4.回復
噴水の縁に腰掛け貰った水を飲み、パンを食べ、一息ついたところで、再び森に向かう。
薬草を採取し始めるとまた角の生えた兎がこちらに向かってくる。ホント好戦的だ。
ナイフを構え待っていると、一瞬止まり後ろ足に力を込める兎の様子から勘で右に跳ぶと、何とか兎の突進を避ける事が出来た。
やっとちゃんと確認できたが、あの角で攻撃してくるらしい。
避けた事で、自分を通り過ぎ方向転換中の兎をナイフで斬りつけたものの『ダブルスタブ』を使った時のようには兎の動きが止まらない。
再び兎が突進してきたが、今度は間合いを詰めすぎたのか、避けきれず左膝にぶつかって転倒。
しかし、すぐ立ち上がり相手が方向転換する間にもう一回斬りつけ、更にそこから
『ダブルスタブ』
兎の動きが止まったところで、斬る、斬る。
これで兎が倒れて動かなくなったのだが、兎を採取するのってどうするのかな?
適当にナイフで突いてみると手に白い毛皮が残った。
前回もそうだけどとりあえず刺せばいいのかな?
そして、薬草採取再開。どんどん毟っていくと、いきなり腰に衝撃が走り、膝をついてしまう。
すぐに体勢を整えようと思ったら、今度は脇腹に衝撃がくる。
まだ膝をついているがそのまま兎を斬りつけ、
そして、立ち上がると兎がまた突進してこようとするので自分も同時にナイフで斬りつけるが、目の前が真っ暗になる。
また、噴水の前。
とりあえず冒険者事務所に行き、いつもの受付に向かう。
「薬草採取の調子はいかがですか?」
と聞かれたので、薬草と一緒に白い毛皮も出しながら、
「一応何とかこれだけですけど、兎にまたやられました」
「そうですか?兎はこの辺りでは一番弱い魔物なのですが、ちゃんと回復はされましたか?」
「回復?」
「ええ、HPが無くなったら死ぬとお伝えしたのですが、ダメージを食らったら、ちゃんと回復しないとすぐに死んでしまいますよ?」
「ああ、そう言えば、前に自然回復がなんとか・・・」
「そうですね、一番簡単な回復方法が自然回復です。戦闘中や作業中はやや回復が遅くなりますが、非戦闘中に座れば、逆に回復が早まります」
「つまり兎と戦い終わったら座って、この赤いバーが回復するのを待ったほうがいいのか」
「そうですね、後はポーションを使用するか、スキル<手当て>があれば包帯で回復も可能です」
「それだ!<手当て>あります!包帯下さい。あっちなみにポーションて薬でしたっけ?」
「ポーションは薬ですが、少々値が張る上、連続で使用は出来ません。しかしいざという時は一瞬で回復するので重宝しますよ」
そう言いながら、包帯も出してくれる。
「これが〔初心者の包帯〕です。HPが1づつ一定時間回復します。ダメージを貰うと解除されますので気をつけて下さい」
「ちなみにポーションて言うのはおいくら位する物なんですか?」
「こちらで買うと500ゴールドです」
「……500ゴールド……高いんですか?」
「初心者の皆さんが最初に準備金として貰うお金と同額ですよ。カードで確認してみて下さい」
カードを確認すれば、540ゴールド持っていた。
「先ほどの薬草もお引取りしますし、こちらの兎の毛皮も依頼を受けていただければ引き取りますよ」
「あっ!じゃあお願いします。あと包帯はおいくらですか?」
「ではカードを出していただけますか?ちなみに〔初心者の包帯〕は一個5ゴールドですが、いくつお買い上げになりますか?ちなみにバッグの一スタックには99個まで入りますよ」
「う~んいくつ買おう・・・」
「後、回復だけでは無く、装備を整える事でよりダメージを与えたり、逆にダメージの蓄積を抑えたり出来ますよ」
「装備って言うのはおいくら位ですか?」
「安いものでも500ゴールド以上しますね。とりあえず〔初心者の包帯〕は20個位にして、使ってみたらいかがでしょう?」
「それでお願いします」
「はい、それでは〔初心者の包帯〕とカードです。カードの中に今回の報酬が入ってます。あと水とパンですね。それでは言ってらっしゃいませ」
そしてまた森に向かい、薬草を採取そして兎と戦うが、今回は包帯が有るので包帯を巻けば小さな泡がふわふわ浮いてくるエフェクトと共にHPの赤いゲージが回復している!
「こいつは凄い!これがあればもう兎なんて怖くない!!」
戦闘が終わる度に包帯で回復していると
ピロリン!
という変な音がした。
もしかしたらさっきの戦闘中にも鳴っていた気がしたが、何だろ?
また薬草を採取していると
ピロリン!
変な音がなんか気になる。
包帯を使い切った所で、日が落ちてきたので街に戻る。確か門番さんに夜は強い魔物が出るって言われたからな。
すっかり行きなれた冒険者事務所のいつもの受付に向かい薬草と兎の皮を清算。
「お疲れ様です。肉などはこの街の商店などで引き取ってもらえますので、どうぞそちらにお持ち下さい。お金も少し貯まってきたようですし、スキル等増やしてみてはいかがですか?そろそろスキルも育ってきているのではないですか?」
「スキルが育つ?」
「スキルのレベルが上がると合図が鳴るのですがお気づきで無いですか?この音です」
というとあのピロリン!が聞こえた。
「ああ、育っているみたいです。何度か聞こえました」
「ええ、色々付け替えながら使用していると上位のスキルや複合派生のスキル等が出ます。ただ、スキルが増え、レベルが上がる程に全てのスキルレベルが上がりにくくなっていくので、何でも上げれば良いというものでもございませんが」
「ちなみにおススメは?」
「あなたの場合ですと現状<回復><錬金術><調合><看破><察知><隠蔽><解除>がお勧めです。
<回復>・・・回復量の上昇
<錬金>・・・MPを使用した製作スキル、代表はポーション
<調合>・・・薬の作製、包帯と一緒に使用し回復量を増やしたり、状態異常を直す
<看破>・・・隠された罠や隠れた敵を見つけ、また相手の状態を見ることが可能
<察知>・・・近くに居る人や魔物を感知する。また罠なども自動で見つけることが可能
<隠蔽>・・・自らが隠れたり、仕掛けた罠等を隠すことが出来る
<解除>・・・罠や宝箱の鍵を解除することが可能
ダンジョン攻略ですとこのあたりがお勧めになります」
「全部は買えなさそうですね。<回復>は必須だな!これは多分いい物だ。<錬金>はポーション作れるのか、500のアレを・・・さすが錬金術!
しかし自分だと<手当て>使ってるから<調合>かな?後<看破>と<察知>が似てるな。<察知>は自動か~……でも<看破>かな相手の状態見れるんでしょ。多分いいじゃん?
あとは<解除>かな?罠とか怖いし?多分だけど。別に今のところ隠れること無いから<隠蔽>はまたご縁が合ったら」
「では<回復><調合><看破><解除>を付与しますね。ちなみに冒険者事務所では基本的なスキルしか手に入らないので、上位のスキルを手に入れたい時はスキル屋に行ってみて下さいね。この街にもちゃんとありますので」
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とある攻略サイトの質問板
質問者:匿名初心者
少しづつスキルのレベルが上がってきたのですが、おススメのスキルがあったら教エロください
回答者:匿名戦士
そんな物、これからどういう風に育てて行きたいかで全然違うんだが、
せめてどんなのが欲しいとか、これはとっても大丈夫か?とか質問絞ってもらわねえと
質問者:匿名初心者
すみませんでした。一応今は剣使ってます。出来れば魔法剣士みたいなのがカッコイイと思っているんですが
回答者:匿名戦士
結構茨の道だな。スキルのセット枠に上限があるからな。前衛だとHPや防御力をブーストしたいし、術ならMPや魔だろ。でもやって出来ないことも無いからがんばれ!
質問者:匿名初心者
がんばれ!ってw
<リラックス><回復><錬金><調合><看破><察知><投げ><ステップ>
このあたりをおススメされたのですが<回復>は切るとして、代わりに<リラックス>は取ろうかと
後、防御力盛れないなら<ステップ>かなと、
他が分らなくて
回答者:匿名戦士
<錬金>・・・ポーション作れるから生産もやるならこれだな。このゲームはとにかく回復手段が少ないからプレイヤー全体でポーション製作は協力してるから友達も出来るかもな。ちなみに店売りのポーションは高すぎるからプレイヤーから買え。
<調合>・・・<手当て>無いなら意味ないからな。というかこんな無駄なもの育てたら後できつくなるからやめておけ。
<看破>・・・いちいちテクニック使用しなきゃいけないから面倒だ。敵の状態を見れるから使う人間も稀にいるが、あくまでHP,MP,SP,バフ、デバフが見れるだけだから、微妙だ。
<察知>・・・先に進むと隠れて奇襲してくる魔物もいるから、持ってても悪くない。ダンジョンに潜るなら罠除けにもなるしな。ちなみに<解除>はいらないぞ。<察知>あれば避けられるからな。
<投げ>・・・手に持ったものを投げてダメージを与えるが、術を使う気ならいらないかもな。
<隠蔽>・・・探索系の様な職業で、さらに罠なんかも使うならあってもいいだろうな。後は隠れて奇襲タイプなら合うだろうな。
質問者:匿名初心者
ありがとう、よく吟味してスキル取得してみる。