術防を上げておきたいな」
「物理防御はいいんですか?」
「上げられるだけ上げておきたいけど、元々<外衣>だし、心上げれば術で補強できるし、何より拘束すれば攻撃されないし」
「ああ~術って遠くから攻撃してくるんですもんね」
「そうそう、いきなり火の玉飛ばされるの怖いんだよね」
そんなこんなで久しぶりにおしゃべりに花を咲かせる。
こんな日があってもいいだろう




