41.クエスト?
乗合馬車に乗って次の街へ。
前日の内にお世話になった人達に挨拶は済ませたが、バザーの皮服のお姉さんには怪訝な顔をされ、
「あんた達いつもそんな事してるの?」
「なんか変でした?」
「・・・ちょっと待ってねあんたに理解出来る様に言うとなると・・・プレイヤーは皆冒険者なんだから、いつかどこかの道行きで再び会ったり、二度と会わなかったりするのが当たり前なの、変なしがらみは旅の重荷よ」
「なるほど、皆一期一会で生きてるんですね。確かにしがらみに縛られていては冒険は出来ない!勉強になりました!また縁が会ったらどこかで!」
と言うことなので、コレからは挨拶などはせずに常に一期一会の精神で臨もうと思う。
乗合馬車で進むのは始めは森の中の狭い道だったのだが、いつの間にかうねる山道に景色が変わっていた。
「アレ?いつのまに?」
「いや、ゲームの中で寝るって器用ですねS.S.さん。ちなみに眠かったらログアウトしても大丈夫ですよ。勝手に目的地についてますから」
「そりゃ、便利だね~。どこにでも行き放題じゃん」
「主要な街だけですけどね。それに移動に時間がかかりすぎるからって、若干不人気なんですよ馬車」
「へ~別に自分は急いでないし、好きかな~馬車」
「寝てましたけどね」
そんなこんな話しているうちに、山の中にぽっかり空いてる穴の入り口で、停車した。
「もしかしてさ、この穴の中に街があるの?」
「そうですよ。鉱山の街なので、この中に街があって、そのまま奥が鉱石を掘り出せる坑道になってるんですよ」
「おっおい!アンタそりゃ鎖だな。鎖を武器にしてるのか?」
ココ、モコと穴の奥に進もうとすると髭もじゃの背の低いがっしりした体系のおじさんが話しかけてきた。
「そうですよ<戦闘鞭>使いなので」
「そうか!どうやら見たところ、入門を卒業してるくらいに見えるし、もし時間があるなら頼みがあるんだが」
ぴこーん!
急に変な音が聞こえる。
「どうしました?S.S.さん」
「いや、ぴこーん!って音がしたから」
「それ、クエストですね。カード見てみたらどうですか?」
言われるままにカードを出し確認すると『山中の素早い敵』と出てる。
「クエストを受けますか?Yes or Noだって、Noかな?」
「何でですか!折角のフリークエストやってみたら良いじゃないですか!」
「だって、自分は冒険者事務所と契約してるから、いくらフリーランスとは言え、勝手に仕事請けるのは闇営業みたいじゃん」
「大丈夫ですよ!冒険者は困ってる人の仕事を勝手に請けて良いんです」
「そうなの?後で怒られない?」
「大丈夫です!僕が保証しますから、もし怒られるようなら一緒に怒られてあげますよ」
「そこまで言われちゃ、受けないわけにはいかないか。お困りのようですが何かありましたか?」
「おう!山中で術の研究をしている奴に届け物をしたいんだが、ちと厄介な敵がいてな。手伝ってもらいたいんだ」
「自慢じゃないですけど、自分は探索者なので戦闘は弱いですよ!」
「そうか、でも鎖使いなら拘束はできるだろ?俺の得物は見ての通り両手槌でな、振りが遅くて、すばやい敵が苦手なんだ。拘束さえしてくれれば俺が一発で仕留めるから、頼むぜ」
「一個質問ですが、何故冒険者事務所に依頼を出さないんですか?」
「いや・・・別に行こうと思えば、俺一人で行けなくも無いが、出来れば程度って言うか・・・」
「はっ!!!まさか脛に傷が有るとか・・・」
「ねぇよ!生まれてこの方健全に生きてるわ!」
「どうですかね!人間普通に生きているだけでも、後ろ暗い事の一つや二つある物です。それを健全に生きている等とはっきりのたまう辺り、嘘をついているか、自分の罪に気がつかないほど鈍感なのか・・・一体どっちなんで・・・」
「何でもいいからS.S.さん早く手伝ってあげて下さい。僕達は街で生産やってますからね」
「でも、知らずに悪事の片棒担がされていたりとか・・・」
「ぴこーん!って音のするクエストは悪事じゃないから大丈夫です!いってらっしゃい!」
ココに送り出されて、おじさんと穴から出て、山の外側の覆い茂る木々の間の道を歩く。




