44.洞窟街とダンジョン
髭もじゃのおじさんと街に戻り、初めての街を散策する。
前回は街の入り口の馬車の停留所でクエストを受けてしまったので仕方が無い。
洞窟の中だが、普通に明るい。松明とかで照らし出しているわけでは無いようだ。
不思議な明かりを発する石が壁や天井のいたるところに埋められている・・・夜はどうするんだろ?
「光石が気になるのか?」
「夜も明るいのかな?って思って・・・」
「ありゃ、夜になると勝手に暗くなるぞ。太陽から飛んでくる目に見えない光の中には土の中にまで通ってくるものがあって、それに反応するらしい」
「へ~不思議石ですね」
「そうだな不思議石だ」
「ん~」
「何だ考え事か?」
「いや、心を上げる事を考えたら、どうやって上げようか気になっちゃって」
「ふむ、折角の妹の客だしな。借金払い終わったら一個だけヒントをやろう」
「いいんですか?本当に至れり尽くせりだな~!」
「ふん、借金してまで術を買ってくれたんだ、それなりの誠意は見せるぜ」
悩み事が解決しそうで、気分が軽くなってきた所に、つるはしを担いだ、ココ、モコに出くわす。
「あれ?まだクエスト中でしたか?」
「いや、クエストは終わったんだけど借金を負っちゃって、これからダンジョン」
「借金て・・・普通はクエストって報酬貰えるものなんですけどね。いくらなんです?」
「20Kだね!でも一緒にダンジョン潜って、お金稼ぐの手伝ってくれるらしいから、大丈夫」
「そうですか、金額的にも別になんとでもなりそうな額ですし、がんばって下さい!」
「ところで、ココ、モコはつるはしもってどこ行くの?」
「つるはし持ってたら、採掘と相場は決まってますよ。僕は<彫金>の為の素材集めに」
「私はちょっと前々から興味があった物の作製に挑戦かな」
そして、連れ立って街の奥に進み、ココ、モコは鉱石採掘用の専用坑道に、自分と髭もじゃのおじさんはダンジョンに。
ダンジョンの入り口は珍しく階段じゃない。綺麗な白い石の門があり、小さいおじさんの衛兵が立っている。
「よぉ!ダンジョンの挑戦者か?まあ、お前さんは見たところ危なくは無いだろう。ようこそ入門者の坑道ダンジョンに」
・・・?・・・??・・・!!
「ちょっと待ってて!これはまずい!ココが大変な勘違いしてるかもしれない!」
思わず走って、採掘用の坑道に向かう。
思ったより入り口付近にいたココ、モコに自分が気がついた重大な真実を語る。
「ココ!落ち着いて聞いてくれ!」
「どうしました?S.S.さん」
不安そうなココとなんとも平常どおりのモコ
「ココ!この街はどうやら入門者の街らしい!ダンジョンが入門者用だった!!!」
「え?そうですけど?羊の街では<彫金>を育てる素材が無かったので、金属系を育てられる入門者の街に来たんですが?」
「そうなの?」
「ココ・・・S.S.さんにはちゃんと説明しないと。遺跡を探索する事しか興味ない人なんだよ?」
「まあ・・・あの・・・S.S.さんにはちょっと物足りないかもしれませんが、山の外側の方とかは入門者より上のゾーンなので、楽しめない事もないと思いますので、のんびり過ごして下さい」
「そっか、勘違いじゃなければ大丈夫!借金返したら自分は心を上げる修行をするつもりだから!」
「修行ですか?」
「分らないけど、心を上げる方法があるんだってさ」
「そうですか、攻略サイトとかだと近接戦闘職の人とかは心をあまり上げないらしいんですけどね」
「自分は探索職だから、心上げるよ!」
「・・・?まあ・・・戦闘の事はS.S.さんにお任せします」
ココ、モコと別れ再び入門者の坑道ダンジョンの前に立つ。
入門者用と言えど、ダンジョンである。緊張感を保ち門を睨みつける。
気持ちを高め、ダンジョンの門をくぐる。
心なしか衛兵さんも目を細めて、自分の行く末を心配してくれているようだ。
ダンジョン内は土壁に、松明だ。
こんな地下道で松明を焚いて、酸素は大丈夫なのだろうか?
まあでも、逆に松明が燃えていると言う事は、十分な酸素が確保されているという事か!
通路を歩いていると、這いずるような魔物が現れる。
「ロックアントだ。硬い甲殻を持っていて、打撃しか効かない。だが、俺の手にかかれば!」
両手槌一発で、潰してしまった。
手に入るのは〔蟻の甲殻〕〔蟻酸〕
「肉は手に入らないんだ」
「蟻の肉は食わないな」
そのまま、小部屋にいた蟻も倒し、木箱のトラップを外して、開ける。
手に入るのは〔樫の盾〕
「木製盾は術抵抗があるぞ」
「へ~でも自分は両手が塞がってるからな~」
「まあ、木製の武器防具は魔と心に関係するから意識してみるのもいいんじゃ無いか?」
「なるほど!ようし!どんどん宝箱開けるぞ!」




